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1. プロローグ

初めての投稿です!!

所々おかしな所があると思いますが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです!

1.プロローグ


「わしの可愛いファムや、地上世界へ転生してくれる気はないかのぉ?」


「ふわわわわぁ~~~……ふぇ?」


 私が欠伸をしようとしていた所へ突然声を掛けられる。が、既に出掛かっていた為止めることなど出来ず、それどころか大欠伸となってしまった。だって、暇すぎて眠いんだもん……。

 

 ここは神や天使達が暮らす天上界……正確には名前は無かったのだけれど、いつからかそう呼ばれるようになった高い高い雲の上に存在する場所だ。別に雲の上と言っても、地上にいる人達が飛行機やロケットでここを目指しても辿り着くことは出来ないのだけれど、とりあえず説明しやすいのでそう言っておく。

 

 とと、大欠伸のせいで遅れちゃったけど自己紹介。私はファム、天上界に住む天使……じゃなくって女神だよ♪創造神様に創造されてからまだ1年の新米女神なんだ!最初は天使として創られたんだけど、創造神様が私のことを気にいってくれたみたいで神格を与えて下さったんだ~。と言っても経験も殆ど無いから大した仕事は任せてもらえないんだけど、一つだけ秀でた能力もあったりする。…それは戦闘能力っ!

 

 ここ、天上界には殆ど害敵は存在しないんだけど、魔物やらモンスターって呼ばれる存在がいる。それが数百年に渡って天上界に群れを成して襲い掛かってきていたんだって!過去形なのはどーぜん私が生まれてないときの話だからだ。そこであまりにも長い戦いだったので、新たな戦力として他の子達と一緒に私を創造されたのだけれど…なんとその容姿が創造神様の好みにストライクだったらしくってその場で神格を与えられちゃったの。

 

 生まれたばかりで何もわからない私へ創造神様は、魔物との戦争真っ最中だというのに付きっ切りで色んなことを教えてくれた。他の神様達からはよく怒られていたけど全く気にしないくらいに……。私自身のことと創造神様のこと、天上界や地上界のこと、天使や悪魔のこと、そして天上界に大群で押し寄せてきている魔物達のこと……あ、一般常識的なのは創造されたときに既に身に着いているから問題ないよ!ちゃ~んと女の子としての色んなマナーも身に着いているから、ね♪

 

 創造された理由と、その力についても教えてくれたので「創造神様の為に働きたい!」って言ったら頭を撫でてですごく褒めてくれた。そして仕事をこなす為に創造神様に連れられてきたのは、天使と魔物が激しい戦いを繰り広げている真っ最中の戦場だった。生まれて初めて…というより生まれてすぐ見る血生臭い戦場に、心は幼子の私は恐怖に駆られ……無かった。それどころか「わぁ~!」と嬉しそうな笑みを浮かべてそれぞれの戦いに目を輝かせていた。


「ここが君の仕事場じゃが、怖くないかのぉ?」

 

 創造神様が優しく尋ねられて私が答えた言葉…それは今でもはっきり覚えてる。私の仕事…天上界を、創造神様を守るために……ううん、戦い自体が大好きだから戦う!だからこう答えたのだ。


「とっても楽しそう♪」


 それは生まれた私が初めて見せた、とびっきりの笑顔だったんじゃないかと思う。だって私は、魔物と戦うために創られた、戦女神ファムだもん!


 そんな私に「ふぉっふぉっふぉ!」と笑いながらまた頭をナデナデ。そして頷くと、こう言われた。

「何事もまずは経験じゃ。準備運動も兼ねて好きに暴れてくるといい」


 その言葉を聞いた瞬間、私は笑顔のまま戦場に飛び出していった……。




 そこから色々あったんだけど長くなるから割愛するね?んで、結果だけ言うと……戦争、終わっちゃった!天上界に襲い掛かってきていた魔物達はほぼ壊滅。百年以上戦場を駆け回っていた天使たちも満身創痍。そして初めての戦場に突っ込んでいった私は……ほとんど無傷!


 元々戦いのセンスに重点を置かれた戦闘天使に、異例の神格を与えられたので魔物はほぼ敵じゃなかったのだ。それでも何度か攻撃は直撃したり、かすり傷もいっぱいだったけど……それは女神の力を上手く制御できなかっただけだ。大きなダメージは受けないので大したことは無いんだけど、結構痛かった…頭にたんこぶが出来るくらい。


 創造神様のところに戻ると笑顔で迎えてくれた。……その時の創造神様、若干顔が引きつっているように見えたんだけどなんだったんだろ?一年過ぎた今でもわからない。それでもぎゅ~っと抱き締めてくれる創造神様に嬉しそうにはしゃいでると、いつの間にか状況確認を終えた他の神様達が周りに集まっていて怖い顔をしていた。そんな彼らに創造神様が気付いて慌てて何か言おうとしていたみたいだけど、問答無用で連れて行かれてしまった…あの時の怖い顔は今でも覚えてる。それはまるで思いつきでやったらやり過ぎちゃって、それが親にばれて折檻される直前…そんな感じ。


 とまぁ、それは置いておいて……とりあえず私の戦闘能力はとっても高かったらしく、数百年間続いていた戦争を一日……ううん、半日も掛からないで終わらせちゃったんだ。しかも準備体操がてらにね?これからもっといっぱい創造神様のために働けるんだ~!って嬉しく思ってたんだけど、そこで大変な事実が発覚!……私の戦女神としての仕事っぷりを発揮する機会がなくなってしまったとのこと。


 戦争が終わった翌日にその事実を告げたのは創造神様で、「なんで~!」っと泣きながら問い掛けると答えは簡単……戦う魔物がいなくなっちゃったからだ。私を創った創造神様もまさかこんなことになるとは思っては居らず、撫でたり甘いお菓子をくれたりして何とか慰めようとはしてくれたんだけど私はずっと泣いてた。だって、創造神様の為に働けないなら私は必要ないんじゃないかって思ったから。子供心ながらそのことを真っ直ぐ創造神様に伝えると、一瞬驚いたような顔を浮かべた後、今まで以上に優しい声でこういってくれた。


「ファムが一緒に居てくれるだけでわしは嬉しいとも……戦争が無ければずっと一緒に居られるからのぉ!ふぉ~ふぉっふぉっふぉ!!」


 それはもうすごいご満悦な笑顔を浮かべて言われました。ここで私は、生まれて初めての寒気を感じたんだっけなぁ……その言葉自体は嬉しかったんだけど、なんか女の勘に触った様な気がしたのだ……危険が危ない、と。ちなみにその後、創造神様はどこからとも無く現れた世話役の女神様に連れて行かれてお説教を受けてたのは私は知らない。たまたま目に入ったり叫び声のようなものが聞こえたりしたかもだけど、知らないったら知らない。私の記憶からあの地獄絵図は抹消したのだ。




 っと、回想が長くなっちゃったけどこれが私の生まれた理由と女神になった理由。縮めていうと……創造神様が気に入った少女に力を与えて女神にしたら、とんでもない力を持った少女女神になっちゃった!ということ。お蔭で天上界で友達は出来ないし、創造神様にかなり贔屓にされるから他の神様方にも疎まれてばかりだった。……はあ。


 ん?一緒に創られた戦闘天使達はどうしたのかって?皆用が終わったらお疲れ様~って解放されちゃったから天上界には住んでいないんだ。基本天使達は有事の時に生み出される存在で、戦闘天使以外にも救護天使や防衛天使なんかもいたりする。だけど、皆それぞれの分野でしか行動できない上意思なんかも無かったりするから、事が終わったら創造する為に使われた魂に戻されて解放されるんだ。私は神格を与えられて女神になってるから例外だったということだ。今思うと良かったような悪かったような……


 また話が脱線しちゃったね……そろそろ現実に戻ろうか。私が大欠伸で目に浮かんだ涙を手で擦って払い、声を掛けてきた人物に目を向けるとそこには創造神様がいた……いや、創造神様以外ありえないんだけどね?疎んでる相手に話かける酔狂な神様はいないのだ。皆してプライドが高く、天使から即女神になった私のことをとっても嫌っているのでこの狭い天上界での居心地が悪いったらありゃしない。


「ええっと…創造神様何か言いました?」


「ほほっ、可愛い欠伸じゃったのぉ……♪いやいや、コホン。実はの、ファムにお願いがあってな……」


 欠伸のせいで全然聞き取れなかったので私が尋ね返すと、創造神様は何か口走った後改めて言いなおした。


「地上世界へファムに行って貰えないかと思っての。実は…」


「そ、そんなっ!私、まだ創造神様の為に働いてないのにお払い箱なのっ!?確かに魔物が攻めて来ない以上私の仕事が無いけど…それでも一生懸命創造神様に仕えてきたのにぃっ!!」


 突然の宣告に私は驚きと共に泣き喚く。その姿に創造神様は慌てて押さえにかかるが私は止まらない。


「ま、待つのじゃ!別にそういうわけでは……」


「じゃあ何でっ!?創造神様は私が傍にいてくれるだけで嬉しいって言ってくれたのに…はっ!?もしかして創造神様、私に飽きて新しい女神様を創ったから心変わりしたんじゃ……!!きっとそうなんだ、うわああああああん!!」


「そんなことは絶対無いっ!愛してるのはファムだけじゃ!!頼むから落ち着いておくれ……!!」


 私はそんな妄想が膨らむと勢いを増して更に泣き叫ぶ。創造神様は困惑しておろおろするばかりだ。でもそんな姿を見て私は少しだけ冷静になってくる。創造神様の顔は嘘をいってる感じじゃなかったのだ。いつも冗談とか沢山言って私を笑わせたりしてくれる時とは違って、とっても真剣な顔をしていた。


「ううっ……ひっく……ほんとぉに違うの……?」


「創造神の名に誓って違う!だから、詳しい話を聞いてくれないかのぉ?」


「ぐす……うん、わかったぁ……」


 私が涙を鎮めて話を聞ける状態になると、創造神様はほっと安堵の息を漏らした。じゃあ地上界にいって欲しいってどういう意味なんだろう?


「実はの、あれだけ溢れていた魔物が天上界に現れなかった理由がわかったのじゃ」


「え?それって私が倒しちゃったからじゃ……?」


「わしもそうだと思っていたのじゃが、天上界を落とせぬとわかったのか奴らはあろうことか矛先を地上界に変えおってな、このままだと地上の者達の身が危ういのじゃ」

「地上に魔物達が?」


 創造神様の話によると、天上界と魔物達の戦争は数百年もの間拮抗していたのだが、それが突如覆った。それどころかほとんどの魔物が滅されるという事態に陥って、やつらはしばらく身を隠していたらしいのだ。そこで下された判断が「天上界は侵略できない」「ならば地上界で地道に力を蓄えてから再び侵略しよう」ということだ。一向に姿を現さない魔物達に不信感を持っていた一人の神様がそれを見抜き、創造神様に伝えたところならばファムに頼もう、ということらしい。


「わかってくれたかの?」


「うん……でも、どうして私なの?天使たちじゃ駄目だったの?」


 話はわかったが納得はいかない。別に今の天上界に未練は無いけど、突然ここから出て行けと言われてはもう少し納得の行く説明が欲しかくて問い詰める。だけど創造神様は全く動揺を見せずに告げた。


「戦力として不足している上、融通が効かんからの。ファムならばそこは全く問題なく何より天上界で一番信用が置けるのでのぅ!」


「創造神様ぁ……!」


 何てことの無いように言ってのける創造神様に、私は思わず引っ込めたはずの涙をうるうると浮かべた。てっきり自分が邪魔になったのかと思っていたけど、全くの勘違いだったようだ。思わず創造神様に抱きつく。


「ごめんなさいっ!勝手に変な想像して泣いたりして……!」


「ほっほ、良いのじゃよ…ファムもこの一年間不安だったのじゃろう?そこを考えもしないでいきなり切り出したわしが悪いのじゃよ。じゃが実はさっきのは建前での、もう一つ理由があるのじゃ」


「もう一つの…理由?」


「うむ、ファムよ…君にとってこの天上界はとても居辛いのでは無いか?わし以外の神達はお前のことを疎んで全く相手にはしない、それどころか蔑んでばかりだ。ならばいっそ地上界でしばらく羽根を伸ばしてみるのはどうじゃ?…ファムと離れるのはとても辛いが、それでも笑顔でいて欲しいからの」


「……あ……っ!」


 創造神様はずっと私のことを見てくれていたんだ。創造神様の前では子供っぽく振舞ったりして隠していたんだけど、実はとても寂しがっていたことを。


 創造神様はとっても忙しいからなかなか一緒に過ごす時間が取れなくて、その間私はずっと一人ぼっち。一人で空を散歩したり雲の上を歩いたり…食事だってずっと一人だった。周りの神様は私が戦闘以外の仕事は出来ないって決め付け、一切話かけようとしてくれなかった。それでも何度か声を掛けたりしたんだけど…冷たくあしらわれるだけだった。生まれたてだろうと関係ない。ただ成り行きで女神になれただけの天使との半端者…仕事も出来ないただの愛玩人形め…そんな風に言われた。


 それでも創造神様に迷惑を掛けたくなかった私は、この一年間が我慢して何も言わなかった。たまに創造神様に「表情が優れないがどうした?」と声を掛けられることもあったけど、笑ってごまかすなどしていた。…時々隠れて泣いたりしてたけど。それなのに……


「ふぉっふぉ、わからないとでも思っていたのかの?わしは創造神じゃ、言ってしまえば父親でもあるからのぉ!娘の心なら手に取るようにわかるわい」


「創造神、さまぁ……!」


「それでも声を掛けられなかったのは愚かではあったがの…すまなんだ、ファム」


「そんなこと……!私のことを思っていてくれただけでも、嬉しいっ♪」


 だから、今度こそ…創造神様の役に立ちたいっ!!


「私、地上界に行くっ!ううん、行かせて下さいっ!!頑張って創造神様のために働きたいの!!」


「行ってくれるか、ファム……!!ありがとう。一度転生すると地上での生を全うするまで天上界へは戻ってこられぬが…おぬしならきっと大丈夫だ。戦女神としての力の一部は制限されるが、ほんの一部だけじゃからな心配することはないぞ」


「わかりましたっ!!」


 創造神様の労いの言葉を聞いて私は力強く頷く。創造神様がそう言ってくれるならきっと大丈夫……!後は私が頑張るだけだ!


 それから細かく地上界での注意点と大事な事を教えてくれた。その一つ一つに私はしっかりと頷く。戦女神の力以外でも地上で使える力も授けてくれるそうなのでちゃんと使い方も頭に叩き込んだ。


「…大体こんなところじゃな。他に不安などはないかの?」


「えと……大丈夫です!!」


「よし、ではこれより女神ファムの地上への転生を行う……準備は良いか?」


「はい……あ、ちょっと待って下さい!」


 頷きかけてあっ!と声を掛ける。私は転生の力を使うために離れていた創造神様に近づくと、その頬へ軽く口付けをする。


「……行って来ます、パパ♪」


「ふぉっ!?……ふぉっふぉっふぉ、達者でのファム。お前の帰りを楽しみに待っておるからな?」


「うんっ!」


 そう言葉を交わすと私は先ほどの場所まで戻る。改めて創造神様が転生の力を発動させる。今度は声を出さず、私はじっと目を瞑ってその時を待った。そして…


「……彼の者の魂よ、今一度生まれ変われり……!!」


 そんな詠唱と共に私の視界は白い光で染まる。目を瞑っているのに白く白く……やがて身体がふわふわと浮いているような……優しくて温かな光に抱き締められながら……私の身体と意識は霧散した。……そして、新たな生を得て地上へと降り立つのだった……

ここまで呼んでくださってありがとうございます!

のんびりペースで続きを投稿していきますので、次回も楽しみにして下さったらうれしいです!

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