折り鶴の見た夢
清かな月の光の中で
折り鶴は静かに羽をたたみました
幾重にも着せ掛けられた衣の裾から
不自由に縺れた心の糸もほどけて
詠み人知らず
流れるままに空へと還る
山際にたなびく霞
薄氷を割る春の音
これもまたまぼろしでしょうか
磨かれた鏡の裡に舞う雪は、未だ降りやまず
銀色に染まる
裸の木々はひとしきり泣いたあと、心細さに震えています
祈りの器に浮かべた言の葉も
映り込む影が細波に戯れるばかり
過ぎ去る時の名残など、儚く掬われず
指の隙間から零れていくものでしょう
咲き誇れども
移ろう季節の色は寂しく
見つめたまま留めていられたなら
ありがとうございましたo(^-^)o