表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒衣黒刀の暇つぶし  作者: 月倉悠
21/24

強さ

地図は軍用車両の中にあった。真新しい紙でできた地図だ。

 ディウスさん以外の兵士は、ディウスさんを倒した後に、即効でみねうちをして気絶させた。抵抗という抵抗をしたものは1人もいなかった。

 奪った地図によると、〈イーディー〉のアジトはある森の中にあるらしい。暗黒の森だそうだ。

 ここからだと約60キロメートルはある。まあ、転移魔法を使えば一瞬だろう。1秒以内につくことができる。

 わたしは地図を眺めて、暗黒の森のイメージを作った。ここで雪山などをイメージしたら雪山に飛んでしまう。だから転移魔法を使うときは、果てしない集中力を要することになる。

 やがて転移魔法の詠唱が完了した。

 解放すると視界がホワイトアウトして、開けたときには目の前に暗い森があった。転移大成功だ。

「さて……」

 暗黒の森はその名に恥じぬほど暗い。意を決っして中に入ってみると、それが痛切に実感できた。20メートル歩いただけで外からの光が遮断されてしまう。もちろん太陽の光なんてものは一筋も差していない。

 鬱蒼と生い茂る木々の枝や葉っぱが多すぎて、厚い天井のようなものを作っているからだ。

 地面には真っ黒い花が生えている。茎からは花びらまで真っ黒。おそらくブラックダスティンの花だろう。光を吸収せずに、陰鬱な闇を吸収し続ける花だ。食べると毒があるとも聞いたことがある。

 あんな真っ黒い花、気が狂っても口に運ぶ気はしないが。

 そういえば今気づいたのだけれど、暗黒の森は一陣の風さえも吹いていない。どうりで静かすぎると思った。でもどうして風が吹いていないのだろう? 考えてみたが、はっきり言ってよくわからなかった。

 その時だ。

「――おい、オマエ、聞いたか?」

 前方から男の声が聞こえてきた。その声が近づいてくるにつれて、足の音も段々大きくなってくる。

 わたしは急いで木の幹に隠れた。

 男達の話し声はまだ続いている。

「え、なんだよ、なにかあったのか?」

「あの副リーダーのぺルディさんが、連合国家の犬である〈ラスリス〉を襲撃したらしいぞ。ああ、軍用車両で移動中のをな」

「マジか、で、その〈ラスリス〉はどうなったんだ?」

 話し声はわたしの方へどんどん近づいてくる。

「ウワサを聞いた限りだと、ぺルディさんの銃撃を受けて、エンジンが故障してしまったらしいぞ」

「へぇ~」

 わたしは心の内で確信した。

 この人達は確実に〈イーディー〉の構成員だろう。だって構成員でもでもなければ、『ぺルディ』さんなどという呼称は使わない。普通の人達なら、反政府組織の幹部の名を呼ぶときは呼び捨てにするだろうから。

 わたしは木の幹から顔を覗かせてみた。この〈イーディー〉の構成員の顔面と、見格好を確かめてみようと思ったからだ。

 1人は長身痩躯の男だった。アサルトライフを肩から下げていて、茶色のベストを着込んでいる。

 もう1人は小柄で軽そうな男だった。腰に2丁の拳銃を吊るしていて、灰色のマントを羽織っている。

 この2人に共通することは、両方とも口元をスカーフで覆っていることだろう。

 2人は更に更に近づいてくる。

 丁度いい機会だ。

 わたしはニヤリと笑ってみせた。こいつらをキツイ拷問にかけてやろう。前わたしの部屋を襲撃してきた男みたいに。前の男は痛いことをしても口を割らなかったが、こいつらの場合はすぐに割ってくれるだろう。そんな気がした。

 わたしはタイミングを測って、暗殺者のように木の幹から飛び出した。風のような素早さで。男達には反撃の機会を1つも与えない。

 長身痩躯の男のほうへわたしは肉薄。ナイフで喉笛を切り裂いた。真っ赤な血が溢れ出る。男は後ろの方へ倒れていった。

 もう1人の小柄な男は悲鳴を上げようとしたが、わたしはそれを全力で阻止。開きそうになった口元を手で押さえ、そのまま後ろへ押し倒した。マウントポジションを取る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ