表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒衣黒刀の暇つぶし  作者: 月倉悠
16/24

どぅおわわぁぁ!

 わたしは助手席に乗り込んだ。ガディウスさんがそこに座れと言ったからだ。そのガディウスさんは、ヨイショと言いながら運転席に腰を降ろす。ハンドルを握る。後ろの黒い座席には、他の兵士たちが6人ほど座っていた。

 一同わたしを眺めまわしてきてウザイ。

 ガディウスさんは軍用車両を発進させた。一瞬だけ揺れる。エンジンのブオンというような音も聞こえた。

 車内はとても無機質だ。

 色調は無愛想な黒。ぬいぐるみなどの飾りははなく、実用的なものしか置かれていない。無線機やら、最新式のRPGやらと。

 室内の窓は、当然の如く全て防弾ガラスだった。厚くて、20mmの弾丸なら受付なそうだ。

 わたしはイスに座りなおす。

「ではガディウスさん、ここにいた謎の影について、細部まで教えてください」

「ああ、約束だもんな」とガディウスさんは言った。「恐らく、おまえの言っている影というのは、NO008のことだろう」

「NO008?」

 なんかコードネームのような名前だ。

「ああ、NO008、俺達は奴らをそう呼んでいる。で、その奴らは、反政府組織〈イーディー〉が開発した新兵器だ。人間を何の痕跡もなく呑みこむことができ、倒された場合は、数秒後に自然消滅してしまうらしい。原理はわかっていない。幸いそこまで戦闘力はないそうだが、近づかれたとしても、ほとんど気配を感じることができないらしいぞ。一体、どうやってそんな兵器を作ったことやら」

「お、おそろしいですね……」

 正直な気持ちだ。

 わたしはディウスさんの説明を聞いて、謎の影の認識を改めた気がする。初めはただの雑魚かと思っていた。しかし量産されたらどうなるか? 都市部が壊滅的な攻撃を受ける、いや、下手をすれば、国家を丸ごと転覆させられてしまうかもしれない。

 わたしは、てのひらに冷やせ汗が滲むのを感じた。

 ディウスさんは、「だろ?」と運転をしながら応えた。

 車は快調に進んでいる。

「で、話はまだ終わりじゃないぞ」

「え、まだ終わってなかったんですか?」

「当たり前だろうが。おまえは、なぜスカティッシュの村の人達が消えたのか、ということを知りたくないのか?」

「え、〈イーディー〉という組織が、スカティッシュの村にNO008を放ち、それで、村の人達が殺されてしまったんじゃないですか?」

 口に出し、改めて思ったのだが、〈イーディー〉のやったことは、許しがたい蛮行だ。何の罪もない、村の人達を殺し尽くしてしまうなんて。そして、わたしの友達であるエリアさんも捕まえている。

 もしアジトのようなものを発見したら、徹底的にぶっ壊し、構成員も幹部も皆殺しにしてやる。

「ちょ、まった」

 とディウスさんは、なぜか、意表を突かれたような、情けなさ過ぎる声をだした。

「どうしました?」

 わたしは首を傾げる。

「なんでおまえ、スカティッシュの村が消えた理由を知ってるのだ?」

 は? この人は一体なにを言っているのだろうか。

 わたしは心配になった。

 ディウスさんの頭の中身と、こんな人を特殊部隊に起用してしまった、軍のお偉いさん方の頭の中身を。

 わたしは言った。

「そんなの、わたしもバカではないんですから、話の流れからしてわかりますよ」

「そ、そっかぁ……」

 ディウスさんは、目に見えて落胆していた。

 そんなディウスさんを見て、わたしがはぁと溜息をついたときだ。

「どぅおわわぁぁ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ