優秀なのかバカなのかわからない。
「いや、それは無理はなしだな」
「なぜですか?」
あやうく、わたしは黒刀を抜き放ちそうになった。
「おまえが犯人の可能性もあるからだ。だから事が片付くまで、おまえは私達と一緒に来てもらう」
「わたし、急いでるんですけど?」
苦渋の選択だが、これ以上無駄なはなしが続くようならば、〈ラスリス〉を倒さなければならないかもしれない。
「理由を教えてもらえるかな?」
「わたしの友人が、別行動をしたきり帰ってこないので、その友人を探しに行くんです。手掛かりはないですけど……」
「ほぉ~。それならば、おまえは、余計わたし達について来た方がいいかもしれないな」
「どういうことです?」
もしかしてこの人達は、謎の影のことや、この村のことを何か知っているのだろうか。一考してみれば、その可能性は割りと高いかもしれない。あくまでも、〈ラスリス〉は国家機関なのだ。わたしなどよりも、たくさんの情報を掌握しているはず。わたしは決めた。この人達を利用して、意地でもエリアさんの居場所を突き止めよう。
強い風が吹きつけた。
「おまえのその友達とやらが、俺達のいま探している反政府組織――〈イーディー〉に捕まった可能性が高いからだ」
〈イーディー〉、レシュルギュルデン連合国家では有名な反政府組織だ。国家から指名手配もされている。構成員は2000越え。そのリーダのゲシュルトは、幾千もの命を奪った残虐非道クソ野朗だ。
わたしは聞いてみた。
「もしかすると、ここにいた影たちの正体も知っていますか? 知っているのならば、是非とも教えていただきたいです」
「いいだろう」
「ガディウス副隊長!」
と突然、今まで言葉を発しなかった兵士が、血気せまる声音を上げた。
「そんなにペラペラと、他人であるこの女に情報を流してもいいのですか! レウラ隊長は、出撃前、なるべく他人に情報を流すなと仰っておりましたが!」
そうなのか。
わたしは、このガディウス副隊長がダメな人に思えてきた。最初であったときは、まあまあ優秀な人だと思ったのだけれど。
「ええいうるさい!」とガディウスさんは、部下の意見を一蹴する。「隊長はなるべくと言っていたのだろう! ならば、この女に情報を流すぐらい良いだろうか! アルマス伍長、これ以上わたしに口ごたえしたら、上に減給を要請するぞ!」
「はい、すみません!」
アルマスさんは、ピンと背筋を伸ばして謝った。
――ちっ、
と痺れを切らしたわたしは、小さく舌打ちを行ってから、
「すみません、さっきも話した通りわたしは急いでいるんで、はやく影のことについて話してもらっていいでしょうか?」
「ふん、そうだな」
しかし、とガディウスさんは続けて、
「時間短縮のためだ、その話は車に乗りながらしよう」




