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1『脳内会議は現場で起こり得ない』

 新入生とは、かくも忙しいものなのかと思い知らされていた。教科ごとに選択する人間が変わり、その度にいちいち授業の頭に自己紹介タイムが挿まれる。小学校、中学校と同じメンツで過ごしてきた自分にとっては、殊の外ストレスの溜まるものだった。

 

 しかし最も嫌だったのは、誰得イベント・ザ・応援歌練習。


 愛校心を無理矢理植え付けるためだけにあるようなこのイベントは、毎朝、授業前に新入生は体育館に強制集合させられ、最初は声出しから始まり、覚えて来いと言われた応援歌を応援団の前で披露する。創立百年を越える伝統校らしく、伝統継承の名の下に、ぼろぼろの学生服を着たバンカラ応援団が、高圧的な態度で新入生を指導する。昭和の軍歌をベースにした応援歌は無駄に覚える曲数が多く、しかも全て楽器伴奏なしのアカペラ仕様だ。声が小さいと何度もやり直しさせられ、団長が良しと言うまで終わることは無い。教師陣も理解しているのか、時間が押して授業に割り込もうが終わらない。中には、声が小さいと団員に目をつけられ、耳元で『小せエエエエエエーーーーーーーー!!!』と何度も怒鳴られて泣いてしまう女子もいた。泣いている女の子の姿に興奮したのは内緒だ。

 

 終わり間際に、次の日の課題曲が通達され、新入生は応援歌の歌詞が載っている生徒手帳と夜な夜なにらめっこをする。個人で指名されて、歌えない、歌詞を忘れた、恥ずかしくなって声が小さくなるなど応援団のお眼鏡に適わない場合は罰則があるからだ。

 

 「サイレントモーション」

 それが罰則の多くを占める。元気玉を作るように、ただ手を挙げるだけ。

だがそれが本当にキツい。長時間手を挙げ続けることがこんなにも辛いことなんだと思い知らされた。というのも、自分も応援歌練習2日目に歌詞を忘れてやらされたからだ。ハンズアップが辛くなってきて、腕がプルプル痙攣し始め、我慢している最中に耳元で『腕下がってっぞオオオオオオオーーーーーーーーー!!!!挙げろオオオオオオオーーーーーー!!!!』と怒鳴られ精神的に追い込まれる。どこのブラック企業の研修だこれ。次は地獄へ直進行軍ですか?


 普通こんな仕打ちを高校でしていたら、どこぞのモンペが騒ぎ出しそうなもんだが、当の親達もこの高校のOB・OGが多いため、昔からやってる伝統行事のひとつぐらいにしか捉えていないらしい。

 

 そんな自衛隊の訓練よろしくの日々が2週間近く続き、最終日が終わったときは爽やかな開放感で溢れていた。整列した時の前後左右の野郎達とは仲良くなった気がしたし、理不尽からの解放感でいっぱいだった。


 しかし気がしたのは自分だけだったようで、応援歌練習が終わった後、彼らは自分の同じ中学コミュニティでしか話さなくなっていた。



 友達って、出来ないもんだねえ…

 

 つり橋効果を感じられるようなイベントを何回かはこなしてきたはずなのにこの体たらく。

 


 順当だ。順当過ぎて泣きたくなるぜこの孤立感…


 


 

 



 入学式はもはや遠い昔のように感じられる4月半ば。授業は数学。


 挨拶代わりの実力テストの結果を反省し、バカのレッテルを貼られて悪目立ちしないように向こう三ヶ月分は各教科予習しておいたので、脳内今後どーするの会議開催。


 バスケ部の練習をこなしつつ高校デビューを目論見、リア充(センス○)を目指すためにはまず友達作りだ。明確にモブキャラの域を出ないルックス、学年300人中30位の可も無く不可も無い学力、何でもそこそこ出来るが特化した能力のない運動神経、うーんモブ王道。良くて池上レベルの渋キャラか?目立ちたくは無いが確実に認知はされたい。承認欲求か…なんとなくパラドックス。

 

 伸びる要素があるとすれば…現実的に考えて学力パラメータ方面か?密かにやってて最終的に受験で早慶引っかかっちゃってたわーラッキーだったわーぐらいのほうが嫌味がなくていい。学歴が残ればミサワ化しても構わん…なので少し上げて学年で十~二十位ぐらいの順位をキープできる学力があればいい。ただし、勉強頑張ってるアピールをしても権力の犬(教師)にしか効果がないので程度は抑え、指定校推薦がもらえる程度にはしておくのがモアベターだろう。

 

 次にキャラ方面。あまり特異な属性をつけすぎると色物のイジられキャラとして扱われかねない。どの方面の話題にも最高値10だとしたら8ぐらいは常時引き出せるぐらいの知識の深さと広さを持っておく。相手の話が6ぐらいだったら2足してあげて、美味しいところは相手に譲る。便利屋、器用貧乏のレッテルを貼られるのに注意。

 

 …これどこの胡散臭い啓発本だ?もしくは姉ちゃんが擬態用の資料として買ってた女性誌の合コン話術特集か?これが全員合コンとかで女の子が出来るってどんだけハイスペックだよ東京!いやいや記事に書かれていたって実行できるのは確実に一部のはずだ…まだ焦る時間帯じゃない…などというのは置いておいて。

 メガネCカップの彼女を作るという公約を掲げた以上全力を持って全うして実現するのが高一男子の心意気ってもんだ。加齢臭くせえ政治家見習えコノヤロー。マニフェストは飾りかこの野郎!

 

『休み時間中イヤホンして音楽を聞かない』

 

 コレ重要ね。会話に混ざれないからね。音楽何系のやつ聞いてるの?ってクラスの主流派モテ系女子がイヤフォン外させてまで話しかけてくるなんて神展開があるのは漫画とアニメとエロゲ好きの大きなお友達の虚妄。某も全て愛しているが現実と区別できているから問題ない。別に女子に苦手意識はない。うん、大丈夫。大丈夫…多分…


「あいー、今日の授業はここまでー、次は今日やったとこの次からー」


 これが本当に進学校なのか?日本語不自由な教師を適当に心配してる生徒も実はいたりするよ先生…


 早弁して、プチ目標を立てて昼練して、午後の授業で今後の方針(部活編)脳内会議という妄想をさくっと。


 一人一委員制という誰得制度により強制的になった生活委員会こと雑用係の仕事を放課後にやる。備品の整理とか管理なんて教師側の仕事だろこれ…あっても無くてもいい仕事作って何になるってんだ?大人の事情か?モンペ対策か?俺の青春寿命が無駄に刻一刻と減っていく…くそっ、早く部活に行かなければならんのに…




 最初に言っておくが、放課後に茜差す教室での出会いを期待していたわけでは決して無い。決して。だって雨ざんざん降ってますもの。でもね、青春ぽいこと一回ぐらいはしてみたいなーってのは少し思ってましたよ?ほんの少し、ほ、ほんの少しなんだからねっ!


「ね、ねえ、ちょっと!」


(きたよ。マジできたよ。リアルご都合主義?モテキ到来?)

「おお、森川。どうした?俺に告白?」

 

 女子の中では地味キャラ目地味系ギャル科に属するクラスメイト、森川。


「は、はあ?何言い出しちゃってんの?バッカじゃない?」


(そのテンプレもう飽きたわ)

「冗談でしょうが。で、何?」

(割とマジで用件が思いつかない件)


「…君さ、ウザいんだよね」


(フラグ確認。最初大嫌いからのルートですかそうですかありがとうございます)

「いきなり何の接点も無いのにそんなこと言われても困るんだが」


「キャラ作ってるでしょ?」


「仮にそうだとして、あなたにに関係ある?」


「質問に質問で返さないでよ!マジウザい」


「ウザいんなら絡まんでくれ」

(もうフラグとかいいや、好みじゃないしとりあえずめんどくさい)


「用件何?部活行きたいんだけど」


「突然でごめん。だけど真剣に聞いて欲しい。…君の事、好きなの…」



(人生初体験の告白がこんなにうれしくないとは思いませんでした)


「ごめんなさい。罰ゲームかなんか?親しく話もしてないしイケメンでもありませんし、サッカー部でもありません。お金も持ってないからATM役は出来ないよ?つーか猜疑心強めなんで信用できません。んじゃ」


「さ、さいぎしん?何それ…ちょ、ちょっと待ってよ…」


「何?」


「好きなのはホントなの!」


「信用ゼロからどういう申し開きをするか楽しみではある。理由をどうぞ」


「えっと、図書館で」


「図書館は行ったことないです。んじゃ」


「あー、ごめん!盛った!話盛りました!本当は一目惚れです…」


(やりとりに面白要素が何一つ無い上に自分に一目惚れされる要素が一つも無い。告白なんかされたことないからやぶさかでないが信用には足らない。よって却下)


「ありがとうございます。しかしごめんなさい。はっきり言います。あなたの性格も知らないし、見た目は真面目系が背伸びしちゃったギャル系だし、まったく好みではありません」


「ちょっ、いきなりひどくない?」


(責任転嫁頂きましたー。告白してきたのはそちらです。自分に不都合なことも受け入れてください。言い争いを誘発する台詞だがここで乗ったらあちらさんのペースになる気がする。努めて冷静に)


「話を振ってきたのはお前だろ。冷静になれ。もはや告白じゃなくて別れる前みたいだし」


「…」


「自分の立場に置き換えて考えて見れば簡単じゃね?全っ然接点の無い人にいきなり『好きです』言われても、『はい?』ってなるでしょ」


「うん」

(つーかあっちから話振ってきたのに俺のほうがしゃべってるのは是如何に?)


「納得してもらったところで部活行くわ。んじゃ」


「だーかーらー!」


「まだ何か?粘りすぎじゃね?」


「だってしょうがないでしょ?さっき言った以外にないんだから!」


「思春期特有の勘違いだって。んじゃ」


「君も絶賛思春期でしょ!ゆっくり話すから話聞いてよ!」


(もうめんどくさい以外言葉が我輩の辞書には掲載されていないのか)

「引いてくれそうもないんでしょ。はいわかりました聞きましょう」

(しつこくつきまとわれそうだし)


「あのね、入学式の前にね…なにがしなにがし…」


(女子ってこういう話しだすと長い…挙句聞いて欲しかっただけとか意味不明だわ。ソースは某掲示板の某板某スレ)


「…から、なの」


「そう」

(全然聞いてないけどね)


「でね、初登校日に教室入った時に…なにがしなにがし…」

(もう接続詞だけでいいじゃん。俺もはや空気じゃん)


「…から、なの」


「そっか…」

(劇場版全然聞いてないけどね・破)


「どうなの?」


「何が?」


「あたしと付き合ってくれんの?」


「付き合うって、具体的に何すんの?」


「あたしの彼女に、違った…彼氏になってくれんのかって話!」

(おい…意外とかわいいやんけ…ええやんか…)


「答えになってないよ。付き合うとは何をするのかって話だよ」


「そりゃ…一緒に帰ったり…デートしたり…その…キスしたり…ゆくゆくはエッチなことしたり…とにかく色々!一緒の時間をあたし以外の人と過ごさないって話!」


(微妙に答えになってない気もするが…意外とかわいい)


「俺も健康な青少年男子。女の子と付き合ってみたいという気持ちはある」


「ホントに?」


「この際だからはっきり言おう。俺の好みはメガネでCカップ、ショートカット(ベリーショートなら尚可)だ。JKに中身なんぞ期待していないししても無駄だ。しかし…残念だが君は基準を満たしていない」


「…」


「今の俺の発言を聞いて、その量産型高校生スタイルを矯正するのもいいだろう。しかしあなたを好きになる保障はどこにもない」


「…」


「自分に自信も無い。生まれついての生粋のモブキャラだよ。尖った要素の無い、疑い深い一般人。だから仮に付き合ったとしてもあなたが心変わりする瞬間を想像しただけでも身が縮れます」


「…」


「そんな普通の男です。しかも部活では2軍です。練習毎日夜遅いです。休みもほとんどありません」

(あれ、なんか…付き合う方向に話進めてねえか?いいのかこれで?)


「…」


「出来る事は少ないです。それでもよければよろしくお願いします」

(あーカッコつけた!カッコつけました!)


「も、もちろん!彼氏になってください!私の全てを貰って下さい!」



 さっきまでボロクソ言われてたモブキャラもどきにすべてをあげるとかいうこの子の頭は大丈夫なのでしょうか。少女漫画脳なのでしょうか。名前が美和って事もさっき知ったぐらいの男に全てをあげるとかいうこの子の親の教育は大丈夫なのでしょうか。色々心配です。屁理屈と言い訳をこねたところで、現実に彼女が出来るというオファーを思春期男子が断れるはずがありませんでした。顔はにやけていたと思います。


 というわけで、彼女ができました。

 

 もう部活どころではありません。人生2度目の彼女が出来ました。初めての彼女は中3の時、夏祭りに一緒に行っただけですが断固彼女カウントします。


「んじゃ、なんて呼べばいいかな?」


「わ、わ、私は美和でいいよ…」


「そっか。んじゃ俺のことは好きに呼んで」


「う、あ、それじゃあ、したの、なめ、なまえで、よぶ」


「なんで片言なんだ?」


「ち、ちゅうでもする?」


「ちょ、流れおかしいし早くないですか?」


「だって最初から好感度マックスだし」


「なんか表現がそっち方面の匂いが」


 地雷か?地雷を踏んだのか俺は?


「高感度マックスだし…」


(天丼ですか?天丼なんですか?そんなに重要な事なのですか?自分専用ビッチは大好物ですがただのビッチ兼メンヘラ臭しかしないのは僕だけでしょうかおかあさん…最初のツンデレ設定はどこへいったのでしょうかおかあさん…僕も健全な青年男子ですので、真面目系背伸び女子がビッチ発言で意図的もしくはそうでないにしろ変な韻を踏むという事態に直面してギャップ萌えというあまりに短絡的な現象で不覚にもドーパミン他を噴出してしまったというわけでありまして…くちびるやわらけー…母君の末は博士か大臣か、などという期待を背負って出立した身ではございますが、不肖の息子、何かが崩れてしまいそうです。いや絶賛崩壊中です。崩壊なうです。なんかくちのなかがもっとぬるぬるしてきました…)



「って舌!舌入れんな!ビッチ!」

(女の子に直接ビッチと言ったのは初めてですおかあさん…ちょっと興奮しました)


「なんで?私は入れたかったから入れたんだよ?」

(若者のモラルハザードはここまで進行していたみたいですよ総理!)


「最初は小鳥キッスをお互い恥らいながらしたかったの!」


「…い、いや!」


「若干遅い!いや遅い!」


「だってさ、なんかチューしたら頭がわーってなってそのあとわーってなって」

(誰か暗号解読班を至急呼んでください頼みますお願いします)


「つか失礼な事一個聞いていい?」


「うん」


「処女じゃないと付き合わないけど処女?」



「うん!処女だよ!」

 


 付き合い始め五分も経ってない男女がする会話では無い。明らかに無い。高校生風情に全てはわからないが何かしら手練の雰囲気。元気いっぱいに答える彼女。初めてのキスでベロチューという現実と、処女か否かという問いに対し、喰い気味に即答する目の前の女子の存在をを受け入れられないでいる高一男子(DT)。



 よし、今日は家に帰ってねるねるねるねをねるねるねるねしよう。ねるねるねるねしてればねるねるねるね。ねってればおいしくなるもんね……とトバしている場合ではない。現実だ。



「お、俺さ、結構初めてにこだわりたがる一般人だからそういうの気にするよ?チューも初めてじゃないでしょ?」



「うん、チューは初めてじゃないよ。3歳のときにうちの犬のアンディーとしたのが初めて…キャー!誰にも言ったこと無いのに!」

(どうやら日本語が通じていないようです。どうせ数年後には女同士でエグい下ネタとか話してんだろ?って姉ちゃんが言ってたぞ)


「人間とは?」


「ヒデくんとが初めてだよ…」

(なんだろう、このわかっていても乗らなくては行けない空気。いえ空気なんか読みません。もともと読めないし)



「そっか…」


 その言った時の俺の後姿は敗残兵そのものだっただろう。



「美和の初めては出来る限りヒデくんにあげるよ…」

(そうですか。リアルでこんな頭の沸いた発言が聞けるとは驚きです。本当にありがとうございました。でもちょっとうれしいです)



「もういいや、部活行くわ」



「うん、じゃあまた明日ね」


 ストレッチもフットワークもシュート練習もなんだか頭がぼーっとして何がなんだか。

 

 今日は走ろう。夕日に向かって外周でも走ってこよう。そして帰って出来るだけ萌え系のアニメ見よう。有り得ない設定のハーレムモノがいいな。眼鏡の娘さんが可愛いやつがいいな。そして男主人公の有り得ない難聴加減と鈍感さに円滑な女性対応を学ぼう。三次元では体育会系でお腹いっぱいだ。どさくさ紛れにおっぱいさわっときゃ良かったかな。


 とはいったものの、悶々とした気分は晴れるはずもなく…こんな時って、風景の一部がやたら印象深く脳内に残ったりするのは俺だけではないはず。普段はスルーしている風景が、はっきりと縁取りをされ、色塗りも原色多めでものすごくはっきりと見える。脳がそう見せているってことは、やっぱりすごい嬉しいってことなのだろう。しかし彼女の電話番号も知らないことに寝る前に気づいたがそのまま寝た。一回モゾモゾしてから。




 翌日、登校すると美和は髪をセミロングからショートボブにバッサリ切っていた。髪を切っただけでクラスの女子たちは美和の周りに群がったり、所々でヒソヒソしたり。人の噂話とカワイイ連呼。ったく、JKって奴らは「カワイイ」「ウザい」を一日に規定回数言わないと死ぬ病気にでもかかっているのだろうか?


「おはよう」


「おはよう。キャラ変わり過ぎ」


「男の子はちょっとツンデレ気味な方が好きだって言うからさ、そうしてみたんだ。あれで良かったかな?」

(いつどこで誰が言ってたんだそれ…絶対ツンデレの意味誤訳してるよ…)


「メールしようと思ったんだけどアドレス知らなかったんだよねー」


「そうだったな」


「話したいことたくさんあったんだ。昨日さ、テレビで…なにがしなにがし…」

 

 テレビはほとんど見ないし、全く話が頭に入ってこない。気になるのは一点のみ。



『あなたは雰囲気作られたら誰でもいいのですか?=真性ビッチ?』

 

 おいおい分からんぞ…



「聞いてる?」


「ごめん聞いてなかった。テレビの話だっけ?」


「どんなメガネ好きなのって話だよ!」

 

 すんません、全く聞いてませんでした。


「そらもうあれよ、あれ。アラレちゃんメガネ以外なら何でもいけるっちゅうぐらいのもんよ」


「なんで関西弁?」


「あなたが俺を好きな理由と同じ。理由なんてない」


「今なんかカッコいいこと言って何かを誤魔化してる?」


「いやいや」


 しれっと言えた自分に嘘つきの才能を見た。


「今度の部活休みの日さ、一緒にメガネ買いに行こうよ。初デートも兼ねてさ」


「基本、盆と正月しか休みは無いんだが…」


「土日は?」


「どっちか半ドンの時もある。監督の気分次第。兵士の悲しい運命ですよ」


「ふーん、そっか。ちょっとケータイ貸して。登録しちゃうから」

 

 自分で自然と兵士と言ってるあたりに少し違和感を感じつつ、慣れた手つきで携帯電話を操作する美和。


(い、意外とかわいいやんけ…ショート補正かかっとるやんけ…)


「はい、ヒデくんの方にも登録しておいたからね」


「はいよ」


「もうメールできるね」


「ラインじゃないの?」


「既読ついてから待つ時間がじれったくてやめちゃった。メールなら空いた時間に余裕持って返せるでしょ?」


「メール不精だからあんまりレス速くないけど、怒るなよ?」


「あんまり遅いのはだめだよ?」


「出来る限りがんばります」

(え、ええやないかい…青春ぽいやないかい…)


 美和が女友達に呼ばれていなくなり、ふと携帯をみるとメールが来た。

 開こうとボタンを押したその時、見慣れない『彼女(美和)』のフォルダが。そう、増設されておりました。

 

 隠すような情報もないし、彼女とはそういうものなのかと納得しかけたが思いとどまる。

 

 いやいや、普通に考えて怖い。ありえん。美和…恐ろしい子!とかニヤついていたところをモブ女子に目撃され、汚物を見る眼を向けられたので消毒される前に光速でロックをかけ、リスク対策として暗証番号を変える。

 彼女の権限半端ねえな。ちなみに初メールは本文に「初メール」とだけ書いてあった。


 放課後、部活になっても練習にいまひとつ集中出来ない。


 完全に心の一角で美和が不法滞在。

 はやくね?

 かくも単純な自分がうんざりする。


 部員総数70人を超える大所帯のため、Bは人数の少ない女子と一緒に練習をする。女子は練習になるだろうが、B男子の成長にはほとんど意味の無い練習。あってゲーム勘をつけることぐらいか。

 

 ゲーム形式で女子に強く当たると怪我をするので、加減をしながら練習台としての役割を全うする時間。おまけに監督も見ていない。皆窮屈にプレーするので自分の持ち味なぞ発揮できる訳が無い。

 

 どの世界にも必ず生存競争があり、勝ち残る奴が偉くて正義。

 

 A、B入れ替えの機会は監督の鶴の一声。

 

 何かのオーディション会場のようなぴりぴりした空気が漂う。

 言われたことをきっちりやって、自分独自の特色のあるプレーをしようとする。

 

 監督に気に入られなければはい、それまで。ってどこのプロですか?ここはいち県立高校ですよ?

 

 全国大会出場の強豪校監督達ががよくインタビューとかで人間形成って言葉多様してアピールしてるけど、こんな環境で育つはずないよね?脳筋のやつら好きだなー人間形成。試合後のインタビューとか『選手達のおかげです』じゃなくて『俺様が使ってやってるおかげだろ愚民どもが。俺様をもっと称えろクズ共が』って本音では思ってる人達一定数いるよね?絶対そういう奴ら一定数いるよね?選手として大成しなかったからって、後進の育成とか妄言掲げてガキに威張りたいだけなのが8割超えてるだろこんなもん!と某掲示板にそれっぽいスレ探して書き込もうとしたがやめた。ダークサイドに堕ちるとこだったぜ、ふう。

 

 結局、嘆いても現実は変わらないから黙々と練習するしかないのだ。


 今日も元気に目標をたてながら練習練習!


 このフットワークで体幹とハムストリングを鍛えていざというときに動ける体作り。このシャトルランで持久力と瞬発力をつけていざというときに動ける体作り。この筋トレで…このシュート練習で…

 

 このままだと、たられば前提の保険の営業みたいな感じになっちゃう?


 背番号二桁の思い出作り代打にすら出してもらえない状況のBは何を目標にバスケをやれと?


 周りを見渡せば一度も試合に出れなかった3年生もいる状況の中で何を甘いことを言っているんだ、なんて言われても響くようで響かないんだよなーいまいち。


 試合で手応えアリのシュートがリングに触れずにネットを通過する音。そして、ドヤ顔を涼しい顔して隠しながらディフェンスに戻る感じとか、いつになったら…


 いかんいかん、感傷に浸っていたところで技術的にも精神的にもよくない。ボディコンタクトを極力避けなければいけない状況で磨けることといったら…シュートの精度を上げることぐらいしかない。体格的に女子より勝る状況で、気持ちいいからってブロックばかりしたところでディフェンスがうまくなるとは考えにくい。リバウンドは当たり前に取れる状況だから、

 

 出来るだけディフェンスがついた状態でのシュート成功率を上げる

        ↓

 コートの全体像を把握しながら、機を見て出来る限り打つ

        ↓

 味方の反応を見て、練習後に話してシュートセレクションの良し悪しを選定

        ↓

 良いタイミングでまた反復

        ↓

 新しい状況が現れたらまた確認、そして修正


 当たり前のことを当たり前にやれる技術を身につけなければ。


 小学生からミニバスやってたやつらがほとんどの中で、中学から始めた自分が奴らに追いついて抜きん出るためには経験と反復だ。


 他の奴より、少なくとも倍やらないと勝てない。勝てる道理が無い。才能が無いを言い訳にするのは高校生には早すぎる。


 隣でバレー部が練習、いや美和がいるからかっこつけたり意識している場合ではない。美和と一緒にいたからといって一軍に上がれるわけではないのだ。



 その日の帰り道。


「そういうわけで、会う時間を極力抑えたいんだが」


「え?嫌だけど」


「俺はこのとおりモブキャラのくせにとても負けず嫌いだから、脳筋のやつらに負けるのはとても耐えられないんだ」


「部活だけやって何が楽しいのさ!ヒデ君なら恋愛も部活も両立できるって!」


「正直、意識しちゃうんだよ。お前のこと。かっこつけ根性が邪魔して、プレーが中途半端になるんだ」


「それは…ちょっとうれしいかも…」


「俺はさ、発言と発言の間の行間の読み違いとか解釈違いから来るすれ違いでいちいちくよくよ悩んだりして時間を無駄にしたくないんだ。だから恥ずかしいけど、思ってることははっきり伝えたいし伝えて欲しいんだ」


「そっか。じゃ私もはっきり言うね。その提案は却下です」


「なんでさ?」


「逆に一緒にいる時間をもっと増やしたい。それにヒデ君、そんなことも両立できないほどアホじゃないでしょ」


「そんなことって…現時点で結構大変なんですが」


「将来の旦那様なんだからさ、早いとこお互いに理解を深めて、安定期に入りたいの」


「ちょ、お前、旦那様って!妄想が行き過ぎてるぞ」


「周りのコとか見てるとさ、それこそさっき言ってたみたいな、ちょっとした行き違いとかでギャーギャー騒いでるんだ。コイバナとかいって盛り上がってんの。コイバナって言いたいだけだろそれ、みたいな」


「うん」


「正直ウンザリ。どうでもいい。お互いの気持ちがガッチリ噛み合って過ごす幸せな時間は長ければ長い方がいいでしょうよ」


「うん。その意見には賛成。だけど、まだ付き合って1ヶ月もたってないのに結婚って…現実感無さすぎでしょ」


「そうかなあ?」


「すごい好きってことを伝えてくれんのは素直に嬉しい。だけど思春期特有の勘違いだって。女の子は利に敏くて現実的ってイメージしか持てない。姉ちゃんがそんな感じだし」


「そうかなあ」


「俺がホームレスの無職だったら好きになってないでしょ?」


「例えが極端だよ。試しても無駄。あんまブランドものとかかわいいとか興味ないし、お金無くたって生活はなるようにしかならないし。誰とどれだけ居るかが重要なんだよ」


「俺が二次元にしか興味が無い人だったとしても?」


「あの手この手で連れ戻します」


「俺の好みが実は黒ギャル処女のギャップ好きだったとしても?」


「お安い御用で」


「何でそこまで俺なの?」


「直感。俗称女の勘ってやつですよ」


「男の俺にはわからんよ。セブンセンシズ持ってないブロンドなんで」


「ごめん意味わかんない。物事を理詰めで解決していってもつまらなかったし、納得することもあったけど後悔することのほうが多かった。直感を重視したらすごくすっきりすることが多くなったからそうしてる。結果こうしてる。とっても満足」


「勘で突然別れるってことも想定しておいたほうがいいかな?」


「あっはっはっは」


「これ結構重要」


「この感情は一生もんだって思ってるから結婚って言葉出してるんだよ。重いでしょ、結婚って言葉。それぐらい強烈な感情だし本気だってこと、おわかり頂けただろうか?」


「俺はまだ論理派所属だから言葉七割ぐらいで聞いとくよ。結構臆病なんだ」


 そうは言っていたが顔は嬉しさと恥ずかしさを隠し切れないことを表情筋が物語っていた。ちくしょう、嬉しい!セブンセンシズに食いついてくれたらもっと嬉しかった!いかんいかん…エサ撒いて食いつくか試すようなことは中学で卒業せにゃいかんな…


「電車まで時間あるし、何か食おうか」


 美和は市外住みのため電車通学。俺は市内のばあちゃんちから自転車通学。電車を待つ間、ショッピングモールのフードコートでたこ焼きをつつくコースだ。


「さっきの話、うやむやになっちゃったけどさ、美和がそこまで俺なんかを想ってくれてるのは嬉しい。会う時間を極力減らすというのはなし!撤回!」

 なんだかんだ付き合ってる感じ、青春ぽい感じ。ニヤける。


「やった!ってか当たり前だよ!増やしたいぐらいだよ」


「けどさ、早くAに上がりたいんだよ。あ、Aって1軍のことね。周りのやつらより一歩抜きん出たいんだよ。だからたくさん練習しなくちゃいけない」


「ふむ」


「だから現状維持で…」


「会う時間を減らさずに練習時間を増やそうと言ったはずですが」


「はい?」


「朝来るのを早くするとかさ」


「朝早くは体育館開いてないよ」


「市民体育館の外にコートあったじゃん」


「あそこ遠いよ。駅からでも3キロあるし、家からだと5キロはあるよ」


「そこまでランニングしていけばいいではないか」


「さすがに眠いわ…」


「手伝うよ。私も始発で来るからさ」


「ちょっと意味がわからない」


「私が側にいることに慣れることで練習に集中できるようになるし、私と一緒にいる時間増えるし、練習にもなる。一石二鳥じゃん」


「えー…眠いしだるいしめんどくさい…」


「そんなん言ってたらいつまで経ってもも2軍だよ!」


「仰る通り…」


「んじゃ明日からね。五時半集合ね」


「マジすか…てか美和は始発なんて朝早くて大丈夫なの?」


「私は電車の中で少し寝れるから」


「ねえ、なんで会ってそこそこの男にそんな入れ込めんの?」


「同じこと何度も聞く人はあんまり好きじゃないよ。アホ扱いされんのはウンザリ」


「ごめん。嬉しいんだけどさ、人に好かれんのに慣れてなくて」


「私だって…あんなスピード告白、勿論初めてだよ!ってか告白したのも初めてだし!」

 

 いいとこの育ちなのか、バカなのか、人を疑うというコマンドが無いらしい。


「スピード離婚にならなきゃいいけど」


「ないから!マジで!」

 

 困り笑顔を浮かべながらこちらを覗き込む眼差しに、また少し警戒レベルが下がった気がした。


 なんだか美和のペースに巻き込まれて、取り込まれている感覚が少しあったが、無視して流れに身を任せることにした。


「わかった。その提案採用!」




 次の日の朝、婆ちゃんに起こしてもらわないと到底起きることが出来なかった。駅に美和を迎えに行き、人の居ない駅前商店街を2人乗りの自転車で駆け抜けるのはとても気持ちが良かった。ザ・青春である。

 

 あまりにリア充で、後ろから誰かにスナイプされるんじゃないかとちらちら振り返り、誰もいないことを確認して心底安堵した。

 

 満開の桜の木が点在する田んぼの間に、申し訳程度に通された舗装道を、シャーッという渇いた音が駆け抜ける。うん、今日もいい天気だ。


「ねえ」

 

 美和がささやく。


「こんなに近いとやっぱりどきどきするね」

 

 こっちもめっさ心拍数あがってるっての。ついでに主に下半身でキャンプの準備もばっちりだぜ!道路のガタガタがヤバいぜ!

 

 市民体育館のコートはがら空き。予め練習着に着替えてきたので、すぐにシュート練習を始めた。



 俺は、血筋的には三親等以内にスポーツ経験者のいない運動音痴エリートのサラブレッド。父は学生時代帰宅部皆勤賞を貫いたらしいし、母親も編み物と裁縫畑。兄貴は雑食系王道アニオタ。姉ちゃんは腐ってる。何でもそれなりには出来るが、そんな自分が抜きん出るためには、やはり努力と反復練習しかない。


「美和はなにすんのさ?」


「見てるよ!」


「暇ならパス出してよ」


「気が向いたらね」

 

 準備運動とストレッチを軽くして、ボールを地面につく。ゴムボールの渇

いた安っぽい音がティン、ティンと朝の澄んだ空気に広がる。


「ねえ」


「何?」


「ショートカットすげえ似合ってるよ」


「ありがと!」

 


 始業時間に間に合うように学校に着くためには、7時半にはここを出なければならない。時間的に、中距離のジャンプシュートを150本から200本ぐらいが妥当なラインか。重要なのは成功率の上昇。ノーマークなら全て決めるぐらいでなければ、マークがついた状態での成功率が思いやられる。


3/10、5/20…

 

 …最初はこんなもんだろう。

 入ったときは何故入ったのか、体、特に肘と膝の使い方はどうだったかを細かく意識するという知識をスラムダンクから取得済みの俺に隙は無い。


「全然駄目じゃーん!」


「うっせー!だからBなんだよ!」


 たまに飽きて横槍を入れたり、パスしてくれたりしたが、基本的に美和は体育座りでじっと見ていた。すかさずパンツをチラ見して、黒であることを確認した後、白であって欲しいという期待が裏切られたので、うっすら複雑な気分になった。

 

 結局、パンツチラ見成功率ほぼ100パーセント、シュート成功率25パーセント切りと惨憺たる結果で朝練初日を終えた。もうチラじゃない。

 

 手早く着替えを済ませ、また二人乗りで登校路につく。


「パンツ黒だった」


「やっぱ見えてた?」


「何かしらの罠かと警戒しましたが、本能に抗えるはずも無く、チラ見で拝見させていただきました」


「お粗末様で。見せてるという意識は無かったんだけど…」


「改めて言うわ。美和、僕と付き合ってくださいい!マジで!」


「パンツ効果恐るべしだね。ま、これからいつでも見放題だから安心して」

 


 美和さん、近いです。息が、吐息にも似た息が耳にかかってます。



「ビッチを匂わす発言はここだけにしとけよ。たぶん普通に嫉妬するから」


「そんなバカなことしないよ。度合いを間違えると喧嘩別れになるだろうし、私そんな駆け引きうまくないし、そもそも駆け引きがめんどくさい」


「お前、大人時々バカって感じだ」


「何そのはれ時々ぶたみたいな。バカってひどくない?」


「そういうことはテストの点で俺に勝ってから言え」


「ヒデ君この前のテスト何位だった?」


「30位」


「あたし76位。負けてるわ」


「一瞬負けてるかと思ったわ。でも心配しないで。人間関係に俺からとやかく言うことはない」


「言ってくれたほうが愛を感じる場合もあるよ?」


「15歳に愛を語る資格はねえ」


「年は関係ないよ。インスピレーションの美しさと大きさ、そして質だよ」


「お前マジで時々なんか憑依してる?」


「そう?」


「神の子孫とか、多重人格とか、実は宇宙人でしたとか、未来からきましたとか不治の病ですとか、裏設定あるなら早めに言っておいてくれよ」



「仮にあったとしても絶対に言わないよ」


 


 




 あれから毎日、意外にも練習は続いていた。彼女ポジションも板についてきた美和と色々な話をした。

 

 枝豆を全部出してからじゃないと食べられない二つ下の妹話とか、家で飼っている牛が産気づいて大変だった話とか。性別が入れ替わったらどうなるかとか、美とは何かとか。生い立ちとか。友達づきあいとか。ブラーブラーブラー。

 

 とりとめの無いくだらない話も、現実問題に即した時事ネタ話も、時間軸の存在を忘れてしまうほど安堵感があって、楽しいというより心地いい。

 

 たまに熱を帯びてくると、自分の意見ばかり早口でまくし立ててしまう時があったが、美和はゆったり聞いてくれた。

 

 何より嬉しかったのは、きちんと意見を話そうとしてくれるところだ。

 

 幼くて拙くて危うくて、電波な時もあったが、美和は必ず返答をくれたし、議論好きだった。同世代の女子なんてもんは、ツッコミのない小学生の絵日記調の今日何あった話を延々と垂れ流し、随所に「かわいい」を入れないと話が出来ない存在だと思い込んでいた自分には新鮮だった。

 

 パンツは相変わらず見放題で、黒が好きらしい。黒以外の日がなんかお得感を感じるくらい。何故黒なのかと尋ねてみたところ、美和曰く「大人になった気がするから」とのこと。いいね。大人とは何を指すのかはわからないが自分も黒は大好きだ。

 

 他の人には見せんなよ、と言うと美和は自分に独占欲が出てきてうれしいとフルパワーの笑みを浮かべた。所有欲は人一倍あることは自覚していたが、うっかり見せてしまってなんだか覗かれた気になり恥ずかしかった。


 朝練の行き帰りに、美和が冗談めかして時々耳を噛んでくるようになったり、頬をなめたりするようになって、シュート成功率と基礎体力と、ある部分の弾道が若干向上して、葉桜と共に5月が過ぎようとしていた。思い出語り調ではあるが、死亡フラグではない。

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