▲5冊目「星を追う者たち」を読んだよ!
レビューを書いたら、こちらもが僕の中での通例なので、勝手に読書感想文を書かせてもらいます。リアルであれネットであれ、活字と戯れる時間は幸せです。
さて、今回は小説家になろうで連載中の矢口先生著
「星を追う者たち」
です!!
まずは作者様あらすじ!
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真面目に生きて来ただけなのに、家族は死ぬわ、姉は狂うわ、でさんざんな人生。
せめて、死んだ弟の骨だけでも手に入れたい。 最後の望みで自殺願望を覆い隠し軍に残るテストパイロット。
ささやかな望みにつけ込む魔女は彼を異世界に召還。 実験場だと勘違いしたのが、運の尽き。 迫り来る大国から、この国を守れ?
戦力比108+『魔獣の群れ』VS 1
陸戦兵器一台でどうしろと・・・・・・その上生まれ変わった弟は・・・・・・これ妹だろ。
一式戦隼からロボット兵器まで交えてドラゴンと大立ち回り。 近代兵器?魔法の威力なめるな! の世界観で御座います。
文体が3人称です。 少し堅い表現ですが興味のある方はどうぞ。
第2回エリュシオンコンテスト1次通過に伴い、プロローグの加筆を行いました。
ご了承下さい。
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そしてオカザキレビュー。
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本物のファンタジー・SF・戦記が。そして何より懸命に生きる全力の物語が溢れていた。
これはスゴイ。冒頭、決してキャッチーではない。だからポップでもない。でもロックなのだ。あえて音楽のジャンルで例えると、ね。
主人公、匠君は不器用。異世界での戦争に巻き込まれながら、粗い感情を撒き散らしながら、何が最善かを必死に考える。大切なものを守りたいという感情と、これは戦争だという揺るがない現実と。
ヒーローでは戦争は終結しない。
戦争は、国策だから。
戦争に勧善懲悪はあり得ない。その国にとっての正義とは、その国を発展させ、防衛する事だから。
上官は部下に向けて、死んでこいと命令する事がある。それが戦争だから。
それでも、それでも守りたいモノと、この戦争であるからこそ出会ったモノと、まだ気付いていないけど、本能が気付いている大切な存在が匠君にできる。
せめて、そこまでは読み進めて頂きたいです。多分、その頃には中毒です。間違いない(笑)
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レビューはね、文字数制限があっていつも語り足りない(え?
という事で、さらに書いていきましょう!
ご案内させて頂きます。まずはお品書き。
・異世界ファンタジーですが、地球と異世界(惑星カグラ)とを行き来できます。
・異世界なので魔法が有ります。
・魔法は万能じゃありません。
・ドラゴンの他、モンスターもいます。敵国は品種改良なんかもやってのけます。
・時代は西暦2050年代。今より軍事技術が進んでます。
・AS(アームドスカウト=支援随伴機)というチャチな言い方でのロボットやその他軍事技術で、ファンタジー世界で敵国に向かい打ちます。
・そして敵軍も自軍も容赦なく人が死にます。チートなんて言葉ないです。ナニソレ、オイシイノ? 的な(笑)
・国と国の駆け引きにも息を呑む。そして両国それぞれの思惑も丁寧に描写。
・地球でもカグラでもない第三者的存在も…
何が言いたいかと言うと、もう一言では語り尽くせないぐらい、盛り沢山の材料で、徹底的に書き込まれているのです。
レビューでは、戦争の側面について書かせてもらいました。この物語のキーが「国家としての戦争」であり「国益の定義」である事は間違いないのです。
しかし語り足りない僕は、あえて傷つく2人の未来について語りたい。
島国出身で、彼の国の国防軍の中で、異世界における参謀長にさせられてしまった青年、柊巧。
そして巧を異世界に呼び寄せる張本人とも言うべき、ヴェレーネ。外見は幼いが、強い鉄のような意志と博識をもって打算により巧君を、国防軍を異世界へ招いた訳です。惑星カグラ フェリシア王国の女王代行という立場の為…。
この二人の関係が面白い。
特にヴェレーネさんは、自国を守る為に巧君に嘘をつき続ける訳です。それはそんじょそこらの嘘では無い。
それなのに後悔が滲み出る。
そして翻弄される。巧君の、荒削りとも言える感情に。彼は軍人であり、効率よく人を殺す事にも熟知している。だが、それと相反して、目の前の家族や仲間を守りたい事への想いも強い。それは時として、フェリシア人を救う事にも躊躇ない。異国の人ではなく、同じ軍の仲間という想いを感じるのだ。
それは軍隊という生き物からはそぐわない。
だが、だからこ、混生軍は点ではなく、線になっている。
そこに翻弄されるヴェレーネさん。
当然、女王代行としては許容できない事もある。
でも許してしまうんだよね。
それはあり得ない。
あり得ないと分かっていながら、巧君に翻弄される。でも巧君も立場をわきまえている。この微妙な関係性とともに、戦場の統括は巧君。後方とフェリシアの国政・外交はヴェレーネさんの仕事と、しっかり分けられているのも興味深い。
お互いの役割はしっかり認識しているのに。
お互いが大切だと本能では察しているのに。
素直になれないんだよね。
巧君は弱い。
ヴェレーネさんも弱い。
それぞれの大切なモノを、少しづつ曝け出すそれは
人とは、こんなにも不器用にしか生きられないものか、と溜息が出る。
ヴェレーネさんは少し気付き始めているけど、巧君がそれなのは、まぁ主人公のお約束か(笑)
そしてですね、ここまで軽く語ったのは、ごく一部で。巧君の弟は妹になってしまったりとか、オタな部下がここぞというところでは冷静だったり、軍人メンバーは体育会系合宿か? ってくらいのニヤリ具合があったり。それはそれは素敵な感じです。
それぞれの人間ドラマがまた深い。そのドラマも注目です。
という事で、文体のタッチは硬派です。丁寧に丁寧に描写し、設定を伝える様は作者様の、物語世界への愛を感じます。決してライトではない。ポップではない。ロックであり、ファンタジーオペラでありながら、SFの愛を所狭し散りばめ。ご都合主義は無い。だから興ざめない本物の物語があり、何より作者様の作品への愛を感じさせる。
是非、ご一読をおすすめします。
僕は時間ができたら、もう一回最初から読みなおそうかと思います。
そう思わせる、素敵な物語がココにあります。
最後に、本稿記載段階で、第2回エリュシオンコンテスト1次通過。やっぱりね、と思います。まぁ僕の溺愛もありますが、是非とも本で読みたいと思います。
あえて言うとすれば、設定集が欲しい。膨大にして精緻な設定と登場人物。大事に読まれる事もおすすめしたいですね。先に先に読み進めたいのをぐっとこらえて、ね。
素敵な時間をご馳走様でした!