◯3冊目 ヴェルヌ著「海底二万里」を読んだよ!
雑食に読書してる僕のマイバイブルな一冊をご紹介したいと思います。という事で、今回はリアルな書籍の一冊。
ヴェルヌ作 海底二万里です。
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≪Amazonより粗筋引用≫
世界の海上に続発する奇怪な海難事故。長く、紡錘形で、ときに燐光を発し、クジラよりはるかに大きく、異常な速力をもった“なぞの怪物”が目撃されていた。調査に向かったパリ科学博物館のアロナックス教授たちは、ついに日本近海で、この怪物に遭遇する―。自由と海を愛するネモ船長と、超潜水艦ノーチラス号に導かれ、海底に展開する大冒険。いまよみがえるヴェルヌ不滅の名作。
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もう語るまでもない冒険SFの走りです。
ノーチラス号、二万海里の冒険譚、そして謎のネモ船長。これだけで、全て語れる感じです。今回紹介する海底二万里は、僕が小学校時代に熱中した一冊でした。
ヴェルヌの小説は空想科学小説とも呼ばれています。いわゆる科学小説、SFの走りでしょうか。彼の手法はテクノロジーを当時(19世紀)の知識をフル活用して冒険小説を描く事にあるので、ある意味では未来予想図ですらありました。
では、そんな未来人の僕らから読んだ海底二万里の魅力は?
潜水艦を想像した事も、海底の旅も魅力的ですが、やはりネモ船長の人なりだと思います。
ネモ船長は謎に包まれています。
ネモはラテン語で「誰でもない」を意味する。これだけでゾクゾクする。ノーチラス号の船員にいたっても、名前を漏らす事はない。
招かざる客である主人公アロナックス教授を含めた三人の接待をするのはネモ船長のみ。
世界を断絶した意思を否応なく感じるはずです。
明らかに、アロナックス教授含む三人は「招かざる客」であると断言され、幽閉された囚人でありながら最高の接待を受ける。
彼らの存在を世間に認知される事を許さない、と。
藻屑とるか、ノーチラス号の一員となるか。しかし一員と言っても、それは同志では決して無い。
仲間を想い、知への探求に貪欲であり、もてなしに最大限配慮する紳士でありながら────。
背負っている悲しみ、憎しみに息を飲むことになると思います。
パイプオルガンの演奏とともに教授が盗み見したネモ船長の姿があまりに鮮烈で美しかったです。
実は、この作品はこれで完結ではなくて、ですね。
彼を知る為のプロローグなのだと僕は解釈しています。海底二万里では不明な点が多いまま幕を下ろします。それがまたこの作品の魅力で、だからこそそれぞれの胸にネモ船長が眠るのが正しい読み方かもしれません。
児童文学と思う事なかれ。
これは、許さないが故に赦されない業の輪廻でもあるのです。
ちなみに19世紀の科学知識ですので、海底の知的な描写はファンタジー程度で読み流す事をお薦めします。
という事で、このお話は実は「神秘の島」という作品で完結になるのですが。まぁ、いったんネモ船長は胸の中で眠っていてもらって、純粋に「神秘の島」を再読してからレビューとしましょう。それでは!