最終話:雪の中を
本を返し終わり、月夏たちが昇降口に着いた時は、四時半を回っていた。
四時三十三分の電車には間に合わんな。
次は六時十分か。
駅まで歩いて三十分。
でも雪があるから、四十五分はかかる。
それを差し引いて、自由時間は約四十五分か。
本屋でマンガの立ち読みでもするか。
「んじゃ、先帰るわ」
そう月夏が冬花に別れを告げた後だった。
「ちょっと待ってよ」
冬花は月夏のコートのすそをつかんだ。
「あたしをおいていく気?」
なんだか力のこもった感じがした。
後ろにひっぱられる。
「お前、友だちと帰るんじゃなかったっけ? さっきそういってたじゃん」
「何いってんの。みんな帰ったよ。部活ないんだから」
「んじゃあ、友だちって誰だよ」
「月夏に決まってんじゃん」
……オレか!?
「ほかに誰がいるのよ」
「あ、……まあ、そうだよな」
月夏ばっと傘を開いた。
その中にに、すっと入っていく冬花。
今朝は傘を拒否していたのに、帰りはやけに素直。
「ん、何?」
「いや、なんでも……」
言葉に詰まる。
あたりまえだろ。
何度も断られたことだぞ。
それなのにこんなにあっさりと。
冬花らしいっちゃらしいが……。
でもまあ……、な。
深く考えるのはやめよう。
月夏は大きく息を吸い込んだ。
「じゃ、行きますか」
道路の両側にはでこぼこの雪のヤマ。
道には雪かきをしたあとが残っていた。
しかし、雪はどんどん降り積もっていく。
誰かの歩いた跡も見えるが、そんなのほんの少し。
足跡の上に降り積もる新雪。
そこに新しく、二組の足跡が刻まれていった。
しかしその後には、また新しい雪が降り積もっていく。
まるで二人の足跡を隠すかように。
<終>
平凡なまま終わってすみません。
次回は、がらっとスタイルを変えて小説書いていきます。




