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8.ひとつの努力が終わったら、次の努力が待っているのが人生かも

 

 両手の平と膝の内側で這いずって匍匐前進ほふくぜんしん、たどり着けなかったら死ぬかもしれないくらいの必死さで、ようやく食料置き場にたどり着いた藍は、ジュースとチョコレート味のシリアルバーを掴み取り、上向きになって一息ついたが、今度は手に力が入らなくてペットボトルのスクリュー蓋が開けられないという残酷劇。再び命がけで体を起こし、すでに一度フタを開いた水のボトルを掴み取った。ようやく水を飲んだ時は、これが噂の回復ポーションかと思ったのだった。

 なんとか座れるまでに回復してしばらくソファに座り込み、このままではダメだという危機感に苛まれて、プロテインも飲んだ。


 一日に二度バーン・アウトすれば十分だ。もう一歩も動きたくないだろう、わかる。

 藍はクッションに埋まりこんでしばらく寝ると、日が暮れかけたころフラフラッと起き上がり、夕ご飯を食べた。

 そしてメイ姉さんに、「食べられるなら、まだ大丈夫だよ、明日のプランを練ろうかね」とか言われて、貧血を起こしかけた。



「はー、柵のプランか~、もう寝たい~」

『ああ、寝たらいいよ、それで夜に野獣に襲われるがいい』

「いや~ん、メイ姉さん、スパルタ~」

『藍、現実を見な。 ここはどこ?』

「う~~ん、異世界?」

『異世界定番は?』

「転移でしょ、ステータスボードでしょ、全言語理解に異空間倉庫、鑑定にマップ」

『よし、唱えてみな、ステイタスと』

「あ、そうか。 ステイタス オープン!」

『何か出たかい』


「……出ない……」

『あたしゃ昨日思いつく限り試したさね、何も出ないね』

「ええー! ひどーい、死ねって、死ねっていうのー」

『だから、パソなんじゃないのかい』

「あ、あ、あー、かも。 ショッピング機能特化か~」

『出不精の藍にはピッタリさ、貯金もあるしね、カード使用上限一カ月五百万だったかい? 二枚で一千万だよ、このゴールドカードホルダーが。神も人を見るんだよ、きっと』

「うーうー、メイ姉さん、お慈悲を、お慈悲をください~」

『ほい、ヒジキ』

 猫のお手々が、和食弁当のヒジキとおあげの炒め煮から零れ落ちていた一本のヒジキをひょいと藍の方へ押し出す。


 メイ姉さん、真ん中の“じ”しか合っていないけど? あ、順番は違うけど“ひ”もあるか、どうだかねぇ。



 明日のためのアクション・プラン作成タイムが始まった。

『柵だね、柵』

「うーん、柵かあー」

『はい、はい、とっととアイディアを出しな』

「うーー。私の体力でイケそうなものは~。うー、軽くて丈夫、設置が簡単、それでいて突破しづらい、うーん。

 そうだ、サッカーのゴールネットみたいのどうかな、あれなら衝撃を吸収するけど破りづらい、ほら、テニスのネットとか、あ、ちょっと違うけど卓球のネットなら目が細かいから鼠とかにも対応できるかも」

『なるほど、いいかもしれないねぇ。鼠ならあたしに任せな。

 でもどうやってネットを張るつもりだい?』

「あーそーかー、えーっと木と木の間にロープを張って、そこから下げる? ほら、シーツ干すときみたいに」

『ロープは? 木に巻きつけるか、まあ、それならいけるか』


「えーっと、じゃあ、巻きつける木を選んで、マークして、巻き尺で距離を測って~。ああー、考えるだけでできそうもないのがわかる~。ねえ、柵なしじゃダメ?」

『いいよ。 そんでこの世界の魔獣かなんかが~、ガオーン』

「えーん、メイ姉さんのいじわる~、魔獣なんかいるかどうかわかんないじゃん~」

『獅子は奈落に』

「姉さん、猫じゃんー」

『ふん、心はライオンさ、ライオンハート!』

「あ、うまいこと言ったつもりだ、そうか、メイ姉さんジャンクロのファンだったのかぁ」

『ふっふふ(テレテレ)』


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