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7.住めるところを探しに行かないでここに住もうと思うところが、ある意味ブッ飛んでいる

 

 朝ごはん、いや朝パンを食べ、メイ姉さんもお気に入りドライフードに小カップ入りウエットフード(メイ姉さんはボンジュールと呼んでいる。本当の名は“ポ”で“チュ”だ)を付けてもらって満足した。缶コーヒーがご不満な藍は、お湯を沸かしてコーヒーを淹れられるようにカセットコンロとやかんを買う、あ、マグカップも、と決意した。


 藍がボールペンを握り、アクショーン・プラーン! とか言いながら、今日のスケジュールを立てようとメイ姉さんと紙を囲む。今朝見た夢のせいで、ちょっと真面目にやった方がいいかもしれないと思ったのかもしれない。


「えーっと、まずは大きいテントを立てるでしょ。それで、このワンタッチテントを移動して、災害用トイレとメイ姉さんのトイレを設置する、と。 でいい?」

『ああ』

「とりあえず二、三日もつように蓋つきバケツ、と。あー早めに穴を掘らないと、スコップね。 えーっと、メイ姉さんのトイレシート、と」

『いつものやつで』

「はいはい、デオドランドのね。

 それで大きいテントの床にする、えーっと、スノコ、断熱シート、置き畳を追加、まずそこまでね。これだけで昼になりそうな気がする」

『あんたの筋肉じゃね』


「う、うん。 筋肉つくように、プロテインとビタミンジェル買うかなぁ」

『いいんじゃないかい? ここが完成するころにゃおまえさんはポパイさね』

「何? ポパイって?」

『あー、アメリカさんのアニメさね。くたくたに煮てベビーフードみたいになったほうれん草の缶詰をイッキ食いして、一瞬で筋肉モリモリになるんだよ』

「それ、ムリゲーじゃない?」

『そういうショート・アニメなんだよ、子ども相手に野菜を食べようってプロパなんとかとかじゃないかね』

「ふーん、よくわかんないよ」


 午前中、藍はワンタッチテントの高さを調節して支えに使いながら、大型のイベントテントの足を少しずつ高くしていくという手順系離れ業に挑戦しフラフラになった。

 人をダメにするクッションに崩れ落ち、スポーツドリンクと砂糖とバターがたっぷり入ったフィナンシェで半分くらい回復すると、ワンタッチテントをひーひー言いながら移動させた。そして、楽をしようとすると、かえって苦しむことをしみじみと実感したのだった。大型テントの中に張ってある小型テントを、張ったまま移動させようなんてひとりじゃムリゲーだったのだ。無駄な工夫を重ねた挙句に、一度畳んで、ふたたび展開することになった。


 予想よりうーんと早く、ここで昼休憩になった。メイ姉さんに励まされながらおにぎり弁当を食べて、麦茶をがぶ飲みした。食べなきゃ動けない。思いついてビタミン補給にカットフルーツも口に押し込んだ。 よし、やるぞ! とまあ、やる気だけは多少湧いたのだが。

 メインテントを寝られるように整えないと今夜が越せないと追いつめられ、なけなしの根性と、わずかながら肝臓に備蓄されていたグリコーゲンを最後の一滴まで絞り出してメインテントにスノコと断熱シートと置き畳を敷き直したら、ハンガーノックで倒れてしまったのだった。


「ああーもう駄目~」

『はいはい、ここだよ、ここ。ここがプロテインとビタミンジェルの出番だ』

「う、うーん、置いてるところまでたどり着けない~」

『しっかりおし、猫のお手々で運べないだろ、這いずって行きな』

「姉さん、スパルタ~」

『猫は孫を崖の下に蹴落とすんだよ!』


「……獅子は我が子を千尋の谷に落とす!」

『それが思い出せるなら、まだいける!」

「いや~ん」


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