6.世界のどこかに、私を呼んでる人がいる、らしい
次の朝、藍とメイ姉さんは、同時に目を覚まして「あんた誰-!」と絶叫していた。
顔を見合わせて、『藍も、見たかい?』 「メイ姉さん、あれ誰?」と言い合う。
『まあ、落ち着こうか』
メイ姉さんは猫の習性で思わず毛づくろいを始めてしまう。落ち着くにはこれが一番だ。
「あ、うん、夢だよね?」
藍は思わず髪の毛に指を入れて梳いてしまう。かなり猫寄りだ。
藍とメイ姉さんは同じ夢を見たらしい。起き上がった藍は机に置いた命綱のパソの前に座り、メイ姉さんは机にあがる。メイ姉さんの前に水とドライフード、藍の前に缶コーヒーが出たところで、擦り合わせが始まった。
「ロングヘアだったよね、縛りもしないで振り乱して。バサバサだった」
『ああ』
「軍服だった?」
『そうだねぇ、たぶん』
「目つきが悪くて」
『三白眼』
「怒鳴り声がすごい」
『命令口調が頭にきた』
「そこはまあ、軍人さんみたいだったから~」
『まあ、ねえ』
「ねえ、さあ、軍人で階級持ちだよね、略章がいっぱいついてたし。で?バサバサロン毛?」
『ないねー』
「異世界ならある?」
『どうだかねぇ、貴族か王族のボンボンで、押しもバカ強くて、誰も意見できないとか?』
「ああーあるかも。怒鳴り声を誰も聞きたくない」
『平和な軍隊なんだねぇ~』
「そこはよくわかんない。階級が上がるとやりたい放題なだけかもよ」
『すごい実力者かね。魔力が髪の毛に宿るとかなんとか』
「魔力、あるのかなあ、この世界。 とりあえずあの大声かぁ、周りは気の毒に」
『だねぇ、カンケーないからどーでもいいようなもんだよ』
「……」
『なんだい』
「本当に無関係?」
『だといいねぇ』
「叫んでたよね、召喚したそこの女、さっさと出頭せんかー! 来ているのはわかっている。すぐさま出頭せよ」
『はあ』
藍とメイ姉さんは、とりあえず黒髪バサロン毛を振り乱して吠えていた、多分貴族の多分軍人さんのことはこっちに置いておくことにした。
出頭せよ、って。 どこに?
だよね。