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4.テントを買おう

 

 藍はあっけにとられて出てきた物と箱に遊ばれている愛猫を見ていた。帽子の箱を転がして戯れてしまったメイベルは、ふと我に返ったらしく取り繕ってオットマンに上がってきた。

 毛づくろいをしてから、何事もなかったように話しかける。


『よかったじゃないか、これで水はできたね。次の注文がどうなるか試してみな、さあ』

「え、えーっと、食べ物? うーんと絶対欲しいのはパソコン置く机かな、あとパソが雨に濡れたら不味いから、パラソル?」

『藍はバカだねぇ、テントにしな、テント』

「あ、そうか、テントテント、これなんかどうかな」

『いや、それじゃないよ、運動会の本部席で使うやつ、白くて防水で、布を下ろしたら壁になるやつ、探してみな』

「あ、うん、あるある、イベントテントっていうらしいよ。メイベル見る?」

 再び膝に両前肢を掛けて、画面をのぞき込んでいるメイベル。

『そうそう、これこれ、そうだねぇ、この緑のにしたら』

 メイベルの肉球付きお手々が、パソの画面にピシッと触れる。


『ここなら緑の方が目立たないだろ? 何がいるかわかんないんだから、目立たない一択だよ』

「うん、じゃあこれ、それで、倒れないようにえーっと、バラスト? ウエイト? これこれ。これに差し込むと倒れにくいやつね」

『ああ、いいものがあるねぇ、これがあれば地面掘って埋めなくていいね』

「後はぁ、このイベントテントが3mx5m、デカい?」

『いや、それでいいよ、あまり狭いところでじっとしているのは良くないからねえ』


 確定しようとして危うく気が付いた。

「メイベル、これムリ。ひとりじゃ立てられなくない? 最低でもふたりいないと立ち上がらせられないんじゃないかな」

『あ』

「やっぱり普通のハウス型テントにしようよ」」

『そうだねぇ、だけどさ、出入りするときいちいちしゃがむとかねえ。これなら窓もあるしねえ、藍は当分このパソコンから離れられないだろう? 2,3日、長くても1週間ほど住むつもりで狭いテントにすると、気が滅入っちゃうよ。

 そうだ、こういうのはどうだい、こっちのもっと小さいワンタッチのを先に立てて、それを支えにして一本ずつ足を立てたらできるんじゃないかね』

「あ、そうか、できるかも。大変そうだけど」

『まあ、あんたの筋肉じゃあねえ……』

「う、うん」


『小さいほうはトイレ用にしたらどうだね、おなじ場所でトイレは猫が相手でも辛いだろう?』

「あ、そうかー、さすがの二乗~」

『なんだねそれは。まあ、今日は小さいほうだけにしときな、一度にやると明日は筋肉痛で手も上がらないよ』

「そうかも」

『絶対に、間違いなく』

「う、うん」

 この三年ほど、週に一回、切羽詰まってもせいぜい二、三回、財布を握りしめて気配を消しながら買い物に行くだけの生活だ。何も言い返せない。


「これで確定していい? 他にある?」

『テントにテーブルかね。 椅子もいるんじゃないかい。念のために地面に敷く断熱シート、いやお待ち、災害時の一時避難用居住テントは下にベニアの床を置くんじゃなかったかい? ベニアの床とか作るのはまた今度にして、今はスノコ置いて、断熱シート、カーペットの順だね』

「ひえー、わかったわかった、爪出さないでよ。スノコ、スノコと、150x60?よくわかんない仕様よね、ヒノキのスノコ、これでいい? うん? ワンタッチテントは2mx1.5mかあ、えーっと、150cmの方向が1枚で、60cmが3枚ね、合計3枚ッと。 断熱シートがえーっと1枚でよさそうかな、で、カーペット? か重くない?畳の方がよくない? カーペット干すとか面倒だよ? 掃除機もないし。よし、半畳の置き畳にしよう、扱いやすそうだし」

『へー、最近はこんなのがあるんだねえ、これはいいよ』

「あと、椅子は邪魔だよ、テーブルは畳に座って使うやつにして、椅子はキャンセルね。これでどうかな、メイベル」

『いいけど、ちょっとお待ち、シャンプーの上にテントが出るよ』

「あ、そうか、ちょっと脇に寄せるかな」


 こうして藍とメイベルは、藍の筋肉痛以外は、比較的たやすく仮の住まいと水、そして麦わら帽子を手に入れたのだった。


 この先どうなる?


藍について

藍は、あい、と読みますが、それなりに意味はありまして。英語でaiは、ミツユビナマケモノのこと

三年醸成ヒッキーの藍は、今はやむなく働いていますが、このまま働き続ける訳もなく、作者ですらどうするんだ、藍、このまま死ぬまでテントで生きるのか、と思っております


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