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30.メイ姉さんは人間になったけど、やっぱりチョー能力は使えるようだ

 

 婚姻の儀の後、ハインツとメイベルから立ち合いの方々へのお礼の饗宴がもたれ、藍も席をもらって美しいメイベルを鑑賞した。さすが美猫だったメイ姉さんは人間になっても超絶美人だった。銀色の髪はハンス・ローエングリムの妹と言われても違和感はない。瞳の色は猫だった時と同じ透き通るようなアンバーで、瞳の代わりに琥珀が入っているようだった。いつも舐めては美しさを保っていた肌には傷ひとつなく、完全栄養食のキャットフードの効果なのか(マジか?)ボディラインも美しい。


 メイベル、美しすぎる~、とかうっとりしていたら、頭の中にメイ姉さんのチョー能力通信が届いた。

『藍、ありがとうね。おかげで人間に戻れたよ』

「うえ?」

 声を出しかけて、どこにいるかを考えて口を塞ぐ。隣のハンスが「奥さまからですか?」と囁いて、場をごまかしてくれる。


『頭の中で話してごらん、読み取ってあげる』

『う、うん。 きれいだねえ、メイ姉さん』

『そうだね、あたしも鏡を見せられてチョー弩級にびっくりしたさ』

『ふふ、メイ姉さんだ』

『ごめんよ、話し方もそれなりに作っているからね。でも、あたしは藍のメイ姉さんさ』

『うん』

『藍、ハンスから話があるそうだよ、あとで聞いておやり』

『うん、わかった』


 メイ姉さんの言った通り、ハンスが「メイベルさまに頼んでおいたんだけど、聞いてくれた? お客様を送り出した後迎えに行くから、客間で待っていてくれる?」と囁かれた。

 怪訝な思いはあったが、そうか、私のここでの用事はもう全部終わったのだから、これからどうするかという話かな、と思い当たった。




『ねえねえ、メイ姉さん、あのね』

『何だい、藍」

『ジャンクロのファンだったよね』

『あ』

『わかっちゃったよ、私』

『う』

『似てるよね~、ね? 髪を短くしたらわかっちゃった、私。

 ジャンクロと似てたから、少佐に会ってもいい、って思ったんだよね、ね、姉さん。忠治さんでよかったね~、この先ずーっとジャンクロと一緒! だよ、らぶらぶ~』

『うーーー』


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