表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今世は聖女になります~魔力ゼロの無能と言われた私、魔術至上主義を物理で壊して自由に生きます~  作者: 流あきら
第二章 高等学院二年生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/80

058 竜族

 エマの家への訪問は、思わぬほどのリフレッシュになった。

 去年からのもろもろで、知らないうちにストレスをためこんでいたのかもしれない。

 エマの許可を得て、私はロマンス小説を借りて、少しづつ読むことにした。

 帰ってくると私は早速リュウジに挨拶する。 


「よーし。高い高ーい」

「クー、クー、キュルルルル」


 リュウジを持ち上げると、嬉しそうになく。

 最近なんとなくやってあげたのだが、思った以上に好評だった。

 

「ねぇねぇ、あたしもやらせて?」

「うん。リュウジ。エマが高い高いをしてくれるって」

「クー、クー」


 リュウジはエマに、続いてアリスにも、高い高いをしてもらってご満悦の様子だった。


「リュウジが人間と一緒に生きていくんだったら、もっと他の人にも慣れた方がいいと思うんだよね。私だけじゃなくて」

「そうだねぇ。あたしも何人か、竜を見に行かない?と声をかけてみたんだけど……断られてね」

「いやぁ、リュウジちゃん可愛いっすねぇ」


 あの事件以来、生徒たちが私とリュウジを見る目にどことなく、恐れが入り混じっているような気がする。

 リュウジはいつも見張り兼護衛がついているし、さすがに生徒たちに危害を加えられる恐れはないだろうけれど。


「竜ってそんなに恐れられてるのかな」

「竜族は、魔物(モンスター)や魔族たちともまた違うっすからねぇ」


 竜族は古の戦いでは人間側について戦った。

 一説には聖女アニエスが、竜を使い魔にしていたとも言われる。

 恐ろしい力を持っているが、今は数も少なくなり、絶滅寸前という説もあるそうだ。


「みんな敬遠してるなら、無理に誘うのも悪いかな」

「あたしも折を見て、いろんな人に話してみるよ」


 そのようなやりとりの数日後、迎えの馬車でリュウジと一緒に宮殿へと向かう。

 

「やぁ、よく来たね」


 クローヴィスは少なくとも表面上は、にこやかな対応だった。

 今回呼ばれた理由はわかっている。

 この前の授業で、リュウジが魔術を中断し無効化させた件だろう。


「それで何を?」

「大した魔力はないのかもしれないと思っていたが、あんな事があったからな。これは凄い力を秘めている竜なのかもしれない」


 というわけで、幾人かの魔術師が鑑定したり、装置で測定したりしたが、やはり特に変わった特徴は見られなかった。


「ふむ……あの時のような力は感じられないか。セシル。ちょっとリュウジにこの間のような事ができるか頼んでみてくれ」


「わかりました。リュウジ、この間みたいな声だせる?」

「クー?」


「キュイィイイイイイイーーーーーって言ってみて、リュウジ」


「?……キュイィイイイイイイーーーーー」


 リュウジは私の真似をして鳴き声を上げる。

 周囲はじっと見つめていたり、何やら装置のパネルを見たりしていた。


「ふむ……特別な効果や魔力の変化は無し……か」

「さようでございます殿下」

 

 一人の研究員が答え、私はさらにリュウジをうながしてみたが、結果は同じだった。

 そのうち疲れてしまったのか、声が出なくなる。


「もう限界みたいです。お水を」


 私は研究所の職員から水を貰い、リュウジに飲ませ、持ってきたオレンジを与える。

 リュウジは喜んでむしゃぶりついた。


「なぜ何も起こらないのだ?」

「もしかすると、精神の集中具合だとか、何か特別な条件があるのかもしれません」


 クローヴィスと職員は何やら色々と話していた。

 私はせがんでくるリュウジに、ひとしきり高い高いをしてやる。


「あの……そんなにリュウジのこの力は重要なのでしょうか?」


 私はクローヴィスにきいてみる。


「ザイターンの事はさておくとしても、デギル教の活動が各地で盛んになっているのは事実だ。魔族やデギル教徒が得意とするのは暗黒魔術。それに対抗できる手段は多い方がいい」

「なるほど」


 魔術について勉強してきたつもりだが、まだまだ知識の抜けはあるし、ぴんとこないところもある。

 自分が魔術を使えなくても、もっと私自身も勉強が必要かもしれない。


 私の神力無効(アンチザディバイン)は、私自身にしか効果がない。

 だが戦いは一対一とは限らない。

 むしろ魔術の真価は多人数戦だろう


「そうだな。もう一度、光の遺跡に行かねばならんだろう」

「それは?」

「この間君が見つけた古代遺物(アーティファクト)や碑文は今解析させている。だがそれも君がつい最近発見したものだ。それ以外にもあるかもしれない。この竜の力に関連するものがな」


 私はリュウジを見る。

 不安そうに見ているリュウジをなでてやる。


「リュウジ。リュウジがいたところに、おでかけしよう」

「クー?」

「あのね。これは……リュウジのためなんだ」

「クー」

「いい子にしていれば、これからも一緒に暮らせるよ」

「クー、クー」


 リュウジはうなずく。

 

「あの……リュウジはこれからどうなるんでしょう?」


 私は思い切って、クローヴィスに聞いてみた。


「どうとは?」

「その……実験体にされるとか、大きくなったら殺されるとか……」

「そんな事はありえないさ。われわれと竜族とは、かつては魔神ザイターンを倒すために共に戦った。もっとも今ではめったに会う機会も無いが」


「少し安心しました。でも、このままリュウジがどんどん大きくなったらどうしましょう?」

「帝国は広い。どこでもリュウジが暮らせる場所はあるさ。それに前にも言ったかもしれないが、今、竜族とコンタクトをとっている。協力を頼めるかもしれない。もっとも向こうもなかなか警戒心が強いようだが。」

「はい……」


 あまり将来の事を心配しても仕方なかった。

 いや、考えたくなかったのかもしれない。


「今日のところは、こんなものか。ご苦労だった」

「それでは、私は、カール王子のところへ行きます」

「ああ、頼む」


 私は馬車に乗り、リュウジと一緒にカール王子の住居へと向かう。

 正直、クローヴィスが何を考えているのかよくわからない。

 クローヴィスにとってカールは、父の兄の息子、すなわち従弟になる。


 この場合、皇位継承順はどうなるのだろう。

 というより、もしカールの父が生きていれば、どうなったのだろうか。


 クローヴィスは現皇帝ルシアヌス三世の第一皇子であるが、血筋的にはカールの方が継承順位は上になる気もする。

 そもそもルディア帝国の皇帝になるには、リヤウス教団が了承しなければならないが。

 

 私は単なる平凡な一庶民にすぎない。

 面倒な皇位継承争いに巻き込まれるなど、私はまっぴらである。

 

 しばらくしてカールの館へと到着し、私は馬車を降りる。  


「来たか」


 待っていたのはもちろんカールだった。

読んでいただき、ありがとうございます。

「主人公を応援したい」「続きが気になる」

そう思った方は

下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いします。

ブックマークもいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ