表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/19

第十八話 一連の事件の顛末と、新局面を迎えようとしている社会

 事件の真相が明るみに出ることはないだろう。

 ダンジョン・マスターは難攻不落であるはずの自分の階から忽然と消え、彼の階の警備員は全滅していた。これほど奇怪な事件は現代であっても希なはずだ。

 街では、ついにダンジョンのモンスターがシャフトをよじ上る方法を見つけ、人の世界を制圧する手始めとしてマスターを消滅させたか、誘拐したのだろう、などといった仮説が飛び回り、大衆紙も好き勝手なことを書いた。

 そして、企業組合の追及の手は伸びてこなかった。

 マスターが消えたすぐ後に、商人の敵は戦いを始めた。混乱は増し、死人も増えていった。シーフやその味方は自分たちを『解放者』と名付け、その実体は明らかになっていなかった。噂によると、解放者の掠奪船が企業組合の商船団を壊滅させたとのことだが、なんにせよ、企業組合はその対処に追われ、ダンジョンにかまってなどいられなくなった。

 マスターの地位を引き継いだ者は、ダンジョンを今まで通り運営することを目的とし、冒険者やエレベーターボーイの前に姿を現しさえしなかった。

 解放者たちの中のホロンが、企業組合の疑いの目をエレベーターボーイからそらすために活動を行ったのなら、それは功を奏したことになるし、おそらくはしたのだろう。ホロンの不手際に対する償いか、それとも、それさえもホロンのプランの一部で、マスターという企業組合の一角を崩すための道具としてエレベーターボーイを使ったのか。

 これも明らかにはならないだろうことだった。

 エレベーターギルド設立が近づくにつれ、多忙になることは分かっている。だが、それでもエレベーターボーイは可能な限り、彼のエレベーターに冒険者を乗せてシャフトを駆け下りていくことだろう。

 ダンジョンの底を目指して。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ