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最終話 プロポーズ

かつて『異世界ハーフの家出少女』でも同じ様にプロポーズをしていますがあれはまた『If』の世界線ということで。

こっちはルークとの決着もつけておりより二人にとって幸せなエンディングになっています。

 私は家に帰らずユリウスと共に展望公園へと来ていた。

 ここは私にとってお気に入りの場所。

 ひとりになりたい時や考えが煮詰まった時なんかはここに来る。


「綺麗な景色だね。まあ、君には負けるが」


「……ちょっと恥ずかしいわね、それ」


 全く、先制攻撃をされるとは。

 彼は油断するとこうやって不意打ちしてくる。

 しかも狙ってではなく天然だからいい意味で困る。


「……あのさ、ルークの事だけどね……その、黙っていてごめん」


「それは……あいつとの関係についてかい?昼間母上と話をしていたのはそのことだったのかな?」


「ん。自分でも整理できてなかったし、もしこれを言ったらあんたに嫌われるかもって怖かったから」


 ユリウスは黙り込んだ。


「やっぱり、怒ってる?」


「いや、怒ってはいないよ。僕が同じ立場でもやはり話せなかったと思うよ」


「……ありがと。その、あんたはある?話せない秘密とか」


 彼はしばらく唸りながら考える。

 やっぱり何かあるのかな?


「そうだね…………その、あれだろうか。おねしょが6歳まで治らなかったことくらい、かな」


「……何か、あんたらしいね」


 あれだけ考えて出てきたのが『おねしょ』か。

 いや、まあ恥ずかしいだろうけどね。

 やれやれ、おかげで緊張もほぐれて来た。

 うん、これならいける。


「ユリウス。手、出してくれない?」


「うん?」


 彼の手に自分の手を重ねた。

 昔なら考えられない行為。

 でも今はこの温もりが愛おしい。

 沸いてくるのは恐怖ではなく安心感だ。


「リリィ君?」


「ん。ちょっと待ってね」


 少し力を籠め、頭に思い浮かべているモノを形にする。

 そしてそっと手を離すとそこには……


「こ、これは……」


 ユリウスの手の中には私が錬成した指輪があった。

 それも手の中に隠し持っていた希少金属の小さな塊を加工して作ったので時間経過で消える代物ではない。


「結婚しよう、ユリウス」


 突然のプロポーズにユリウスは一瞬きょとんした表情になった。

 そして……


「え……えええっ!!?ま、待ってくれ!今、け、結婚って、結婚って言ったのかい?」


「うん、言った。その指輪、受け取ってくれる?あんたが私を見つけてくれたから、だから私はもう一度歩き出せたの。こんな面倒くさい女に飽きもせずずっと傍に居てくれた」


 自分が割と面倒な女だというのは自覚している。

 結構短気だし、すぐに考えすぎて塞ぎ込むし。


「今日、ルークに連れて行かれそうになって、本当に怖くて、今度こそ駄目だって思った。もうあんたの顔が見れなくなるって……そんなの嫌だった。絶対に嫌!だから……」


 だから……


「この先もずっと、私の事を見守って想い続けて。私のナイト様でいて。ね?」

 

 うん。即興で考えたが中々に恥ずかしい。

 自分の中で言葉を反芻していってもう何というか……顔から火炎放射しそうなくらい恥ずかしい。


「勿論だとも。僕は君のナイトだ。だ、だから」


 彼はそう言うとその指に指輪を嵌めてくれた。

 つまりこれは、OKという事。


「僕も君と結婚したい。よろしく頼むよ」


「よし!」


 その返事を待っていた。

 私は彼の両頬に手を当てた。

 ずっと望んではいた。

 でも色々考えすぎて、怖くて出来なかった。

 でも今なら……

 彼と出会ってから私も背が多少は伸びたが彼はさらに高い。

 だからほんの少し背伸びをして……彼と唇を重ねた。


「ッッ!!!!」


 ゆっくり唇を離す。

 初めてのキスでは無い。だけどあの時に感じた恐怖や嫌悪感は無かった。

 代わりに言葉では表し切れない程の喜びが込み上げて来て頬を涙が伝う


「やっと……出来たよ。あんたとキス……長い間待たせてごめんね」


「リリィ君……」


「ユリウス、改めて誓わせて。あなたを一生大切にするから。私の事、離さないでね」


「と、当然だとも!だけど、何というかもう照れくさすぎて沸騰してしまいそうだよ」


 ユリウスの頬はリンゴみたいに赤く染まっていた。

 まあ、多分私も負けないくらい真っ赤だと思う。耳たぶまで熱くなっているのを感じるから……


「それじゃあ、今から忙しくなるわよ。実はさっきアリスに頼んだの。皆集まってもらう様にってね。マム達にも声をかけてもらっている」


「ええっ!?母上達にも!?それは重大な任務じゃないか!ならば一度戻ってパンツも今日とは別の、決戦用のものに変えないと……」


「あーもう、色々ややこしくなるから今日は絶対脱がないで!わかった?絶対に脱ぐんじゃないわよ!ていうかよく考えたら普段から脱ぐな!!ああもうっ、私の感覚までおかしくなってきてるじゃない!!」


 誰かを愛する事なんてもう一生できないと思っていた。

 それはずっと心に絡みついていた呪いの様なもの。

 その呪いを解いてくれたのは……そう、彼だった。

 

「ユリウス。一緒に、未来を作ろう。これからもよろしくね。愛してるからね!!」

現在連載中の『最低から始まる~』は最終的にユリウス視点でのこのエピソードに繋がる予定です。

あっちはまだしばらくかかりそうですね。

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