勝負
「では、勝負の説明をさせていただきます。金的等への攻撃禁止。どちらかが降参する、又は再起不能と判断した場合、勝負終了とします。」
リアが審判をしてくれるらしい。
(この状況をどう思ってんだ?)
「本当にあんた、湊大好きね〜!!バカにされて腹が立ったとはいえ、測定不能でまだ力が把握出来てないのに、勝負させる奴がどこにいんのよ〜」
愛佳がため息まじりに言う。
「み、湊くんなら勝てます……!!」
加恋が顔を赤らめながらめ、湊をじっと見つめている。
「……」
竜がその様子をじっと見つめている。
「では、始め!!」
リアの掛け声と共に、ゴライダが剣を片手に猛突進してきた。
「うおおおお!!勇者殿には申し訳ありませんが、すぐに決着をつけさせてもらいますぞ!!安心してくだされ!!峰打ちしますぞ!!!」
すぐに僕の目の前まで来たゴライダが、剣を振りかざしてきた。
(結構本物の剣を向けられると、怖いんだな……)
そんなことを思いながら、ヒラリと剣を躱す。
「外してしまいましたか……。次は当てますぞおおお!!」
また同じように、猛突進してくる。もう一度ヒラリと剣を躱す。
「ま、まぐれで避けまくりますな……。次で最後ですぞおおお!!」
遅い。
遅すぎる。
本当に騎士団長なのか??
(止まって見えるとはこの事を言うんだな)
そんな事を思いながら、剣を躱し、足を引っ掛ける。
「な!!!」
ドスーン!!
情けないぐらいに盛大に転けたゴライダに剣を向ける。
「降参お願いできますか?」
「こ、降参だ……」
ゴライダは両手をあげ、リアの方を見る。
「しょ、勝者!!結城湊!!」
リアは驚いた表情を浮かべている。
みんなの方を見ると、3人ともポカーンとしている。
「さ……さすが湊くんです……!!」
加恋が俺に駆け寄る。
「あ、あんたさ〜。どうしたらあんなに早い攻撃を当たり前のように躱せるわけ〜??」
愛佳も近づいてきて、呆れながら言う。
早い?どこかだ?
遅いくらいだったじゃないか……。
……。
ゴライダがやがて目を覚ます。
「で、弟子にしてくだされええええ!!」
大声で土下座しながら、ゴライダが僕に言う。
「えええ!?弟子とか勘弁してください……」
「ならば、せめて兄貴と呼ばせてください!!私完敗致しました!!今までのご無礼を許してくだされえええ!!」
土下座している頭を地面に擦り付けながら、ゴライダがさらに言う、
「あ、頭を上げてください!兄貴呼びも勘弁してください!無礼っていうか、何も感じてませんから大丈夫ですよ!」
僕は言う。
「うおおおお!!なんという聖人!!!感服いたしましたぞおおお!!」
ゴライダがギャグ漫画みたいに泣きながら叫ぶ。
率直にうるさい。
「では勇者殿と呼ばせていただきますぞ!!私の事はゴライダとお呼びください」
(いや、最初からそうだったじゃん。)