騎士団長
「あ……!!あれが異世界から召喚された勇者様ですわ!!」
「黒髪なんて珍しいわね」
「結構可愛い顔してない?」
ヒソヒソと使用人達が、俺の話をしているのが何となく聞こえる。
あの国王……。広めるのが早すぎだろ……。
「いいな〜。湊ばっかり注目されちゃってさ〜!!」
愛佳がほっぺを膨らませながら言う。
「いやいや、僕なんかステータスが測定可能のよく分からないやつだよ。愛佳のステータスなんて凄かったじゃないか」
実際、測定不能なんかより、数値化された方が安心できる。パラメーターが低すぎて、測定出来なかったとかなのか…?
色々考えて不安になっているが、とりあえず顔には出さないようにしている。
「いや〜。それもあるけど〜。なんかさ〜。湊がモテてて複雑と言うか……」
愛佳がゴニョゴニョと喋る。
「なんか言ったか?」
僕は聞こえなかったため、聞き返す。
「な、なんでもないよ!!さて、リアさんどこを案内してくれるんですか〜?」
顔を赤らめながら愛佳がリアに問いかける。
「ちょうど着きました。ここは武道場です。騎士達の訓練や魔法の練習などをおこなっています」
そこには体育館ほどの大きさの武道場があった。横には弓道場のようなものもある。
「おうおう!!ここだけ現実世界っぽいな!!」
「だよね〜!!なんか学校を思い出すな〜!!」
竜と愛佳がはしゃぐ。
「竜はここで特訓した方がいいんじゃない〜?だって私よりステータス低いし〜」
「う、うるせ〜!!今に見てろよ!!すぐに追い抜いてやるさ!!」
ワチャワチャしていたその瞬間、低い声が鳴り響く……。
「ようこそおいでくださいました!!!勇者様とお仲間の皆様!!」
あまりの大声で地面が揺らいだ気もした。
「な、何だこのおっさん!!」
竜が思わず耳をふさぎながら言う。
「ぬ!!おっさんとは失礼な!!私はまだ29ですぞ〜!!ピチピチの20代ですぞ〜!!!」
おっさんが竜の耳元で叫ぶ。本人に悪気はないっぽいのだが、あまりの大声のため、竜が千鳥足になりながら混乱している。
「に……苦手です……」
「な、何だこの人〜。うるさいよ〜」
加恋も愛佳も耳を塞いでいる。
「ゴライダ、その辺にしておきなさい。お嬢様方が困っております」
リアが冷静に諭す。
「おっと、これは失敬失敬!!申し遅れましたな!!私がこの国の誇り高き騎士団長!!ゴライダですぞ!!!」
おっさんは懲りずに、また大声で喋っている。
「イテッ!」
リアさんがゴライダにローキックを入れる。
「ははは……」
僕は苦笑いしか出来なかった。
ーー
混乱した竜も元に戻り、改めてゴライダに挨拶をする。
「こちらの貧弱そうなお兄さんが、勇者ですとな」
ゴライダがを品定めするようにジロジロ見てくる。
「申し上げにくいのですが、強そうには見えないですな。ウチの騎士達の方が、強いに決まっておりますぞ〜!!」
ゴライダが後ろで倒れている、騎士達を見ながら言う。
いや、倒れてますやん……。どんな特訓してるんですか……。
「……み、湊くんは……!!強いです……!!」
加恋が声を振り絞って言う。普段自分からの発言をしないので、思わず僕らは驚いてしまう。
「か、加恋……?一体どうしたの?」
愛佳が恐る恐る問いかける。
「み、湊くんと対決してください……!!絶対に勝ちますので!!」
加恋が再び声を振り絞って言う。
「ふむ……。それも面白いですな!!さあ勇者殿!!勝負ですぞ!!」
ゴライダが笑いがら剣を俺に向ける。
おいおい、まじかよ……。