家族
ちゅんちゅん。
「あ…。朝か……」
昨日部屋を戻った後、すぐに眠ってしまったらしい。
いつもと違う天井、大きな部屋、窓の外に見たことない鳥が飛んでいるのを見て、僕は異世界に来ていることを再確認した。
(まあ現実でも異世界でも生きる理由が無いから同じか)
コンコン
部屋のドアがノックされた。
「おはようございます。お食事の用意が出来ました。」
リアの声だった。
「ありがとうございます。今行きます」
僕は部屋を出て、昨日と同じように皆と共に食堂へ向かう。
ーー
「お腹いっぱ〜い!!」
「今日の料理も美味かったな!!」
愛佳と竜が満足気な顔して、お腹をさする。
しかし、加恋だけが不安そうな顔をしている。
「加恋どうした?」
僕は思わず聞く。
「あ……!!湊くん……!!あのね、ちょっとね、昨日寝る前に現実世界のこと考えちゃったの…」
それを聞いて、愛佳と竜が真剣な顔になる。
「私たちがいないことで家族とか心配してるんじゃないのかな……?学校とかクラスのみんなもどうしてるのかな……?とか色々考えちゃって……」
確かにそうだ。僕たちが異世界へ飛ばされたなんて、現実世界の皆は考えもしないだろう。
僕も現実世界にいる家族のことを考える。
僕には妹がいる。
家庭の都合で、血は繋がっていないが、本物の妹以上に可愛がってきた。
名前は美波。
見た目も可愛く、ラブレターを大量に持って帰ることも日常茶飯事だ。
しかし、なぜか彼氏をつくりたがらなかった。
ついこの間、
「彼氏の一人くらいつくればいいのに」
と言うと、顔を赤らめながら
「もうずっと前から心に決めた人がいるの」
と答えていた。
まあ、あいつみたいなしっかり者なら、僕がいなくてもどうと言うことはないだろう。
ーー
竜や愛佳の方を見ると、それぞれ家族のことを思っているのか、悲しそうな顔をしていた。
「ご、ごめんね……!!皆まで悲しい気持ちにさせちゃったね……!!」
加恋が申し訳なさそうに言う。
「いやいや!!全然だよ〜!!」
「そうだぜ!!暗い顔は無しにしようぜ!!」
竜も愛佳も笑顔をつくり、加恋に言う。
「皆の言う通りだ。魔王?ってやつを倒したら、現実世界に戻してもらえるだろう。さっさと倒して、現実世界に帰ろう。」
僕は言う。
「ありがとう……。うん、絶対みんなで帰ろうね……!!」
加恋は笑いがら答える。
するとリアが食堂に入ってくる。
「お食事は済みましたか?では、大広間に案内致します」
そういえば昨日の夕食時に、大広間に来てくれってキンガールが言ってたな。
僕達は、そのまま大広間に向かう。