メイド
王が部屋から離れた後、騎士達も出て行った。
そうすると、メイドの格好をした人が僕たちの前に現れた。
「それでは部屋にご案内いたします」
「えっと、あなたは……?」
「私ですか?私は、この城のメイド長です。リアとお呼びください」
そう言うと、ニッコリ笑った。
竜は、そのおしとやかな笑顔に思わず赤面している。
「メイドさんだ〜!初めて見たよ〜!!」
「み、湊くんもメイドさんとか……好きなんですか……?」
愛佳はメイドを見ながら興奮して、加恋は俺を見ながらほっぺを膨らませている。
「リアさん!!案内お願いできますか〜!!」
愛佳がそう言う。
「もちろんです。ではご案内致します」
そう言うと、大広間から出て行き、長い廊下を歩き出した。
僕たちもそのあとに続いた。
ーー
その後、リアさんは竜・愛佳・加恋の順番に一人ずつ部屋に案内していった。
最後に僕の番になり、同様に部屋を案内してもらった。
「夕食時にまたお呼びします」
そう言うと、リアさんはどこかへ行ってしまった。
……。
「つ、疲れたああああ!!」
思わず、僕はベッドに横になりながら叫ぶ。
普通の高校生だった俺たちが、異世界へ飛ばされた。
てか、異世界って実在したのか。
そこで魔王を討伐して欲しいと頼まれた。
やっぱ、魔王って実在するんだな。
本物の騎士やメイドさんに会った。
王って本当にゲームで見る感じの王なんだな。
色々頭の整理をしながら考えていると、いつの間にか夕暮れ時になっていた。
ーー
コンコン。
ドアをノックする音が聞こえる。
「は、はい!!」
思わずビックリして、変な声を出してしまう。
「リアです。夕食の準備が出来ましたので、お呼びさせていただきました」
ありがとうございます」
僕はベッドからゆっくり起き、部屋を出る。
そこには他の3人もいた。
みんな、疲れた顔をしている。
(あぁ……。みんなも僕と同じで色々考えてたんだな……)
そう思いながら、リアさんに食堂へと案内してもらう。
ーー
長い廊下を歩き、とある部屋へ入る。
そこには大きな長テーブル、テーブル上には豪華な料理が並んでいた。
天井には金ピカのシャンデリア。横には王宮の庭を一望できるほどの大きな窓ガラス。
思わず唖然していると、テーブルの奥から声が聞こえた。
「ちょっとは休めたか?では、共に食事をしようではないか」
そこには、先ほどの王、キンガールがいた。
「失礼致します!!」
僕たちは、リアさんに席へ案内してもらい。椅子に腰掛けた。
豪華すぎる料理で戸惑っていると、
「遠慮するではない、腹一杯食ってくれ」
キンガールが優しく言ってくれる。
「実はお腹ペコペコだったんだよね〜!!いっただきま〜す!!」
「俺っちも遠慮せずに!!」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えさせていただいて……」
「いただきます」
各自料理をいただく。
料理を口に運んだ瞬間4人で口を揃えて言った。
「美味しい!!」
スープ・肉・野菜。全てが美味い。
美味いだけで表現していいのか、それ以上の言葉があればいいのに。
そう思いながら、ドンドン料理をたいらげる。
僕たちは、あまりの美味しさにすぐ完食してしまった。
「あ〜美味しかった!!ごちそ〜さま〜!!」
愛佳がそう言うと、王がこちらを見ながら、唐突に言った。
「皆のもの今日はお疲れであろう。部屋でゆっくり休むといい。明日の朝もう一度大広間に集まってくれるか?」
俺たちはもちろん了承した。
「ありがとう。では失礼する」
王はそう言って、出て行った。
僕たちも各部屋に戻り、ゆっくりと休んだ。