宿屋
「それでは以上になります。ありがとうございました」
受付嬢がほほ笑んでくれる。水晶を壊したことは本当に気にしてないようだ。助かります。
「はあぁ。やっと終わった〜。じゃあ買い物だね!!」
愛佳が嬉しそうに言う。
「そう言えばそんな約束してたね」
「え〜。忘れてたの〜。まあいいや!!いっぱい買うぞ〜!!」
愛佳が嬉しそうに言う。
王様から、資金としてかなりの金銭を貰っている。食料や武器や防具を買っておくか。
「じゃあ、まずは腹ごしらえだね〜」
愛佳が嬉しそうに言い、俺たちはギルドを後にする。
「げ!!もう夕方かよ!!」
竜が空を見上げて言う。かなりの時間滞在していたため、辺りはそれなりに暗くなっていた。
「とりあえず今夜は宿屋を探して、そこで夕飯を済ませよう」
「今日中に出発できると思ってたのにな〜。あのギルド長って人?本当に話が長いんだから!!」
俺たちは、近くの人に宿屋の場所を聞き出し、向かった。
ーー
カランコロン
「いらっしゃいませ〜」
宿屋に入ると、猫耳を生やした娘が元気よく出迎えてくれる。
「すごい!!猫耳だよ!!」
愛佳が目をキラキラさせて言う。
「お!!すごいな!!コスプレか何かか?」
「コ、コス……?私の耳が何か……?」
猫耳娘が戸惑いながら言う。
「え!!これってもしかして直で生えてるの!?すごいすごい!!」
愛佳がキャッキャしながら言う。
「コラ。失礼だぞ。この世界はいろんな種族の方がいるんだ。僕たち人間がいるように、猫耳がある人もいるんだ」
僕は2人に注意する。
「あ!!もしかして、異世界から来た勇者様達ですか!?」
猫耳娘が耳をピクピク動かしながら言う。
「そうです。僕たちはこの世界の事に詳しくないので、まだ知らないことがたくさんあるんです。なので先ほどの失礼な発言を気にしないでくれると助かります」
「いえいえ!!失礼だなんてそんな。私は何も思いませんでしたよ」
「すいません、ありがとうございます。」
「あ!!自己紹介がまだでしたね!!私は、リリーです。この宿屋の経営者は私の父で、家族で営んでます!!」
猫耳娘が元気よく挨拶してくれる。僕たちも順番に挨拶を返す。
「では、先にお夕飯を用意致しますね。私の父の料理は絶品ですよ!!」
リリーがおぼんを握りしめてほほ笑んでくれる。
「お!!それは楽しみだな!!めちゃくちゃ腹減ってるからたくさん食うぞ!!」
「お腹ペコペコだよ〜」
ーー
「お待たせいたしました〜」
リリーが料理を運んでくる。僕たちはそのまま料理を食べ始める。
「美味い!!」
思わず口に出してしまう。他のみんなも満足気な顔で料理を食べている。
「お口にあったようで嬉しいです!!父も喜びますよ!!」
リリーがそのまま厨房へ戻っていく。
ーー
「ふう食った食った」
「本当に美味しかったね〜」
竜と愛花が満足げな顔をしている。
「それではお部屋にご案内いたしますね」
リリーがスタスタやってきて、そのまま案内してくれる。
ーー
「それじゃ、おやすみ」
竜に言う。合計で2部屋を用意してもらい、俺と竜、愛佳と加恋に分かれた。
「おう。おやすみ」
明日からはいよいよ冒険か。
その前に、武器や防具を買わないとな。