属性
「インベントリ」
受付嬢に言われたまま、呟いてみる。
目の前にゲームのステータス画面のようなものが表示される。
「うおお!!本当に出た!!」
思わず興奮してしまう。
「……。流石勇者様ですね。ダメ元で言ったのですが、本当に使えるとは……。その中に入れておくと、絶対無くすことはありませんよ」
「ありがとうございます」
お礼を言い、ギルドカードをインベントリにしまう。
「じゃあ〜。私も〜!!インベントリ!!」
愛佳が楽しそうに唱える。
……。
「あれ、出ないよ」
愛佳が悲しそうな顔をする。
「俺っちもだ」
「私もです……」
竜も加恋もインベントリが出なかったらしい。
「では、勇者様だけに適正があったのですね。このスキルが使えるのは、数人しかいないと言われてるんですよ」
受付嬢が言う。
「適正〜?」
愛佳が首をかしげる。
「はい。人は生まれ持って、属性を持っています。召喚された皆様も例外では無いと思います。なので、愛佳様も自分の属性を把握すれば、その属性のスキルを使うことができますよ。逆を言えば、自分に適していない属性のスキルは使えませんが」
受付嬢が説明してくれる。
「属性ってどれくらいあるんですか?」
「火属性・水属性・風属性・雷属性・氷属性・土属性・光属性・闇属性・無属性ですね。他にもあるかも知れませんが、今のところこれだけの数の属性が確認できています。先ほどのインベントリは無属性ですね」
「なるほど〜。湊には無属性の適正があって、私たちには無かったってことか〜!!私には何の適性があるんだろ〜」
「あ!!良いものがございますよ。少々お待ちください」
受付嬢がそう言って、何処かへ行く。
ーー
「お待たせいたしました」
受付嬢が水晶玉のようなものを持ってくる。
「これは、この水晶に触れた人の適した属性を教えてくれるものです。せっかくですので、皆様も使ってみませんか?」
「じゃあ私から〜!!」
愛佳が自信満々に手を挙げる。
(なんかこの感じ見たことあるな……。あ!!うさぎの時か!!あいつ元気かな……?)
僕は神獣を思い出す。
ーー
「じゃあいくよ〜!!」
愛佳が水晶に触れる。
<<属性:風・雷・光>>
水晶に表示される。
「さすが召喚された方ですね。普通の方は属性は1つしか持ってないんですよ」
「私珍しいんだ〜!!なんか嬉しいかも〜!!」
ーー
「じゃあ次は俺っちの番だな!!」
竜が水晶に触れる。
<<属性:火・土>>
水晶に表示される。
「ちぇ〜。2つかよ〜」
竜が残念とばかりに肩を落とす。
ーー
「じゃあ……私ですね……」
加恋が触れる。
<<属性:水・氷・闇>>
「あ……!!私も3つです……!!」
加恋が少し嬉しそうに言う。
ーー
「最後は僕か」
水晶に触れる。
その時……!!
『パリーン!!』
水晶が割れた。
「うわああ!!すみません!!弁償します!!」
思わず謝る。
「ああ。いえ。大丈夫ですよ。経費で落としますので」
受付嬢が笑いながら言う。
(この世界にも経費とかあるのか?)
「もう〜。どんだけ力強く水晶に触れたの〜」
愛佳が笑いながら言う。
「普通に触れたはずなんだけどな……」
僕は割れた水晶玉を見つめる。