ギルド
「勇者様、ここで受付出来ますよ!」
「ありがとうございます。」
「では、私はやることがあるので、この辺で」
ルリナが去っていった。
ふう……。やっと解放された……。
僕たちは受付へ向かう。
「お疲れ様です。本日はどのようなご用件で?」
金髪ポニーテールの女性がそう言うが、僕たちの方を見て少し嫌な顔をする。
先ほどあんな事件を起こしたもんな。しょうがない。
「すみません。俺たち4人全員のギルドカードを作成したいのですが」
僕は申し訳なさそうに言う。
「ああ。了解致しました。紹介はありますか?紹介を証明できるものがあれば、冒険者になるための試験をが免除になります」
受付嬢は、不機嫌そうに言う。
(紹介を証明できるもの?あ、そういえば、キンガールから貰ったバッジがあったな。これで何とかなるか?)
僕は受付嬢にバッジを見せる。
「……!!」
受付嬢が驚いた顔をする。
「ゆ、勇者様ですか!?」
受付嬢が大声で言う。その声がギルド内に響く。
「うそだろ!?あいつが例の?」
「勇者を召喚した話は本当だったのか……」
「後ろの女の子たちかわいいな……」
ギルド内がざわざわする。
「……。一応そうです……」
「キャアアア!!」
受付嬢が急に、俺の手をギュッと握る。
「本当に勇者様が召喚されたのね!!」
受付嬢が、そのまま俺の手をブンブンする、
さっきまでの対応とは大違いですね……。
「と、とりあえずギルドカードを作成してもらえますか?」
「了解致しました!!もちろん試験は免除です!!早速皆さま全員の分を作成させていただきます!!」
受付嬢はそう言って、奥の部屋に行ってしまった。
「いや〜。ギルド長や受付嬢のあの反応。勇者って本当に希少な存在なんだね〜」
「それもそうだろ。誰も太刀打ち出来ない魔王を倒すことが出来る、希望の存在だぜ」
「みんなの期待に答えられるように頑張らないとな」
「み、湊くんなら……。絶対に倒せます……!!」
僕は任せろとばかりに笑顔を見せる。
(はあ……めんどくさ……)
ーー
「勇者御一行様〜。ギルドカードが作成できましたよ〜」
受付嬢が大声で言う。あまり大声で言わないで欲しいんだけど……。
ギルドカードを受け取る。運転免許証くらいの大きさのカードだ。
「それではランクについて説明いたしますね。ランクはE〜Sに分けられていまして、最初は皆さんEランクからスタートします。ランクを上げるには、クエストを受けることが条件となっています。もちろん難しいクエストを受ければランクを上げやすいですが、自分の力に合わせたクエストを受けることをおすすめ致します」
受付嬢が丁寧に説明してくれる。
「Eランクって恥ずかしいかも〜。頑張ってランクを上げたいね〜。」
「でも、魔王を倒すことが目的の俺たちにランク上げとか意味なくないか?」
愛佳と竜が話す。
「ギルドカードは、他の街に入るときなどに身分証明として証明できるので、その際にお使いください。勇者御一行は魔王を倒すことが使命ですので、ランクは上げなくても大丈夫ですよ。そのことは国全体
が知っているので、もちろん馬鹿にされることもありません」
なるほど。無くさないように気を付けないとな。
「あ!!もしかしてですが、勇者様ならインベントリが使えるのでは?」
受付嬢が言う。
「インベントリ?」
俺は聞き返す。
「はい、スキルの1つですよ」
ああそうか。ここは異世界だった。
スキルとかも、もちろんあるに決まってるよな。