城下町
「採れたて!!赤の果実1つで銅貨1枚だよ〜!!」
「ここの焼き鳥は絶品だぜ〜!!」
ワイワイガヤガヤ……
「さすがは城下町だね〜!!活気も人も凄いよぉ!!」
愛佳が嬉しそうに言う。泣き止んでくれて良かった。
「まずはギルドに向かおう。買い物はその後だな」
「え〜。先に買い物した〜い」
愛佳がほっぺを膨らませて抗議する。
ダメだと言い、ギルドへ向かう。
ーー
「ウヒャア〜。めちゃくちゃでけえなあ」
竜が言う。
確かに他の店とは比べ物にならないデカさの建物だ。
「では、中に入るか」
……。
中には、剣士や魔法使いなどの、それっぽい格好をした人たちがたくさんいた。
「凄いねえ!!ゲームの世界みたいだよお!!」
愛佳が興奮しながら言う。
すると大男2人に声をかけられた。
「なんだなんだ〜?見ない顔だな〜??」
「可愛いお嬢さんが2人もいやがるぜ〜」
ギルドのテンプレと言ったら、これだよな……。
「すみません。急いでますので」
愛佳が言うと、大男が愛佳の手を引っ張った。
「どうせならこんな男2人より、俺たちとパーティー組もうぜ〜」
「夜のパーティーも楽しませてやるからよお!!ギャハハ!!」
どこまででもテンプレだな……。
「あの……。すみません……」
僕が大男に話しかける。
「ああん?ガキは黙ってろ!!」
大男が僕に殴りかかってくる。
僕はヒラリとかわし、足を引っ掛ける。
もう1人の大男も殴りかかってきたので、足を引っ掛ける。
2人とも大きく転倒する。
僕の戦闘手段、足引っかけて転倒させることしかないな……。
「何を騒いでいる!!」
女の人の声が響く。
青い髪のポニーテールの女性がいた。
ギルド内が騒つく。
「ひえええ!!ギルド長!!お許してください!!」
「そ、その男が俺たちに襲いかかってきたんですよ〜」
大男が嘘をつく。
「おい、本当なのか?」
ギルド長が俺の方を睨む。
「違うよ〜。その人たちが私たちに因縁を付けてきたんだよ〜!」
「ふむ。埒が明かない。皆の者へ聞こう。どっちが真偽を言っているのだ?」
女は周りの人に問う。
周りの人々は常識があったようで「大男が偽を申している」と弁明してくれた。
大男も観念したようで、大人しくなる。
ーー
「ふむ。疑ってすまなかったな。彼らの処罰はギルドに任せたまえ」
女性は言う。
「いえいえ。助けていただきありがとうございました」
「私の名前はルリナだ。ここのギルドのギルド長をしている」
「僕は結城湊です。こっちは……」
僕も合わせて名乗り、順番に愛佳達を紹介していく。
「結城湊……?聞いたことあるな……?」
キンガールが国へ広めると言っていたので、名前くらいは聞いたことがあるのかもしれない。
何となく面倒ごとになりそうだったので、黙っておこう。
「湊は勇者だよ〜!!」
愛佳がエッヘンと言わんばかりに言う。
勘弁してくれ……
「……!そうだ……!結城湊は勇者の名だ!!その名前…そのバッチ……貴方が本当に…。忠誠を誓います…」
ルリナが跪く。
「そんな……お顔を上げてください……」
「何を仰りますか!!勇者様はこの世に現れた救世主で……」
……。
ルリナが勇者の偉大さについて、数時間も語ってきた。
気が付くと、愛佳も竜もスヤスヤと寝ていた。
加恋もウトウトしている。
……。
「は!!話しすぎちゃいましたね!!ところで勇者様は何故ギルドへ?」
ルリナが急に我に返り、質問してくる。
「僕たちは王に言われて、ギルドへ来たんですよ」
「なるほど、ならギルドカードの作成ですね。もうすぐ受付時間が過ぎてしまうので、早めに行った方がいいですよ」
いや、あなたのせいで時間食ったんですが……。