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竜の過去

「女子達も風呂に行った事だし、僕たちも風呂に入ろうか」

「悪い。俺っちは後で入るぜ。先に入っててくれ」

「そうか。分かった」


 僕は1人で風呂に向かった。

 風呂に浸かり、自分が勇者になったことを認識する。


 ……。


 だる……。


 ーー


「はあ……!!はあああ……!!」

 ブンッ!ブンッ!!


 武道場で1人の男が、剣を振っている。


「あいつにだけは負けられないんだ……」

 剣士という職業を与えられた男は、力任せに剣を振る。


「こんな感じの剣の振り方でいいのか……?」

 ブンッ!ブンッ!!


 何度も何度も剣を振る。


「はあ……。少し休憩するか」

 竜は武道場から出て、近くのベンチに座り、空を見上げる。


「いつから、こうなっちまったんだろうな」

 そんな事を呟きながら、昔のことを思い出す……。


 ーー

 これは俺たちが小学3年生の話。

 俺っちは、ガキ大将だった。


 生まれつき体格も大きく、周りの男子を暴力で支配していた。

 女子に対しては紳士的な態度を取り、好感度を上げていた。


(人生楽勝だよな〜。)

 そんなことを思いながら、少年時代を過ごしていた。


 通学中。

「竜〜!!加恋〜!!おっはよ〜!!」

 ピンクの髪を二つにくくった小柄な女の子が元気に話しかけてくる。


「おう!愛佳!!今日も元気がいいな!!」

「加恋ちゃん……。おはよう……!!」


 俺っちと加恋は挨拶を返す。そして、いつもの様に3人で学校へ向かう。


 学校に着く。俺っちと愛佳と加恋は同じクラスだ。それぞれ自分の席に着く。


 クラスの男子が羨ましそうな顔で見てくる。そりゃそうだ。学校でも1,2を争う美少女2人を連れて登校してるんだぜ?こいつらがこんな顔をするのも、無理もない。


 でも、なんか気に入らね〜な〜。


「おい。メガネのお前」

 こっちを見ていた、近くの男子に話しかける。


「な、何ですか……?」

 男子は怯えながら、俺っちを見てくる。


「いや〜。ちょっと一緒に外行かね?」

 そう言いながら、男子を睨む


「は、はい……」

 男子は観念した様に呟く。


 ーー


「オラアアア!!」

 俺っちは、男子の腹に膝蹴りを入れる。


「グハァッ!オエッ!」

 男子は、嘔吐しそうになる。


「ハハハハハ!!気持ちわり〜!!」

 俺っちは男子を見て、嘲笑う。


 俺っち知ってんだよね〜。お前加恋の事好きなんだろ?」

 男子の方を見ながら、ニヤニヤ笑う。


「……!」

 男子はお腹を抑えながら、顔を赤らめる。


「でも残念〜。加恋は俺の女だから〜。悪いねえ〜。オラアア!!」

 再度顔に蹴りを入れる。


「じゃあね〜。メガネくん」

 最後に唾を吐きかけて、教室に戻る。


「いや〜人生楽しいねぇ……」

 席に座ると、やがて先生が入ってくる。


「それでは、HRを始めます。あれ?○○君がいませんね?」

 先程ボコした男子の名前が出る。


「あ。先生。○○君は体調が悪いらしいので、さっき保健室まで連れて行ってあげました〜」

 俺っちはデタラメを言う。


「あら。そうなの。ありがとね」

 先生は言う。


(いや〜人生楽勝だね〜。ホント)

 俺はニヤニヤを抑えながら、HRの準備をする、


「あ、そうそう。今日は新しいお友達の男の子を紹介します」

 先生が言う。クラスが盛り上がる。


(転校生か?まあ今日中に、この学校の支配者である俺っちが、直々に洗礼を浴びさせてやるか)

 俺っちは手をポキポキさせる。


 さあ、転校生君。地獄の始まりだぜ?

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