好意
「加恋様。マリー様はこの国を代表する賢者様なのです。あの方に認められるという事は、とても凄いことなんですよ」
「そ、そうなんですか……?」
リアに言われ、加恋は嬉しそうにほほ笑む。
「そういえば、『私に匹敵するくらいの魔力』ってマリー様が加恋に言ってたね〜!!と言う事は、この国を代表するレベルの魔力を持ってるって事じゃないの〜!?」
「そうなりますね」
「私達もなんか認められたいよね〜??竜〜??」
「そうだな……。頑張らないとな……」
……?
ーー
その後、大図書館、植物研究室、生物研究室などの様々な施設を巡り、食事をとった後、大浴場へ向かった。
「あぁ〜疲れたああ!!」
愛佳が風呂に入りながら、叫ぶ。
「コラ!!愛佳ちゃん!!はしたないよ!!」
加恋が注意する。
「別にいいじゃ〜ん。私達だけなんだからさぁ〜」
「そ、それはそうだけど……」
……。
色々思い返す。
「本当、私達どうなっちゃうんだろうね……」
「いきなり知らない世界に飛ばされて、魔王を討伐しろとか言われても、実感湧かないよね……」
加恋も不安そうに言う。
「で、でもさ!!まだ使ってないけど、魔法とか色々使えたりするのかな〜。しかも、加恋は魔力が凄いから強力な魔法も使えちゃいそうだよね」
「加恋ちゃんも、俊敏と攻撃力っていうパラメーターが凄かったじゃん……!!武闘家らしいよ……」
「え〜武闘家って微妙じゃな〜い?私も魔法とか使いたかった〜。お淑やかな僧侶とかになってさ〜」
「うふふ」
「あはは」
不安を忘れるため、二人で笑いあってた時……
ガラガラ
「ご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?」
「リアさん!!どうぞどうぞ!!」
愛佳も加恋も歓迎する。
「……」
「お二人はやはり不安でしょうか?」
リアが問いかける。
「やっぱり不安はあるけど〜。これから冒険していくじゃん?楽しみっていう気持ちもあるよね〜」
「不安ですが、4人もいるので心強いですよ……!!」
愛佳も加恋も笑顔で答える。
「あ、リアさんに質問!!私達って魔王を討伐すれば、元の世界に戻してもらえるんですか〜?」
「もちろんです。魔王討伐後は元の世界にお帰しいたします。ご希望であれば、この世界に永住しても構いませんよ。魔王を倒した英雄として讃えられるでしょう」
リアが笑いながら言う。
「英雄か〜」
愛佳がエヘエヘしながら言う。
「あ、あの……!!もう1つ聞きたいのですが、湊くんのステータスって……!!」
「それ私も気になってた!!測定不能ってよく分かんないんだよね〜。」
加恋の質問に愛花も便乗する。
「神獣様もおっしゃられてた通り、測定不能というパラメーターは前代未聞らしいです。でも安心してよいでしょう。あの騎士団長を余裕で倒したくらいですから。魔王も簡単に討伐できると思いますよ。」
「へぇ〜。確かに騎士団長との戦い凄かったもんね〜。あんな早い攻撃を華麗にかわしてたしさ。」
「み、湊くんだもん……!!強いに決まってます……!!」
「二人とも勇者様がお好きなのですね」
リアが笑いながら言う。
「「ふえ!?」」
二人で赤面しながら声を合わせて言う。
「べ、別に私は〜……」
「私も……!!別に……」
「隠さなくても大丈夫ですよ。二人の様子を見れば、すぐに分かりますよ」
リアが優しい笑顔を見せる。
「ふふふ……」
「ははは……」
大浴場から見える空には、大きな満月が出ていた。