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手探り
自分は普通ではないと思っていた。理由はわからないけども同い年の友達にはいつも馬鹿にされていた。なにかが劣っている。けどもその正体はわからなかった。
最初に異変に気づいたのは幼稚園に通っていた頃だった。
クラスの友達には何故か距離を置かれていた。なにがいけないのかなんてわからない。
他の女の子はみんな優しく扱われるのに莉乃だけには先生さえも雑だった。
「よしだ りのちゃん」
自分の名前を呼ばれ「はい」と元気よく返事をしてその方向にかけよる。
莉乃の名前を呼んだリサコ先生はメモ帳らしきものに目を落としながら
「りのちゃんはなにをして遊ぶのがすきなのかな?」
と私に聞いた。目は合わない。
「しべりだい」
滑り台と答えたかったのだが、舌足らずな莉乃にはまだ「す」の発音ができなかった。
「ん?むしとり?」とリサコ先生は眉を潜めてわたしの顔を覗き込む。その時にやっと目があった。
もう一度わたしは「しべりだい」と声を張り上げたが、
「なんて言ってるの?むしとり?」と聞き返され、なんだか面倒くさくなった私はこくりと頷いた。
本当は莉乃が「すべりだい」と言いたいのをわかってリサコ先生は聞いているのだと幼いながらに直感した。
莉乃が最初に人の悪意を感じた記憶はそこがはじめだった。




