第三話 そして彼は起動する
すごく短いですがすごく今忙しいのでゆるしてつかーさい
俺が入口を出現させたのは、人族の王都である《エリーナ・ヴァーミリオン》というところだ。
この都市名は人名に由来しているようで、戦争の終結とダンジョンの攻略に大きく貢献しているとされたエリーナさんが王に爵位を貰ったところ、王都が陥落したとのこと。
この世界では《創造神》が貴族と呼ばれる者に王位を与えるようで、それにエリーナさんが選ばれた、という所らしい。
そんな出来たばかりの王都のド真ん中…という訳では無いが、城の西側にあるちょっとした広場に出現させた。とある特性を付けて。
「さて、大騒ぎだな。」
何しろ設置したのは真昼間のこと。
そら騒ぎにもなる。
「で?どうせ初めの探査隊がきて入場を禁じるわよ」
「いいから見とけって。」
そう言っていると、仰々しい鎧を着た騎士?っぽい人達が俺のダンジョンへと入ってくる。
ダンジョンの中とその周辺の様子はマイクと映像魔法によって拾えるので、それを見ていこう。
『皆の者、気を引き締めよ。このダンジョン、なにか異様な予感がする。』
『了解しました、隊長。』
5人組のその騎士は、俺が設置した1つ目のギミックを発見した。
『なんだ、これは?壁画…いや、メッセージか?《迷宮、グライス・サルワートルへようこそ。自らが持ちうる全ての智・力・運を使い、存分に楽しんでくれたまへ ダンジョンマスター・リョウヘイ》か。今回のダンジョン、ダンジョンマスターの物のようだ。』
『厄介な性質がないことを祈るばかりですが…』
残念。お前らはこのダンジョンに潜らざるを得なくなる。
そんな俺の笑みを知らず、騎士たちはずんずん前に進んでいく。
すると、早速モンスターがエンカウントした。
そのモンスターの名は《サラマンダー》だ。
『なっ!第一層でサラマンダーだと!?避けろぉ!』
『うわぁぁぁ!』
《サラマンダー》の放った火の玉により、1人が焼け焦げて炭に変わる。
『ウオオォォオ!《アイススピア》!』
隊長と呼ばれた男の放った氷の槍の力で、サラマンダーは力尽きた。
『くっ!なんなのだ、このダンジョンは!どれだけダンジョンレベルが高いと…!』
まぁレベル1なんだけどな。
ちなみに、この世界の《死》は《死》であって《永遠の眠り》では無い。
この世界では、病気や寿命での《死》以外は一週間後蘇るのだ。教会で。
なんでも、昔魔法を極めた《賢者》と呼ばれた人がいて、その人は魔法によって《死》という概念を消そうとした。だが、それは大きく世界の理から外れたものだったから、当然天罰が下る。
しかし、その魔法は中途半端な形で残ったらしい。
その結果がこのシステム。
この世界の人々は病気や寿命じゃないと本当の意味での死にはならない。
「さて、経験値もはいったな。」
「ねぇ。やっぱりこんなのじゃ人なんか来ないんじゃ…」
「まぁ、ちょっと待っとけ。」
そろそろ頃合だと思うんだが…
…もういいかな。
「よし。《ダンジョンシステム》起動!」
《ダンジョンシステム》とは、ダンジョンごとに異なるダンジョン特有の特性の事だ。
この特性はダンジョンマスターが自由に決めれるらしく、その内容はダンマスの魔力とダンジョンレベルによるらしい。
俺は、このダンジョンシステムを起動させーー
ダンジョン内のモンスターを外に解き放った。
「え?」
ミレイの驚いた声が聞こえ、俺は1人ほくそ笑む。
さぁ、これで俺を無視出来ない。被害を抑えたきゃ…
全力で潰しにかかってこい…!
「うわぁ…えぐ…」
ミレイの声は聞こえなかった。聞こえなかったったら聞こえないんだい!
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