1-02.姉妹の語らい
「凪姉、ゲームどうだった? 私としては動作に本当に違和感が無くて驚いたけど」
「まだ動きに慣れなくてチュートリアルよ。ゲームの違いで操作感覚ってそんなに違うの?」
「んー……なんて言うんだろ、AAOに関してはステータスの上昇ってアバターのポテンシャルを引き上げるだけで、実際にポテンシャルを活かしきれるかどうかは本人の能力に依存するの」
「私に問われても分からないけど……香織が言うならそうなんじゃない?」
「ん、まぁそれで、そうだからこそ自分の意思で動いてるって感覚になるんだけど
他のゲームってAGIが上がれば同じように走っているつもりでも速度が増して、なんか引っ張られているような違和感というか……自分の認識と移動速度にズレが残るのよね」
「とはいっても、そうしないと運動が得意じゃない人は速くなれないんじゃ……」
「うん、だからバランスとかを考えると、その補正は正しいと思うよ
ちょっと違和感が残るのは……まぁ慣れれば良いだけとも言えるし
でも、凪姉が望んだのは、そんな違和感がある補助の世界じゃないんでしょ?」
「それは……そうね」
「凪姉がそれを求めた理由はちょっと特殊だから置いておくけど、やっぱりそういう補助に対する違和感や嫌悪感を持っていた人も一定数はいるだろうし、そういう点から考えてもAAOを支持する人は沢山いると思うよ
それに……AAOのアバターが持つポテンシャルを活かせるように意識して体を動かしていくのも今までに無い楽しみではあるし」
「香織も楽しめてるのなら、それで問題無いわ」
「ありがと、凪姉
そういえば……凪姉はフルダイブVRMMOに手を出したのは初めてだけど、今までに色々なMMORPGでガチガチに硬めた護り手をよく使ってたけど
AAOではどんなプレイスタイルにしたの?」
「あ……あー、内緒よ、うん、内緒」
「えー、じゃあAAOではレイド時に前線でボスの攻撃をその身で全て受け止めながらも常に戦場の把握を怠らず的確な指示を全体に出し続ける鉄華の司令塔が見れないのー?」
「……そもそもAAOは私達スタートダッシュ勢じゃないでしょ、今からじゃどちらにせよ追い付けないわ……
それにあれは指揮をするはずだった禁術士が戦場の全面を把握出来てないせいで指揮が追い付いてなかったのが悪いだけよ……
護り手だって私一人じゃなくてローテーションしてやってたんだから一人で止めてた訳じゃないし」
「むー……まぁいいや、じゃあキャラクターネームだけでも教えてよ」
「箒星」
「え……凪姉、射手やるの!? あの遠距離嫌いの凪姉が!?」
「……確かに箒星って名前だと射手のイメージがあるわよね……でも違うわ
私達っていつもオンラインゲームはサービス開始と共に乗り込んでたじゃない」
「そうだね、今回のAAOはそう行かなかっ……た…………
凪姉……いい感じの名前全部使用されてて名前考えるの途中から投げやりになった?」
「……否定はしないわ」
「そう…… あ、ちなみに私の名はリミリア・レミナだよ」
「分かったわ、アバターの操作に慣れて人並みに戦えるようになったら、その時は一緒に組みましょう」
「うん、待ってるねぇ」