2-02.狩猟日和
作者がついったを始めたようですよ
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「――――――それで、皆そろって借金を背負ったパーティーがこちらになります」
「リア姉、何言ってるの……?」
「いやぁ、なんか言わないといけない気がして」
レミナの唐突な発言にツッコミを入れつつ周りを見渡した箒星の視界に入ったモノは
バケツヘルムを被ったフルプレートメイルの男、麦茶
黄と青の縞々が特徴的な弓を持った女、落葉
木工用金槌をそのまま巨大化させたような外見の戦鎚を持った男、ゼノ
錆び付いた薙刀を持った女、レミナ
「……リア姉、なんで錆びてるの?」
「いやぁ……骨董屋で見つけた子なんだよね、ちなみに鍛冶屋NPCの所で錆取りお願いしたら……錆に砥石が負けたって」
「……それって明らかにそれユニーク武装的な何か……」
「うん、私もそう思うよ
これ錆びてるのに下手な薙刀より攻撃力補正値高いし、あと80万したし……
補正値66って何よ、中堅生産組のオーダー装備に少し劣るぐらいって、しかも錆びてるのに」
「えー私も一番良い弓買ったのに私の39だよ……いいなぁ
まぁ流石に20万で買えたものと比べるのも違うかな」
「俺のハンマーも42だなぁ……元々持ってたのが11だから大出世ではあるけど」
「一番借金を有効活用したのはレミナか」
「まぁ私の薙刀はちょっと例外としても、初っ端から今の中堅と同等の装備を揃えられるのは本当に便利ね」
箒星の疑問にレミナが答え、そしてその補正値に皆驚く中
(40前後が中堅の一般的なライン……? それだとあの服と武器は……それにこのコスプレ服でも防御補正25あるし……)
箒星は少し考えを巡らせ
(後で問詰めればいいわね)
「リア姉、呪われたりしてないよね……?」
先送りにする事にし、会話に混ざっていく
「そんなまさか、呪いなんてものは無いでしょ多分……」
「でも普通の砥石で削れないって、特殊なイベント前提の物で連続クエストのトリガーだった、とか……」
「普通に有り得そうな事言わないでよ箒星……
まぁそうなったらその時に考えましょ、とりあえず狩りに……そうだ箒星、箒星はPTで行動する? それともPT行動になれてないし初めは単独で動く?」
レミナはあからさまに話を逸らしつつ、本来の目的である狩りの話へと持っていく
「あー……今回は単独で巡ってみたい、です」
「ん、別行動ね了解
そうだ、玉兎がPOPしてたら、見つけたら狩れそうなら狩っておいて」
「んー、分かったけど何でです?」
「レアMOBなんだ、1つのフィールド上に3匹しか居ない特殊MOB、倒したら即同一フィールド上のランダムポイントにPOPするんだけど1つのフィールドが直径20キロぐらいって範囲が広いから探すのが面倒でねー」
「なるほどです」
「ピンクの玉兎が経験値の塊、白い玉兎が素材の塊、緑の玉兎がお金の塊だったかな、中々見つからないのと見つけても逃げ足が速いから殆ど縁がないMOBだけど一応ね」
「わかった、です」
「それじゃー行ってみよっかー、4時間後に街の入口に来てねー」
「また後で、です」
レアMOBの話と集合時間を聞き、箒星は走り出す
「「「…………」」」
「あー……あー? 成程? 纏雷の情報とかの出処って……もしかして箒星?」
「確かに、纏雷の情報と特徴が一致しているな……
成程、レミナが自分より厄介だと言うわけだ」
「え、えーっと、いやー、流石にアレは私も想定外かなって……
あの子、生まれつきで足が動かないから……」
走り去る箒星を見届けた一行に沈黙が降り、そしてレミナが口を開く
麦茶が神妙な顔で前にレミナが言っていた事に対して納得し、レミナはその勘違いに訂正を入れる
「あの、さらっと重大情報言わないでくれない?」
「あっ……まぁ本人もいつも隠してるわけじゃないし大丈夫でしょ、哀れまれるのは大っ嫌いだけど
さて私達も始めよ? ぼーっと突っ立ってるのも良くないし」
「はぁ……とりあえず今は置いておくわ」
訂正ついでにうっかり口を滑らせてしまったレミナにジト目を向ける落葉
そんな落葉に対して開き直って言い訳をしつつ、レミナは話を逸らし戦闘へと移行する
―――――――――――――――
「あんな話を聞いたら獲物は玉兎一択よね……
でもどうしようかしら、紋章札は10分しか持たないのが大前提
流石に走りながら描くのは難しいわよね……揺れるし
逃げ足が速いなら見つけてから一度立ち止まって書くなんて事もしてられないし、見つけていない状態で定期的に描くのも……
……物理で殴るのが手っ取り早いかしら、SystemCall 装備変更……」
駆けながらも淀みなく装備を整え、索敵を続けていく箒星
そんな箒星の視界に、一匹の白い玉兎が映る
「白……素材の子ね
まずは倒すよりもスペックの確認……逃げ足やその他の情報を集めてしまうべきね、最悪今回は逃げられても構わないわ」
戦闘方針を決めた箒星は玉兎に石を投げ付け、そして一撃蹴りを入れてから、千里疾走を切らさず玉兎を見失わない程度まで速度を落とす
「行動パターンは逃亡、反撃等はせずに一目散に逃げる、と……
逃げ足……あー、あの程度の速度なら余裕で追いつけるから攻撃するのに問題はない
投擲は当てられなさそうね、そしてダメージは蹴りで1%削れない程度……
やっぱり武器を良い物にしてもSTRが初期値だとどうしてもダメージ伸びないわね、それでも初期武器の時に比べたらしっかりダメージは出ているけれど……
後注意すべき項目はHP減少をトリガーに行動パターンの変化……?
いえ、序盤のフィールドでそんな敵が出るわけはないわね」
見失わない程度に後をつけつつ観察と考察を続け、お手軽な攻略法を導き出し
「嗚呼…… 簡単な事
幸い格闘スキルのおかげで蹴りもダメージ判定が生じる上に、対象は良い感じの大きさの球体…… 倒れるまでドリブルし続ければいいだけね」
ついでに索敵も兼ねられると納得して蹴鞠で遊ぶ童女のように駆け出した――――――
「……っとと、倒すのは問題無いけど戦利品回収が手間ね
戦利品は……『白兎の脚』に『くすんだ霊石』『濁った霊水』『汚れた霊糸』の4つ
それぞれの詳細は後にして、さて時間までに何匹狩れるかな――――――」
経験値と戦利品について
パーティメンバーの誰かが経験値を得る時、その経験値はパーティ全員が入手できる
ただし パーティの人数に応じて 一人の時に本来得られる経験値量のうちの一定の割合がそれぞれ個人の取り分となっている
2人PT 70%
3人PT 60%
4人PT 50%
5人PT 40%
同程度の強さの人が2人PTで個別に狩りをするなら時間当たりの経験値獲得量は140%
4〜5人PTであれば200%になる
自分と同等前後の相手を探す手間は生じるがPTを組んだ方がレベリングが捗る
戦利品は敵の討伐エフェクトが消滅した後
権利を保有している者が基本装備 剥ぎ取り用ナイフを一刺しする事で刺した者が獲得する
入手判定が生じた場合 死体は消滅する(小ネタとして剥ぎ取り用ナイフは投擲でも刺した判定になる)
討伐から3分以内 討伐者(最も多くダメージを与えた者)及び討伐者が所属するパーティの全員が権利保有者
討伐から3分が経過し5分以内 誰であっても入手可能
討伐から5分経過後 死体およびアイテムの消滅
素材等の戦利品は獲得者のインベントリにのみ入るが、パーティの設定により金だけは
獲得者の総取り
獲得者が半分を取り残り半分を他のパーティメンバーで分ける
パーティメンバーで均等割り
と共有も可能である
あと作者がついったを始めたようですよ
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