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2話 キミに会いたい

結局はそもそも自分は人が大勢で盛り上がるのは苦手だったんだと

サークルに入るのは辞めてバイトに勤しむことにした。

好きな事や夢中になれる事はサークルに入らなくても見つかる・・・と思う。


そんな思い立った日早速コンビニのバイトにネットで応募をした。

受かる自信は無かったのだが、候補はほかにもあるというのが都会のいいところだよな。

・・・・勧誘は怖かったが悪い事ばかりではない。


「いろはちゃんいるかな・・・」


平日の夕方。中学校も終わったころだろうか。

そもそも平日はゲーセンに行かないのかもしれないが。

なんだが中学生に会おうとしている大学生というのは怪しいやつに思えるが。

やましいことはない・・・!

こっちに来て最初に出来た友達だから嬉しくて・・・!


・・・行くか。



電車に乗りいろはちゃんと出会ったゲーセンがある都市を目指す。

日もだいぶ落ちてきたな。

電車の窓には夕日のオレンジ色が差し掛かっていた。



都市へと到着し

いろはちゃんと通った道を歩いた。おかげで勧誘に勧誘されることは無かった。

無事ゲーセンへとたどり着いた俺は期待感だけが残されていた。


「いないな」


店内をぐるりと見て回るも彼女の姿はない。少し残念だが仕方ない・・・。

やっぱり平日はいないのか。勉強や部活に忙しいだろうしな。

あの年頃だと友達と遊んだりもあるか。・・・俺はあんまり無かったが。

諦めて帰ろうとした時ひとりのやり手っぽい背の高いお姉さんに呼び止めれる。


「どうした少年・・・ゲームもやらずにうろうろして。目当ての景品が無かったのか?」


「あ、いえ。えーと人を探していて。小学生くらいの、本当は中学生なんですけど。

それぐらいの小さい子です」


小さい女の子を探している大学生っていうのは怪しいだろうが正直に話してしまった。

変な汗が流れ出す。しかしこれが意外にもあっさり通じて。


「お、もしかしていろはちゃんか?今日は見てないな。あ、そういえばイベントがあるって言ってたな」


「そ、そうです、いろはちゃんです!いろはちゃんの事知ってるんですね。えーとイベントですか・・・?」


「そうそう良く来るからさぁ、仲良くなっちゃった。お兄さんもそんな感じだろ?

今日は秋葉原の方で声優のイベントがあるって言ってたな」


俺は昨日会ったばかりだが。やはりいろはちゃんは人と打ち解けるのが得意なようだな。


「秋葉原か。わかりました。ありがとうございます」


確かヲタクの聖地だな。テレビでよく見たことがある。

いろはちゃんはヲタクなのか。あそこはアイドルの聖地でもあるけど。声優ってことはアニヲタ?

声優ってイベントもやるのか?


様々な疑問を巡らせながら俺は店を出る。

外に出たらばったりなんて出会い無いかな・・・期待するもそんなことは無かった。


いろはちゃんはここに良くくるのにこれからも会えるはずなのに

もう会えなくなりそうで何だか切なくなってしまった。



それからなんだかんだ用事がありゲーセンに赴かないまま日々を過ごし休日を迎えた。

予定が無い休日。

そうだ、ゲーセンへ行こう!ちなみにまだ午前だった。



前回と同じルーティンでゲーセンへと到着。


「流石に朝からはいないだろうなー・・・いた!」


いろはちゃんは相変わらず一生懸命景品を獲得していた。

朝からすごいな。


話しかけたいが・・・ここである一つの事に気がづく。

もしかして俺の事を覚えていないかもしれない。

沢山の知り合いがいると思われる彼女の記憶に残ってる可能性って低いだろうな。

物語でいえば俺はエキストラなんじゃないか。


「やったー取れた~!」


「うお、ビックリしたぁ!」


景品を獲得したらしいいろはちゃんは突如喜びの声をあげ

俺も思わず驚いて反応してしまった。

しかしこれが気づかれるきっかけになったので結果良かったのだが。


「あ、お兄さん!」


獲得した景品を取り出しながら俺の方を振り向く。


「覚えててくれたんだ俺の事」


「うん、浩平さん!この前会いに来てくれたのにいなくてごめんね」


どうやらやり手のお姉さんから俺の話を聞いたみたいだ。


「いや全然大丈夫だよ。声優さんのイベント行ってたんだね。楽しかった?」

いた人から聞いたんだけど」


「そう・・・!楽しかったよ~。可愛かったなぁ」


「。いろはちゃん好きなんだねアニメとか?」


「うん、好き!お兄さんは・・・?」


「あんまりわからないかなぁ」


「そっか~嫌い?」


最初は期待の眼差しを向けていてくれたけれど嫌いかを問う

彼女は少し不安そうな表情を見せた。

嫌いでは無いな・・・。


「嫌いではないよ、ただ見る機会がなかっただけで」


「良かった、育てられるね」


うん、って育てられるの俺!?


「アニメは楽しいからお兄さんもきっと好きになると思うよ」


いろはちゃんは眩しいほどの笑顔を向ける。。

そんなにいいものなのか?


「そうだ、お兄さん・・・近くのお店で一緒にご飯食べたい」


「いいよ、けどお家に帰らなくて大丈夫?ご飯用意してたり」


「大丈夫・・・。忙しいくていないから」


・・・なんだか複雑な事情がありそうだな。見るといろはちゃんは少し寂しそうでもあった。

この時は気が付かなかったがいろはちゃんはやはりそれなりに何か事情があったのだ・・・。


「それに、お兄さんにはいっぱい教え込まないといけない・・・!だからゆっくりお話がしたいの」


「え、な、何を」


ドキドキするじゃないか。


「アニメの事・・・!」


あぁ・・・そうか~だよな。いろはちゃんに誘われるがままにゲーセンを出て近くに

あったお店へと向かう。こじんまりとしたお店だった。

ご飯というからレストランかと思ったが・・・。


「ここのケーキ美味しいんだよ~」


「あ、ケーキ屋さんなんだね」


男が入るには多少ためらってしまうな。

いやでも今はスイーツ男子もあるから大丈夫かな。


「お兄さん入ろうよ~」


「う、うんそうだな」


店内はものすごくおしゃれで静かな空間だった。

ちょっとだけ緊張するな。そして想像通り女性ばかりだ。


当然少しお高いんだろうなぁと思って

席へ着くなり緊張しながらメニュー表を見るが値段は良心的だった。


「いろはちゃんはどれにする?」


「私は決まってるよ~いちごとマンゴーのスペシャルケーキ」


合うのかその組み合わせ!?

俺は普通のショートケーキでいいや。店員さんを呼び2人分の注文を取る。


「頼んでくれてありがとう、お兄さん」


「あはは、いろはちゃんは礼儀正しいね。そういえば・・・声優さんってイベントもやるんだね。

いろはちゃんはどういう声優さんのイベントにいったの?」


「うん、やるよ~。相坂カンナちゃん。もちろん声も好きだけど、見た目も可愛い!

特に見てこのフリルのお洋服カンナちゃんにすごく似合ってるよね~」


いろはちゃんはスマホに保存していた画像を見せてくれる。確かに可愛らしい。声優さんってこんなに可愛いんだな・・・。

そういえばいろはちゃんもフリルのついた服着てるよな。以前もだったが今日も着ている。この子の影響受けてるのか?


「確かに可愛いなー。イベントってやっぱりキャラに声当てたりするの?」


「トークイベントとライブが多いかなー。この前のファンの集会はライブイベントだったよ。

・・・カンナちゃんはいつか国を建設すると信じてる」


ライブまでやるのか・・・!なんだか奥が深い。

国を建設するくだりはよくわからないが、設定か・・・?


「アニメって楽しそうだなと思ってきたよ」


「ほんと・・・!でもお兄さん話はまだまだこれから」


「お、おう」



一番面白かったライトノベルを教えてくれたり。相坂さんが出ているお勧めのアニメを教えてくれた。

わからないことだらけだったけれどそれでもいろはちゃんの話しは楽しかった。なにより

・・・すごく幸せそうなんだよなぁアニメの話しをしている時のいろはちゃん。

見ていると癒されてしまうしそれほど好きになれることがあるのはうらやましいな。


「お兄さんのことお兄ちゃんってよんでいい?」


それはケーキを食べながらの唐突な提案だった。


「お、おう。いいけど」


「やった~お兄ちゃんって憧れてたんだ。アニメのお兄さんってみんな素敵だからあんなお兄ちゃんがいたらなぁと思ってた」


「そうなのか?」


俺がいろはちゃんの思う憧れのお兄さんになれてるかはわからないが

そう呼んでくれると思ったから少しだけでもなれたのだろう。

いろはちゃんみたいな妹か・・・全然悪くない。毎日が楽しそうだもんな。


「お兄ちゃん今日はありがとう、あ、そうだ。連絡先交換してもいい?」


「もちろん」


いろはちゃんとのつながりが出来た。これからはいろはちゃんと連絡が取れるんだなという簡単な気持ちだったが。

ここからだんだんと深いつながりになっていったのだ。

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