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サイドB

私が、学校から帰ると、玄関におねーちゃんのヒールがあった。


「おねーちゃん、帰ってきてたんだ!ねぇ、聞いてよ、このあいだ、彼氏とディズニーランドに行って……」


私の話をワイングラス、片手に聞く、おねーちゃん


私が話疲れたら、おねーちゃんが言った。


「ねぇ、私の旦那と、もう一回、ディズニーランド行ってきなよ。お金も、こっちで出すから」


「私は、いいけど、おねーちゃんは、それでいいの?」


「…そのかわり、花に、御願いがあるんだ」


「なーに?」


「ディズニーランドでは、いっぱいアトラクションに乗ってほしいの」


「言われなくても、そうするよ♪」


私は、お母さんに報告しに台所に行く。


「花、経験は色んなことを教えてくれるけど、代償も大きいわ」


「え、何か言った?おねーちゃん」


「聞こえなかったなら、いい……」


私は、おねーちゃんを見た。


あと何年かしたら、私もグラスを片手に、あんなふうに……!




数日後。


おねーちゃんから、私の旦那とのディズニーどうだった?と電話があった。


私は言った。

「……ちょっと変なことがあって……ほら、アトラクションの乗り物、定員になるとスタッフから『ここまでで待ってください』切られるじゃん。何か、それがやたら多くてアトラクションでは乗り物に先頭で乗れた回が多かったのよね」


おねーちゃんは、電話越しに笑って言う。

「私と彼がディズニーに行った時も、そうだったわ」


「何でだろ?」


「花は、何でだと思う?」


「わかんなーい」


「ねぇ、花、考えて。考えるの。私には分かってるの。あなたは感受性はホントに豊かよ。でも時には疑問と頭で向き合って」


「私、考えるの苦手なんだけどな……うん、でも分かった!何か思いついたら、また電話するね!」


「ありがとう、花。お姉ちゃん、あなたが大好きよ。そうじゃなかったら私の旦那、絶対貸さないんだから」


私たちは笑いあって電話を切った。


私は、ベッドに横たわり考えていた。ディズニーで、やたら休憩が多かった私の彼氏と、アトラクションに乗りたがる私に疲れていても、笑顔で一緒に歩き回ってくれた、おねーちゃんの旦那さんのことを一。


(おわり)



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