episode7 拭えない不安
重苦しい雰囲気が漂う。
「……ま、あくまで予測に過ぎねえし、言霊信仰は俺の家系上の問題だから気にしすぎるなww」
と、沈黙を破ってケンがいつも通りの軽い口調で話した。事実、彼の家は神社なので先程の話にも妙な重みが感じられたのだ。
「そうだな、俺も邪推で話しすぎたようだ。忘れてくれ。そんなことより帰りに何処か寄らないか?」と、普段直帰しかしないケイが珍しく自分から遊びを誘ってきた。
「よーし、じゃあ今日は無駄に不安にさせたK・Kコンビの奢りで焼き肉行こうぜ!!」
「さんせーい!!久し振りに行きたいな♪」
「……私も行く」
俺の発言にナツと優里も乗っかってきた。
「ふっ…ただの邪推が高くついてしまったようだな。まぁ、ここは大人しく払うとしよう。ただし、一番安いコースだけだからな」
「マジか!!?家のことこんなに恨むことになるとは思わなかったわ~((((;゜Д゜)))ww」
と、二人も笑い、行くことに不満は無さそうだ。
だが、全員が分かっていた。
この奇妙な一致は決して偶然ではないと。
ケイがこんなに露骨に話題を逸らすのは珍し過ぎるし、金にがめついケンが奢ることもおかしい。
そう、もう既に俺達は踏み越えたのかもしれない。
見えない一歩を。"あちら側"への境界線を。
そして、今日の夜もまた、少しずつ近付いてきているのであった…
と、言うわけで短い一話でしたが投稿致しました。
感想いただけると幸いです!!