episode2 部室での一時
部室に揃った五人。今日はどうやら他に人は来なさそうだ。
「ともかく、マシャの見る夢の内容が気になるわね…」と、小田が口を開く。
「ナツの言う通りだが思い出そうにも全くもって思い出せん…」
「明晰夢で無茶をしすぎて脳に異常な負担をかけたんじゃないのか??貴様はタカが外れると突拍子もないことをするからな」
「俺ほどの記憶力がありゃ、まっさんも困らなかったのになww」
と、俺の返答に対し、あられもない言葉をかけるケイとケン。俺が悪態の一つでもつこうとした時、
「……理由わかったかも」という優里のか細い声で全員の意識がそっちへ向き、何も言えなくなった。だが、今の一言は聞き捨てならない。
「珍しいな。斎藤の担当はネット世界だろ??寧ろ真逆な夢にまで干渉できるとは思わなかったよ」と、誉めてるのか貶してるのか分からない発言をするケイ。アイツはやっぱり女心がわかっちゃないない。
「…マサの夢を見始めた日付を逆算し、その日周辺で起こった事象を全て纏めた上で、夢を見た日と見なかった日の世界情勢を比較してみただけ。そしたら、一つだけヒットした」と言いながら見せられた画面には、
"謎のブラックホール!?アフリカで発見"
"ブラックホールが今度はイギリスで!!"
"次々と発見されるブラックホール!!今度はオーストラリアで!!NASAはこれを【ローズ】と呼ぶことに"
と言う新聞記事であった。
「ブラックホールだと!?そんなわけが…」
そう言ったのはケイである。確かに、星の終焉であるブラックホールがそんな短期間に、しかも地球内で起こるわけなどない。
「……記事には、"毎回十秒弱だけ周囲が真っ黒になる現象からブラックホールと呼ぶことにする"って書いてある。真相はこの際置いておくとして、日付が全て、マサの夢を見た日と同じってことに注目してほしい」
優里の言う通り、日付がピッタリ重なっていた。これは単なる偶然か、それとも…
「ねぇ、一週間後は天体観測でしょ?日付の間隔でいくと丁度…」とナツが言った。
最初に発生して二日後に二回目の発生。その三日後に三回目…と起こっていたのだ。それを考慮すると、一週間後が次の発生予測日。しかも天体観測で学校に泊まれるのである。
「これは調査するしかないな。しっかりと計画を纏めてもらうぞ、副部長」とケイから面倒事を押し付けられる。
「ッチ、面倒事に首は突っ込みたくねえが、今回ばかりはしゃあねえ。しっかりと綿密な計画を立てるか」
そして、自分のパソコンを起動させつつ、今後の動きについて思考を巡らせているのだった…
※心境・状況等
雅人(優里のパソコンには流石に劣るが、俺のも一応最新型)
圭人(自前のパソコン購入するくらいなら自分で作った方が遥かにいいだろうに)
夏海(パソコン学校に持ってきて大丈夫なのかしら…)
謙一(パソコンに書かなくても頭で全部覚えりゃいいのにww)
優里(最新型のPCを改造してとんでもないスペックにしている)