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ひーろーっぽいの  作者: 武ナガト
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父の仕事場

 片道二車線の国道、そこに面する形で雑居ビルが建っている。六階建てで、四階の窓からは照明の光が照りでていた。

 和太郎はそのビルの階段を上り、四階の一部屋の前に立っていた。闘気装の姿ではなく、赤いTシャツと焦げ茶色のジーパン姿である。

 和太郎は唾を飲むと、呼び出しブザーを鳴らした。

 白いドアが内側から開かれる。

「驚いた、和太郎か。どうした」

 ドアを開いたのは父だった。

「父さんにお願いがあって来た」

「お願い?」

「ああ」

「そうか、立ち話もなんだ。入るか?」

 和太郎は部屋へ入った。

 部屋は十五畳の広さだった。灰色の作業机が五台あり、そのうち四台は田の字につなぎあわされていた。窓側の一台だけが他の四台と垂直になる向きで連結してある。机上にはマーカーやペンが入った缶・修正液・黒インク・ティッシュ箱・ペットボトル等が置かれていて、画板と一緒になった作業台は全ての机に載っていた。

 開いているが窓にはブラインドカーテンがかかっており、書籍やフィギュアなどが収められている棚が壁際に立っている。それらの他にはデスクトップパソコン・コピー機・スキャナー等があった。

 パーティションで一つの部屋は二区画に分けられている。片側が作業机が五台あるエリア、残りはソファやテレビが置かれているエリアと区分してある。

「そこに座れ」

 父がソファを指し示し、和太郎は座った。父も隣に腰を落とす。

「お願いとはなんだ」

「父さんが描いた漫画を読ませて欲しい」

 父は目を瞬かせた。

「どういった風の吹き回しだ。今まで頑なに拒んできただろう」

「理由は言いたくねえ。だが、読みたい。ダメか?」

 和太郎が父の目を見つめる。見つめる和太郎の表情に笑みはなく、緊張感があり、柔和さとはほど遠い。

 父はそんな和太郎を黙って見つめ返していた。

「読めばいい。原稿が見たいのか? それとも製本化している方か」

「本でいい」

 父はソファから立ち上がった。机が五台あるエリアへ歩いていく。棚から漫画本を八冊抜きだして、戻ってきた。

「倉庫へ行けば、単行本化されていない分の月刊誌や他もあるが」

 父はソファに八冊を置く。

「それも読ませてくれ」

「なら、倉庫へ行く必要があるな。だが、今日はこの本だけでもいいだろう? 明日、俺が帰宅するときに数冊持って帰ろう」

 父はソファの背もたれに片腕を載せて座った。

「倉庫があるのか。なら、そこで読んじゃダメか?」

「倉庫でか? 構わんが、プライベートな空間で読んだ方が身のためだぞ。これは危険なものだ」

 父は漫画本を指で突いて にやついた。和太郎の表情は崩れない。

「父さんの漫画じゃ抜かねえよ」

「なら、なぜ読む」

「言いたくねえ」

「そうだったな。ひょっとして今日は帰らん気か?」

「できれば泊まりたい」

 父は顎を人差し指でぽりぽりとかく。

「まあ、たまにはいいか。明日は日曜だし、仮眠用の布団もあるからな。後から倉庫に運べ」

 父はポケットに手を入れると鍵を取りだした。

「漫画本を持って来い。倉庫に案内する」

 父はゆっくりと腰を上げた。

 父の職場に和太郎が訪れる話。

 息子に自分のエロ漫画を読ませようとするぐらいですから父にとっては よほど自信作なんでしょうな。そのぐらいの話を考えたいものです。

 この話自体は気に入ってますが、拙いところも自覚しているので自信は持てません。自信のある人が羨ましいなあ。

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