テブクVS猿
「アタタタタタタタタタッ! アタァ!」
テブクは拳を次々と猿のコアに叩き込んだ。猿はガラス片の散らばった床を慣性に従いながら転がっていく。
「きぃ」
テブクに頭部を向ける状態、仰向けに倒れている猿は立ち上がれない。
「この猿、タフネ。コアが壊れる気配がなイ。またアホな倒し方で討伐する羽目になたりしテ」
テブクは親指で鼻を拭った。跳躍し、着地に用いる両足で猿を踏みつけようとする。
「キ、キィ」
猿はごろりと横に半回転して逃れた。起き上がろうとしたが起き上がれず、散乱していたエロ漫画本を見るような形でくたりとうつ伏せになる。猿の目は、開かれているエロ漫画の絵に焦点が合う。裸の女性キャラクターが立ちながら がに股になっている。にへらと笑った。
「アタァッ!」
テブクはコアを蹴りつける。サッカーで、止まっているボールを蹴るような蹴撃だ。その一撃はクリーンヒットし、猿は壁に備わっている鏡に激突する。鏡には網のようなひびが入った。
「ん? 手応えがあたネ」
テブクは蹴った足の指を上げ下げする。エロ漫画に視線が落ちた。
「ひょとすると」
テブクはエロ漫画を拾い上げた。好色一代の一冊だった。女性キャラクターが蜜蜂を連想させるコスチュームを着ている。
「お尻の穴に針を模したバイブが埋められてるアル。お尻ふりふりブンブンブブン。アホすぎル。ま、今はどうでもいいネ」
テブクはそのページを猿に見せつけるように提示した。猿は鼻息を荒げる。
テブクは一瞬で猿に詰め寄り、もう一撃サッカー蹴りを額のコアに叩き込んだ。猿は鏡に頭から突っこんだ。砕けた破片と落ちる。
「性欲興奮拳が効くかもしれなイ」
テブクはエロ漫画をたたんで床へ落とした。
「爆ぜろ生命力、ファイティング宇宙拳が一つ、性欲興奮拳!」
テブクは両腕を広げて円を描くように回す。腕を盛大にかき回した後に、三撃目のサッカー蹴り。
「お、いけるかもしれなイ」
四、五、六と続けた。
「うーム。一定の効果はあるみたいだけど、そこ止まりネ。猿の回復力が上回て倒せそうにないヨ。性欲興奮拳のための想像力が足りないのかしラ。他の漫画も読んでみるアル」
テブクは呟くように言うと、鼻血を垂らして倒れている猿を残してエロ漫画本が散乱している地点へ歩いていく。テブクはあぐらをかいてエロ漫画を読み始めた。次々ととページを繰り続ける。十分で三冊を積み上げた。
「さテ」
テブクは猿が倒れていた鏡の方を見る。猿はヤンキー座りの体勢で蜜蜂エロ漫画を食い入るように読んでいた。
「あいつ余裕あるネ。危機感ないのカ」
テブクは立ち上がると、歩み始めた。
猿は拳銃を拾い上げて、エロ漫画本を片手に部屋の隅へ走り出す。
テブクは瞬時に接近し、七撃目のサッカー蹴りをお見舞いした。
性欲興奮拳が討伐の突破口になる可能性ありと読者にわかってもらう話。
パニッカーはできるだけ愛嬌があるように作りたいと考えていたので、猿も例外じゃありません。エロ漫画が好きなんでしょうね彼は。




