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ゴリラ先輩ラーメン子  作者: 彩女好き
いつもの三人編
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7日目 光の速さで



「不調だわ」


「はあ」


弁当を一口食べた後、先輩が唸る。

僕は適当に相槌を打っておく。

再び静かになった部屋。

先輩は難しい顔をしている。


「味付けがイマイチなのよ。どうにも決まらないわ」


先輩が食べているのは、自分で作った弁当らしい。

その出来に満足がいかなかったようだ。


「普段はもっと美味しく作れるんですか?」


「う~ん……まちまちなんだけど。でも最近は不調なのよ。間違いないわ」


「作る物を変えてみたらどうですか?」


「そういう問題でも無い気がするのよね~」


やはり難しい顔をしたまま、先輩はうぬぬと唸った。

そして何か思いついたように僕の顔を見た。


「ちょっと食べてみてよ」


「嫌です」


「早っ! 光の速さで断られた!」


即座に断った僕に対し、ガビーンと言った表情を浮かべる先輩。


「大体、何ですかそれ? その得体の知れない物体」


「ああこれ? リンゴの漬物よ」


「リンゴの漬物!?」


本当に得体が知れない食べ物だった。

これだから先輩は侮れない。


「珍しいでしょ。でも普通に美味しいわよ。ちょっと塩っぽくて」


そう言って嬉しそうに食べる先輩。

何でリンゴを漬けるのか。どうしてそういう発想に至るのか。

あるいは、僕が知らないだけで普通にある食べ物なのだろうか?

……世界は広い。


「リンゴの漬物?」


ここに来て、沈黙を守っていた冷蔵子さんも話に加わってきた。

相変わらず冷たい目だ。ブリザードのようだ。


「信じられない……。どんな味がするのかしら?」


そう言って先輩の食べるリンゴの漬物を見つめている。

どうも彼女はリンゴの漬物を食べてみたいらしい。

そんな雰囲気がする。


物珍しそうにする僕と冷蔵子さんを見ながら、先輩は瞳をギラリとさせた。


「おおっと、この弁当は渡さないゼ! ふははは!」


どうも僕らが欲しがったので、逆に執着が湧いたらしい。

子供かこの人は。


何だか本当に残念そうな顔をしている冷蔵子さんを横目に見ながら、

僕は明日は何の雑誌を読もうか考えていた。





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