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ゴリラ先輩ラーメン子  作者: 彩女好き
先輩と僕の世界
3/213

3日目 気分アゲアゲ



「ザッピング的手法ってあるじゃん」


先輩のいつものような唐突な質問に、僕はしばし考えを巡らせる。


「何か聞き覚えはありますね」


「うん? いやこの前ビデオ借りたんだけど、」


カップラーメンに熱湯を注ぎ終わった先輩は、

それを慎重に運んでいる。

無事机の上にラーメンを置いた先輩は、話を続けた。


「パッケージに『ザッピング的手法を使ったほにゃらら』とか書いてあったのよ」


手元の本から先輩に視線を向け、僕は聞き返した。


「ふ~ん……。それで、面白かったんですか?」


「何が?」


「いや、ビデオの話ですよ」


先輩の前には、先ほど置かれたカップラーメンがある。

3分間で食べられる素敵に手軽な食べ物だが、

3分間は待たねばならない面倒臭さもある。

カップラーメンが出来上がるのを待つ3分間。先輩は、デタラメな会話をするのだ。


「うん? ビデオの話だったっけ?」


「借りたって話じゃないんですか?」


「あれぇ? まあいいや。何か見ててよく分からなかった」


再び手元の雑誌に視線を戻しながら僕は言った。


「じゃあ面白く無かったんですか?」


「いや所々では面白くて、晴れ時々雨ってところかな」


「斬新な論評ですね」


「そんなに褒めんなよ/// お姉さん照れちゃうだろ」


別名マウンテンゴリラ(命名は僕)の先輩が照れている。

照れ隠しに何か握りつぶす勢いだ。

とりあえずリンゴを握りつぶせるのは知っている。

そんな事を思いながら、僕は返事を返した。


「いや褒めては……無い事もないか」


「素直になれよ少年。うん? もっと褒めてもいいぞ。私の美貌とか」


気分アゲアゲな先輩に、今なら檻の鉄柵も曲げられそうですねと

心の中で言いながら、僕は会話を続けた。


「捻じ曲げられそうですね」


「えっ? 何を?」


ヤベエ。心の声をそのまま口に出してしまった僕は、かつて無い悪寒を感じた。

このままでは僕の腕が捻じ曲げられてしまう。具体的に言うと折られる。

ポーカーフェイスを気取りながら、僕はさらりと言った。


「男子の視線を、ですよ」


その誤魔化しの言葉をさらりと出せた時、僕は自分で自分を褒めたくなった。


「うっわ何? 上手い事言ったつもり?」


キャハハとはしゃぐ先輩。内心冷や汗だらりの僕。

こうして今日の3分間が過ぎていくのだった。





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