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ゴリラ先輩ラーメン子  作者: 彩女好き
いつもの三人編
15/213

15日目 高速戦士フラップラー



「絶対にいるのよ、高速戦士フラップラーって」


「私もそれには聞き覚えがあるわ」


先輩の語る謎のヒーローに対し、冷蔵子さんが同意していた。

いつもの部屋に、僕、先輩、冷蔵子さんがいる。

定番メニュー、いや定番のメンバーだ。

何がどういう定番なのか、自分でもいまいち分からないが。


先輩と冷蔵子さんが言う高速戦士なんたら。

僕はそれには聞き覚えも思いでも無い。

というか、そんなヒーローが実在するんだろうか。


「なんですか、その高速戦士フラフープって」


とりあえず聞いてみた。

実際のところ、それほど興味があるわけでも無い。

ただ何となく、自分だけは知らないという状況は耐え難いものがある。


「フラップラーよフラップラー。あー何か今、凄い思い出しそうだった!」


予想以上に盛り上がる先輩。

さらに、意外なほどに冷蔵子さんも食いついてくる。


「決め台詞は確か、シャイニング斬(ざん)! だったわ」


「そうそう、シャイニング斬(ざん)! 眩しくて何も見えないのよね」


「今思うと、あれは制作費を浮かすための演出だったと思えるわ」


「う~ん。気付いちゃうと何か悲しくなってくる感じ……」


うっわー。話についていけない。

辛い。何か辛い。

2人には凄く楽しい話みたいなのに、僕は全然楽しさを感じられない!

この流れ、どうにかしたい。


「なんであれ、いっつも剣を振り回していたのかしら?」


「確かに、そんな覚えがあるわね」


「ヒロインも斬ったわよね、確か」


「斬ったの!? ヒロインを!?」


さあどうにか会話の流れを変えよう。

そう思っていた僕だったが、先輩のセリフに思わず叫んでしまった。


「そうよ。なんでか知らないけど斬ったのよねー」


「……今、薄っすらと思い出してきたわ。確か、ヒロインは偽者だったのよ」


「あー! あー! そうそう、斬られたヒロインは敵の用意した偽者だったわ!」


なんだ、偽者か。そりゃそうだ、本物のヒロインを斬るわけが無い。

なるほど、敵の作った偽ヒロインを斬ったのだろう。

その後に本物のヒロインを救出して万々歳、と言った感じか。


「あーでも、どうやって偽ヒロインだって見抜いたんだっけ?」


「愛の力とか何とか言っていた気がするけど……ビジュアル的にも分った気がするわ」


「でも、最後は本物のヒロインに撃たれて終わるのよねー」


「悲痛なストーリーだったわ」


「ヒロインに撃たれたの!? どういう流れで!?」


さっきまでは会話のネタを変えようとしていた僕。

しかし、今や高速戦士フラップラーに興味津々だ。


「う~ん……確かにフラップラーはヒロインに撃たれたのよ。でも子供の頃に見たっきりだから、細かい所覚えて無いのよね」


「私も、何だか悲しい流れだったのは覚えているけれど……どんな話だったかしら?」


「何とか思い出して下さいよ。気になって仕方無いんですけど」


「ちょっと待って。今こう……ぼんやりと浮かんで来て……」


腕組みしながら、先輩は目を閉じている。

まるで瞑想しているようだ。

ややあって、先輩はカッと目を見開いた。


「思い出した!」


「おおっ!」


「偽ヒロインはアイシャドウがきつかったわ!!」


「そこじゃねえよ!」


僕のツッコミは、どこまでも響いた……。





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