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ゴリラ先輩ラーメン子  作者: 彩女好き
いつもの三人編
14/213

14日目 嵐の日に



朝から降り始めた雨は、今も降り続いている。

(しずく)が窓を伝い、部屋に不思議な影を作り出していた。

机の上には一冊の本。

黒い皮製のカバーで覆われたそれは、冷蔵子さんの私物だ。


「先輩」


「ん? なーに?」


「あの本のタイトル、気になりませんか?」


本の持ち主である冷蔵子さんは、何故かいない。

以前から何となくタイトルが気になっていたが、

カバーがあるために分らなかったのだ。


「人の持ち物を勝手に探るのはダメよ?」


「そうですね」


その通りだったので、素直に肯いておく。


ピカッ……ゴロゴロゴローーー!

雷が鳴り始めた。

雨は止まない。


「先輩」


「ん?」


「僕達は、もっと積極的になっても良いと思いませんか?」


「ホワット!?」


「つまり……この部屋に集まった者同士、もっと友情を深めるべきだと思うんです」


「ああ、えっと、つまりどういう事?」


「お互いの趣味とか、興味のある事とか、趣味を知るべきだと!」


「う~んと、う~んと……あれ? 趣味って2回言わなかった?」


「そうです、趣味を知り合えば、もっと仲良しになれると思うんです」


趣味ねえ……と、先輩はしばし考え込んだ。


「急に言われてもパッと出てこないもんね」


「そうですか。趣味と言えば、僕の趣味は読書なんですが」


「切り替え早っ!! もうちょっと私に興味持ってくれない!?」


先輩は何やらツッコンで来たが、僕はあえてそれを無視して話を続ける。


「どんな本を読むのかにもよって、人の性格って分ると思うんですよ。……おや、あんな所にも本が」


そう言って僕は自然な動作でとある本を指差した。

冷蔵子さんの私物の本だ。そのタイトルは、カバーに覆われていて見えない。


「あの娘の持ち物よね。なんてタイトルなのかしら?」


計画通り。僕は密かに笑いながら、先輩を誘導していく。


「どんなタイトルなんでしょうね。気になりますね」


「うん。でも、人の持ち物だからね。カバーをあけて勝手に見るのはダメだよ?」


「……そうですね」


実にその通りだったので、僕は素直に肯いた。





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