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prologue
「ちょっとそこの君ー!」
いかにも軽そうな見た目の青年が、声をかけている。
「君だよ。君。」
反応しない相手に駆け寄ると、肩を優しくたたく青年。
青年は、振り向いた相手の顔を見て満足そうに頷く。
「いやぁー可愛いね、君。」
「よく言われない?」
「俺さぁ、そういう子みると声、掛けなきゃ気が済まないんだよね。」
「...」
青年は一言も話さない相手のことなどお構いなしに、ひとりで話している。
「...迷惑なんだけど」
不満を全面に出して相手が答えているというにも関わらず、青年は話し続ける。
「...いやぁ、声も可愛いね、君。」
「...」
「ちょっとお茶くらいつきあってよ。」
「...」
次の瞬間青年は地面に倒れていた。