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怪獣解体ショー、開幕

いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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 解体ショー、開幕! 白き剣で巨獣を断つ


 相手は全長四十メートル級の怪獣。だが、こちらは二十メートルそこそこのEME・カリバーン。だが――その分、速さも、反応も、仕掛けの自由度も違う。(さて、どっちが勝つか……勝負だ!)


 次の瞬間、ギャラスが口を大きく開けた。空間がきしむ。魔力が収束し、軋むような唸りと共に、圧縮された破壊光線が放たれる。


「でかっ……!」


 視界いっぱいに広がる光。反射でセンサーが悲鳴を上げた。


「当たったら、スカイ合金でも傷がつくかもな!」


 急制動。カリバーンを横に跳ばす。魔力噴射で姿勢を無理やり制御しつつ、破壊光線の軌道をギリギリでかわす。そして、間合いを詰める。ショットライフルを構え、今回は魔力ではなくオーラ弾を叩き込む。


「geyaeeee――ッ!!」


 撃ち込んだ瞬間、ギャラスが咆哮を上げてのけぞった。手応えあり――だが、まだ終わらせない。


「くらえっ!」


 間を詰めたまま連射。連続で数発、同じ箇所を撃ち抜いていく。しかしその傷口が、ほんの数秒で癒えていくのが視認できた。(……なるほど。やっぱり、吸ってやがる)


 カリバーンから漏れ出す魔力を、あいつは取り込み、再生に使っている。(だったら――こっちは、遠慮なく暴れられるってことだ!)


「ミケ! 再生の速度と限界、チェックを頼む!」


『了解! リアルタイムで解析に入るわ。任せて!』


 通信越しに聞こえる彼女の声に、迷いはなかった。ああ、ミケに任せれば大丈夫。だから俺は――戦いに、集中できる。


 俺たちは距離を取りながら、ひたすら撃ち合いを続けていた。ショットライフルから連続で放たれるオーラ弾が、ギャラスの巨体に次々と突き刺さる。だが、傷が広がる間もなく、肉が盛り上がり、瞬く間に元通りになる。


 確かに当たってはいる――けれど、効果に結びつかない。その事実が、じわじわと焦燥感を煽る。


「Gyuuaaaaaaaa――ッ!!」


 ギャラスが吠え、尾を高く掲げる。次の瞬間、尾の先端が音もなく空間を裂いて迫ってきた。


 俺は即座に機体を旋回。右舷を斜めに向け、バランスを崩さず滑り込むように回避する。尾がカリバーンの左肩をかすめ、警告音が一瞬だけ鳴った。(かすっただけでこの圧……当たったら吹っ飛ばされるな)


 だが、攻撃の手は止めない。俺はショットライフルを構え直し、オーラの密度を一段階引き上げ、ギャラスの両腕を狙い撃つ。


『ダメージは入ってる。でも、再生速度が少し上回ってるみたい。まだ、釣り合ってるだけ』


 ミケが冷静に状況を読み上げる。声は落ち着いていたが、狐耳がぴくりと動いているのがホロ越しに見えた。


 前方のギャラスが、再び大きく口を開いた。腹部から頭部にかけて魔力が螺旋状に収束しはじめる。あれは――破壊光線。


「またか……!」


 俺はスケイルシールドを前面に展開し、表面にオーラを纏わせる。直後、破壊光線がカリバーンを直撃する。激しい衝撃が機体全体を震わせたが、シールドがそれを受け止め、反射。跳ね返された光が、ギャラスの腹部をかすめるように弧を描く。


「よし、返した――って、え?」


 命中したにもかかわらず、ギャラスの肉体は微動だにせず、むしろそのまま再生していく。反射攻撃すら、通じていない。


「……自分の攻撃も魔法扱いでノーダメージって、ずるくないか……?」


 心の底から漏れたぼやきに、ミケの肩が微かに揺れる。たぶん、また狐耳がぴくぴくしてる。


「……だけど、わかった」


『何が?』


「今のままじゃ、決着がつかない」


『……それだけ?』


「それだけ」


 ミケが無言の圧を放ってくる。視界の隅に移っているミケの視線を感じながらも、俺は撃ち続けていた。オーラ弾の連射で牽制しつつ、徐々に間合いを詰める。(さて、もういいか)


「ショットライフルの使い心地はわかった。けど……オーラ弾だと、やっぱり威力が控えめだな。魔力で撃った方が、設計的にも出力は上がるようになってる」


『で、どうするの?』


「もういいだろう。訓練は終了――本格的に、対処に入る」


 そう言い切った瞬間、通信越しにミケの呆れた声が漏れる。


『訓練って……どんだけ余裕なのよ』


「父さんの理不尽さに比べれば、この程度の攻撃なんて」


『……そうだったわね。スカイ様の訓練に比べたら、こんなの可愛いもんだわ』


 その瞬間、どちらともなく、ふっと息を漏らした。たぶん、今のお互い――ほんの少しだけ、遠い目をしていたと思う。


 けれど、攻撃の手は止めない。


 俺は連射を続けつつ、左腰にマウントされていたスケイルソードを右手に取った。


「さて、次は――接近戦と行こうか! ついて来いよ、怪獣!」


 縮退炉の光が脈打つように強まる。カリバーンの装甲の隙間から、白く輝く魔力の奔流が全身を駆け巡っていくのが見えた。


 確かにギャラスには魔力を吸われている。けれど――今はそれ以上の魔力エネルギーを、俺たちは二連魔力式縮退炉から生成できている。


 スケイルソードの刃に、オーラを流し込む。魔力刃のときよりも遥かに明るく、強く、そして鋭く――刃は、まるで意思を宿したように白いオーラの光を纏っていた。


「やっぱり、オーラとの相性は抜群だな。スカイ合金の本領発揮ってとこか」


 そうつぶやきながら、俺は機体を一気に加速させた。ギャラスの巨体が反応し、右腕を振りかぶってくる。


「遅い!」


 その腕をぎりぎりで滑り抜けるように回避し、懐に潜り込む。右脇――その付け根に向けて、スケイルソードを縦一線に振り抜いた。


「喰らえぇぇぇっ!」


 白い軌跡が宇宙に一閃を描く。次の瞬間――


「Gyueriiiiiiiii――――!!」


 ギャラスが、これまでにない高音の悲鳴を上げた。巨体がのけぞり、断ち切られた右腕が宇宙空間に漂い始める。


「まずは――右腕、いただき!」


 俺はソードを軽く振り払って構え直した。


『エクス、確認したわ。再生はしてるけど……どうやら“生え直す”わけじゃないみたい。傷口が塞がっていくだけ』


「よし! なら――解体ショーの始まりだ!」


 逃がす気などない。カリバーンが加速し、ギャラスとの間合いを一気に詰める。その進行を拒むように、ギャラスが破壊光線を放つ。


「もう遅いよ!」


 俺は機体をひねってそれをすり抜け、懐へ――スケイルソードのオーラ刃を伸ばし、右足めがけて一閃。斬撃の軌跡がそのまま尻尾をも巻き込み、まるで舞うように切り払う。


「Gieeeeeeeeeee―――ッ!!!」


 ギャラスの叫びが宇宙に響いた。動きが乱れ、巨体が揺れる。次の瞬間――ギャラスは、こちらに背を向けて逃げようとした。


「ごめんよ。終わりだ」


 カリバーンが音もなく追いつき、スケイルソードを構える。静かに振り下ろされた白い軌跡が、ギャラスの胴体を水平に断ち割った。


 刹那――光が収束し、すべてが静寂に包まれる。スケイルソードのオーラが収まり、俺はそれを腰のマウントへ戻す。ギャラスの巨体がゆっくりと上下に分かれ、宇宙空間へ漂いはじめる。


『熱源反応、消失。魔力の減少も停止。……討伐、確認』


 ミケの声が、静かに告げた。


「ふぅ……もう少し歯ごたえが欲しかったな」


『一応、ランク的には“Fランク”相当なんだけど』


「え、マジで?」


『見てなかったの?』


「だってロウが選んでくれた依頼だったし。てっきり、それなりのクラスかと……」


『ギルドで働いてたのに、それを見落とすなんて――ロウが聞いたら、なんて言うかしらね』


「……言うなよ」


『考えておくわ』


 ミケの含みある笑い声の会話が終わると、空間に静寂が戻る。俺は通信を開き、ホームのブリッジへ繋いだ。


「ロウ、終わった。牙も角も、それにアンチマジックストーンも取れるぞ」


『了解よ。巡回艦も確認のため同行するって言ってるから、それまで少し待ってて頂戴』


「わかった。素材部分だけ分けておく」


『お願いね』


 通信が切れる。じゃあ――やっておくか。腰のマウントから再びスケイルソードを引き抜き、ギャラスの残骸へと向き直る。周囲は静かだった。何も語らず、何も騒がず――ただ、任務が一つ終わっただけ。でも、それでいい。


 今日はこの依頼で一区切り。明日は、どんな依頼が待ってるんだろう。そんなことを考えながら、俺は素材の部位を大まかに解体し始めた。

明日から、また20時に投稿を再開します。

今後も、できる限り毎日投稿を続けていく予定です。

ただし、体調やスケジュールの都合により、お休みをいただく日もあるかもしれません。

その際は、どうかご容赦いただけると嬉しいです。

引き続き、応援どうぞよろしくお願いいたします。

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