4層 初めての侵入者と初めての魔物
見てる方がいらっしゃったなら、遅なって済みません。ちょっと立て込んでまして…
片手間に読めるよう、今回も短めです
俺がこの世界に転生して、数日経った頃。こちらでの生活にも慣れ、落ち着いて過ごせるようになっていた。やはり、【万物創造】の魔法で生活水準を一気に押し上げられたのが原因の一つだろう。
しかし。しかしだ。今日までまだ一度も、侵入者らしき侵入者が現れていないのである。いくらでもゆっくりできるということは、即ち時間が有り余っていると言うこと。
人間はおろか、動物の侵入すらいまだに発生していないこの状況に、俺はいい加減厭気が差していた。
拡張に使ったEPも回収できていない。いくら生活環境を整えたとて、つかえる状況じゃなければ意味がないし、そして堅牢さも上げることは適わない。
「やばいな…」
フッカフカのベッドに寝転がりながら、ポリポリとポテチを貪り、俺はそう呟いた。身体の完成度は転生当初と全く変わっておらず細マッチョだが、精神が確実に堕落してきている。
寝て起きたら怠惰な眠気に襲われるし、一日中何もせずベッドの上なんてのも最近ではザラだ。
ここまでくどくどと言ってきて結論を言うと、要は物凄く暇。暇は人を殺すと言うが、まさにその通りだと思う。実際、俺は今死にそうだ。魔族だけど。
兎にも角にも、俺のダンジョンに侵入者がやってこないことには、俺の暇は無限に続くのだ。
「魔物でもなんでもいいから来てくんないかな」
そうぼやくも、俺のダンジョンには一切の空気の揺れもない…はずだった。不意に警報が鳴り響き、侵入者を告げた。
「!!!」
俺はベッドから飛び起き、監視用の画面が映るテレビに目を向ける。そこには、ボロボロの布を腰に巻き、棍棒や拙い出来の弓を携えた、緑色の小人が3匹映っていた。
まあ、俗に言うゴブリンである。中途半端に開いた方からはかけた並びの悪い歯が覗いている。生理的嫌悪を覚える見た目だ。
「それでも…初めての侵入者だしなぁ」
露骨にガッカリしたのは言うまでもないが、それでも俺のダンジョンに足を踏み入れたことには変わらないので、しっかりとEPになってもらうことにしよう。
俺は、最奥の自室から一歩、足を踏み出した。
◇◇◇
結論から言うと、侵入者の排除は極めて簡単だった。あまり知能が高くないのか、連携して攻撃することもなかったし、攻撃も、守ることもなくただただ突っ込んでくると言う神風特攻だった。
そんなお粗末な攻撃が、最上位魔族とやらになった俺に通用するはずもなく、呆気なく返り討ちで終了。合計で50EPに換算された。
「こんな感じでやってけばいいのか…にしても貰えるもん少ない」
ボーナスポイントが1,000あった分、少なく感じてしまう。
そのことで頭を掻いていると、目の前にあの半透明のウィンドウが浮かび上がってきた。そこには、【魔物名『ゴブリンアサルト』と、『ゴブリンアーチャー』がカタログに追加されました。いつでも召喚が可能です】と書かれている。
「確かそんなこと書いてたな、あのスキル」
割と前のことで忘れていたが、カタログを開放するには自分でその魔物を倒す必要があったっけか。
…けしてカタログの説明を忘れていたわけでわない(矛盾)。
「ま、まあ、何はともあれ、とりあえず召喚してみるか…」
俺は、【忠魔創造】のスキルを起動した。
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