15層 日常?
第15層、よろしくお願いします。
短いパート3部構成です。
崩邪教レヴァテン中央教会
「街に魔族が出たと?」
冷や汗を額に這わせ、中年の男が机の向かいに座る聖女に問うた。
彼女は重々しく首肯する。
「むぅ…まさかこの街に、な」
「早急に討伐部隊の編成及び派遣を進言します」
「と言っても、今動かせる聖騎士の数も少ない」
そう言って彼は頭を抱えた。聖女自身も提言していながら現状を理解はしているのか、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。
「この件は上に報告し判断を仰ぐ。君は警戒を強めてくれたまえ」
「…承知しました」
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魔窟勢
「おはよー」
「あ、お父さん!」
「朝から元気だなぁ〜」
魔窟勢の朝は遅い。俺は大体日が昇ってから数時間後に起き出し、ミソラはその数十分前から目を覚ます。え?ノワ?まだまだ布団にくるまって夢の世界にいる。
即死光線ぶっぱお姉さんこと聖女から逃げ切っておよそ3日、身体の疲れは大分癒え、気持ち良く朝を迎えられるようになっていた。あの逃走劇は思ったより負担がかかったらしく、寝て起きた次の日がひどい筋肉痛で、一歩も動けなかった。
迂闊に人間の領域に踏み込まないようにと言う教訓を得た授業料としては安いほうだと、無理やりに納得しておく。
さて、そんなこともあって、俺は魔窟の入り口をかなり森の奥側にずらした。そんなことできるのかと言いたいところだが、意外と簡単にできる。
入り口となる通路をスキルでぶち抜いて元々の方を埋め立てた。
「はい、これ朝ごはん」
「いつもありがとー」
霞んだ視界を擦りつつ、俺は食卓につく。白く柔い湯気を立ち上らせ、ホテルで出てくるような朝食が並ぶ。
うちのミソラは料理スキルがカンストしてる。そのレベルで作る料理がうまそうだ。どこで習ったんだろう…?
「このとろとろスクランブルエッグとか、まじでやばいな」
スプーンで掬って、まじまじと見つめる。金色に輝くそれは食欲を刺激して止まない。上にかけられた赤いアクセントがまた魅力をより一層強くしているようだった。
「でしょー!この前お父さんに貰った「れしぴぼん」?ってやつを見て練習したの!」
「あら、地球産でしたか」
「?そうだよ!」
どうやら以前ミソラにあげた料理本が大元だったらしい。覚えてなかったぜ。
昼過ぎ、俺は魔窟の片隅で、ノワと殆ど殺し合いの立ち合いをしていた。ノワの猛攻は視認などほとんど不可能で、飛んで来る雷のその全てを肌のピリつき具合でギリギリの回避をしている。
「今日はこんくらいにしとこ。ノワ、外に行って狩りしておいで」
「コン!」
限界が来て、俺の体に力が入らなくなった。全身から汗が滝のように流れ出す不快感に耐えつつ、俺はノワにそう声をかけた。
ふー、と長い一息をついたのち、視界が暗転した。
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???
「くぁぁぁ……なんか、人間の街が騒ぎになってるらしいじゃんか」
「はい、御皇様」
気怠げな欠伸を噛み殺し、美青年と形容するにふさわしい男が初老の紳士に尋ねた。
「まっさか、聖女が動くとはねぇ…んであんな辺鄙な街にいんだよ」
「…測りかねます」
「だよねー」
直後、彼は傍にあった円形の机から一本の針を取り出し、徐に投げる。一切の揺るぎなく飛翔したそれは、壁に磔にされていたモノに深く刺さった。
「いやあああああああっ!ゆるしへええぇぇっ!」
「あははー、やっぱ人間っていい声するよねー。おもしろ〜(爆笑)」
壁に吊るされていたのは、全裸で血まみれの女だった。まだ歳若く、肢体は艶やかさが仄かに残っている。が、体の至る所には先ほどと同様の針が刺さり、とても無事とは言えない。
そんな女の姿を見て、御皇様と呼ばれた青年はくしゃりと顔を喜色に染めた。
「御皇様、はしゃぎすぎですぞ」
「お?バートもやる?」
「遠慮しておきます」
「だよねー」
クツクツと、心底愉快そうに青年は嗤う。そして、思い切り体を背もたれに投げ出した。
「これから楽しくなるなぁ……!」
そう呟いた彼の表情を知る者はいない。
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