表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それって愛ですか?  作者: 高取和生@コミック1巻発売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/17

潜行している黒い計画

マークスの変な叔父さん視点です。

◇ディック男爵は嗤う◇  マークスの叔父視点



 昔から兄貴とは仲が悪かった。

 俺は仲良くしたかったが、兄貴は俺に口うるさいことばかり言っていた。


 勉強しろ!

 領地のことを、もっと良く見ろ!

 親を敬え!


 父や母に言われるなら分かる。

 だが兄貴は俺と同じ立場だろう? 同じ伯爵家の息子だろう?

 嫡男がそんなに偉いのか。

 

 そもそも俺は、そんなに馬鹿じゃない!


 成長するにつれ、俺は気付く。

 俺は兄貴より、女ウケが良い。

 兄貴より成績が悪くても、嫡男じゃなくても、目を潤ませた女たちに、いつも取り囲まれる。


 幼い頃に決められた婚約者に縛られている兄貴を、心の中で嘲笑っていた。

 兄貴の婚約者の女も、俺に色目を使ってくる。

 せっかくだから、兄貴の留守中に深い関係になった。


 兄貴の婚約者は男爵家の娘で、そこそこ見栄えは良かった。

 何より爵位は男爵でも、裕福な家だ。


 兄貴にバレて殴られたが、男爵家に婿入りすることになったので、結果オーライだな。


 兄貴はそれから数年後、広い領地を持つ子爵家の女を娶った。

 見た目も実家の資産も勿論爵位も、元の婚約者(俺の現妻)より上だ。


 相変わらず小狡い兄貴だ。

 結婚後、兄貴は領地経営の他に商売を始め、順調に資産を増やしている。

 

 狡いよ兄貴。

 俺だって、名門の伯爵家を継いだなら、兄貴と同じかそれ以上の成果を、上げられるはずなのに。

 そもそも、兄弟なんだから、伯爵家の資産は均等に配分されるべきだ。


 もっとも俺も年を重ねて、前より少しは知恵がついた。

 そして思った。

 兄貴と、正面から戦うのは止めよう。俺に分がない。


 兄貴の一人息子マークスは、俺によく似た外見と性格を持っていた。

 小さい頃の男児の願望、誰かを守る騎士になりたいなんて言って、可愛いもんだった。

 だが、堅物の兄貴は怒って、マークスを殴ったそうだ。


『マークス、お前は由緒正しい伯爵家の嫡男だ!』


 可哀そうに……。

 

 だから俺はマークスの味方になった。

 味方になって励ました。


 マークスは、いずれ女にチヤホヤされるだろう。

 だが、こういう奴に限って、純粋な恋愛に憧れるものだ。

 俺が、そうだったからな。


 特に親同士が決めた婚約者なんて、なんとなく不純な相手に見えてしまって、疎ましく思う時が絶対来る。

 

 だからマークスには、純な初恋を演出してやったのさ。

 彼が好きになりそうな少女を選び、伯爵家の領地に住まわせた。


 俺の読み通り、マークスは少女を気に入ったようだ。

 それが自分の初恋だと、マークスは俺にそっと伝えた。


 計画の第一段階は、滞りなく終了した。

 丁度その頃、兄貴は何かを察知したのか、マークスの婚約者を決めた。


 ローザン家の次女だという。


 ローザン家の細君は、美人で有名だったが、マークスの婚約者になった少女は、あまり母に似ていない地味なコだった。

 ああ、こういう娘って、マークスの趣味じゃないだろう。


 だからマークスの前で、わざわざ婚約者の少女を貶めることを言った。


『なんだよ、ローザン伯爵家の娘と婚約したって聞いたから来たのに、とんだ期待外れだな』


 マークスは、他人の意見に惑わされやすい。

 特に俺のことは信頼しているので、婚約者へ恋情を持つことは少ないはずだ。


 そして、計画の第二段階を始める。


 初恋の相手というのは、男にとって特別な想いが残っているものだ。

 マークスの「初恋」を成就させてあげるのだ。


 初恋の相手、そのものじゃなくても良い。

 マークスが、そう思い込めば良いだけだ。


 俺はここ数年、栗色の髪と煉瓦色の瞳を持つ少女を探していた。

 運よく見つかったので、養女として迎え入れることにした。

 妻は俺のすることに、いちいち文句は言わない。


 言わないように、躾けてきたからな。


 さあマークス。

 君の初恋が実るように、叔父さんは祈ってあげるよ!

下の子にパパやママが説教する時、上の子が両親と同じ土俵に立って、下の子の説教するのはマズイのよねん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 叔父さんクズ! いや、父親もクズか!? >堅物の兄貴は怒って、マークスを殴った 意味わからんよ。子どもの夢をなんだと思ってるのか! この家の男らとは関わらない方がいいね。 マークスは…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ