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98.シジン魔法学院へ

 これまでは、原油の唯一の産油国であった、ミヤーコ王国だが、これからは、ヤガータ国も産油国として名乗りを上げる。今はまだ、秘密にしている。


 昨日は、シルバの配慮か、分からないが、破格の待遇を受けた。まず、夕食は、以前この街で食べたものと匹敵するものだったし、ホテルの部屋も相部屋を想定していたのに、教師だけでなく、生徒も一人一部屋になっていた。お陰で、ぐっすり、寝ることが出来た。馬車での疲れが完全に取れている。


 まあ、私の場合は、肉体がないので、すべて、精神的なものだけどね。


 シルバの事前調査によると、シジン魔法学院の生徒は、他の国の魔法学院と比べて、特別優れていることはないが、教師陣には高額の給料で、最高の人材を雇っているという話だ。


 豪華な朝食の後、馬車に乗って、シジン魔法学院に向かった。当然であるが、シジン魔法学院は、貴族エリアにある。そのため、貴族エリアとの出入り口では、全員チェックを受けた。

 

 いままで、聞かなかったが、全員貴族だった。そのため、チェックは、簡単なもので、持ち物などは検査されることがなかった。


 やっと、シジン魔法学院に到着した。シジン魔法学院の出入口は、結界がなく、誰でも入れる状態だった。出入口にいる係員以外にセキュリティ対策は取っていないようだ。


 シジン魔法学院の建物の前では、教師が数名立って、迎えの用意をしていた。


 私達は、馬車を下りて、建物に向かって歩いて行った。凄い、建物だ。まるで、王宮の城のようだ。


 教師も豪華な服を着ていた。外見は超一流だった。


 「私達は、ヤガータ国の魔法学院より、見学にやってきました。本日は、よろしくお願いいたします。私は、引率役の教師のミューです。よろしくお願いいたします。」


 「私は、今回の見学の案内を担当する教師ゴードルです。早速、見学に行きましょうか。」


 「はい、お願いします。」


 ゴードルは、特に何も説明せずに、どんどんと建物の中を進んで行く。我々は、呆気に取られていたが、遅れずに付いて行った。


 「ここが、我が魔法学院自慢の図書館です。王宮の図書館にも匹敵する書籍を網羅しています。」


 「すごいですね。これらの書籍は自由に生徒が見ることが、出来るのですか?」


 「何を言っているのですか。生徒は、この図書館に入れませんよ。我々、教師だけですよ。」


 「あっ、そうでうすか。」


 「さあ、次に行きますよ。」


 また、ゴードルは、どんどんと建物の中を進んで行く。


 「こちらが、食堂です。何でも、自由に食べることが出来ます。24時間営業ですよ。」


 「すごいですね。メニューの数が凄い。生徒も、喜んでいることでしょうね。」


 「何を言っているんですか。さっきから、あなたは、教師ですよね。」


 「はい、教師です。」


 「それなら、何故、生徒の事をいうのですか?ここは、教師のための魔法学院ですよ。」


 「えっ、それでは、生徒はいないのですか?」


 「また、バカな事を。あっ、失礼。つい、本音が。あっ、失礼しました。」


 「魔法学院に生徒が居なくで、どうするんですか?」


 「そうですよね。生徒は、ここで、寝泊りするのですか?」


 「また、もう、生徒の話は、やめてくださいよ。この魔法学院は、教師のものですよ。何度も言わさないで貰いたい。」


 「どうも、失礼しました。」


 「それでは、次に行きますよ。」

 

 また、ゴードルは、どんどんと建物の中を進んで行く。


 「ここが、今回の見学のメインです。魔法学院の中の神殿です。シジン教の神殿を持っている魔法学院は、他国には、無いでしょう。」


 「そうですね。流石です。」


 「これで、一通り見学しましたが、何か、聞きたいことはありませんか?」


 「えっ、見学は、これで終わりですか?」


 「私が予定した見学は、これで終了です。まだ、時間がありますので、敷地内を見て回って貰っても構いませんよ。」


 「はい、わかりました。そうさせて頂きます。」


 「おい、まだ、見て回るそうだ。付き添いたまえ。それじゃ、私は、ここで、失礼するよ。」


 「はい、どうも、ご苦労様でした。」


 ゴードルは、足早に去っていった。帰る時まで、素早い。


 「それでは、教室を見せて貰いたいのですが。」


 「はい、わかりました。私は、シジン魔法学院の教師マージです。よろしくお願いいたします。」

 

 マージ先生は、教室を案内してくれた。今、授業が行われているようだ。


 「あの、教室の中を見てもいいですか?」


 「どうぞ、ご自由に。中に入られてもいいですよ。」


 「この魔法学院は、すべてが、自由ですよ。」


 私達は、授業の邪魔にならないように、静かに入室した。


 「それでは、炎の温度を変えて行きましょう。出来る限り、高い温度にしてみてください。」


 教室の中には、生徒が30名ほどいた。教師は、生徒2名に1名付いていた。


 教室の中は、生徒と教師で、ごった返していた。


 「あの、この狭い教室では、危ないのではないですか?」


 「あぁ、大丈夫ですよ。シジン教の牧師が治療しますので、心配はないです。」


 「えっ、牧師が治療するのですか?」


 「当たり前でしょ。治療は、牧師の仕事ですよ。」


 「そうですか。この教室の講座は、初級の火魔法講座ですか?」


 「何を言っているのですか。あの炎の色を見てください。青色ですよ。赤色でなく。」


 「はい、見えています。」


 「それなら、分かるでしょう。青色の炎は、上級魔法ですよ。」


 「はい、失礼しました。」


 ミュー先生は、疲れてしまったようだ。肩を落としている。


 「ミュー先生、大丈夫ですか。」


 私は、心配で、ミュー先生の肩を抱いて、あげた。


 「あぁ、テラですか。はい、もう、大丈夫です。」


 流石に、頭をポンポンするのは止めておいた。私は、ミュー先生から離れて、スピアの傍に行った。


 「皆さん、この後はどうしましょうか?」


 「はい、私は、この授業を聞いてみたいです。参加したいです。」


 私は、思わず、手を挙げてしまった。目立たないつもりが、失敗してしまった。


 「いいですよ。私は、廊下で、休んでいます。他の人はどうしますか?」


 「「授業に参加します。」」


 「どうぞ、自由にしてください。」


 ミュー先生は、また、肩を落としている。思わず、私は、傍に行こうとしたが、スピアに腕を掴まれてしまった。仕方がないので、授業に参加することにした。


 「取り敢えず、炎を出してと、それを出来るだけ高温にするって、言っていたね。」


 私は、掌に炎を出して、少し大きくしてから、高温にしていった。炎の色は、赤色、黄色、白、青と変化して、部屋全体が温められている。私は、余り熱さ感じないので、青色のまま、少しずつ炎を大きくしていった。


 「おい、そこの君、何をしているんだ。天井まで、炎が届きそうだぞ。」


 「本当だ。校舎が燃えるよ。」


 「えっ、何て言っているの?天井まで、届かせるの?」


 私は、更に大きな炎にしようとしていたら、後ろから、抱きしめられた。


 「誰、今から、炎を天井まで、届くようにするのに。邪魔だよ。」


 「テラ、今すぐ、辞めなさい。」


 「あっ、ミュー先生は、休んでいるのでは?」


 「テラが、バカな事をしているから、休めません。」


 「早く、炎を消しなさい。」


 「はい、わかりました。」


 私は、ミュー先生の言うとおりにした。


 「この部屋の熱さが分からないの?皆、汗だらけよ。」


 「あっ、本当だ。皆、汗で服が透けてるね。」


 「何言ってるの、テラも汗で、服がびっしょりよ。」


 自分の服を見てみると、確かに汗で濡れている。でも、この汗は、ミュー先生の汗だ。さっき、抱きしめられて時に、濡れたと思う。だって、私は、汗をかかないから。


 「ちょっと、待ってください。」


 私は、風魔法で、皆の服を乾かし、光魔法で、汗をクリーンにした。そして、部屋の空気の入れ替えもしておいた。まだ、炎を出している生徒がいるので、それを水魔法で、消しておいた。


 「ミュー先生、終わりました。すみませんでした。」


 「テラが、怪我をしてないだけで、いいのよ。これからは、危ないことはしないでね。」


 「はい、気を付けます。また、ミュー先生が抱きしめて止めてください。」


 「何、バカなことを言っているの。本当に反省してよ。」


 「はい、すみません。」


 教室内の全員に見られているようだ、失敗してしまった。私は、頭を下げて、教室の全員に謝罪した。

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