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94.マテーダ王女の意外な趣味

 マテーダ王女との夕食に私達を迎えに馬車が来た。馬車に乗り込み、暫く、揺られていると、大きな城のような建物の前に止まった。


 「テラ殿、到着しました。」


 私達は、案内されるまま、大きなホールに通された。通常であれば、20組ぐらいの客を招き入れることが出来そうなスペースに、私達だけが居た。


 「ようこそ、テラ殿。こちらで、お待ちください。」


 「どうも、お招きいただき、ありがとうございます。こちらは、私の相棒のスピアです。」


 「うん。よろしく。」


 私達は、オーガネッチの横の席に着いた。


 「マテーダ王女は少し遅れているようです。」


 執事が説明をしている。


 「食事に関して、何か、お嫌いな物は、ありますか?」


 「私は、ありません。スピアは、熱いものが苦手なので、少し、冷やしておいて貰えるとありがたいです。」


 「はい、承知いたしました。」


 オーガネッチが、私に話しかけて来た。


 「マテーダ王女は、非常に綺麗な方です。穏やかな性格で、兄のヘーリ王子と遊ぶのが大好きな女性です。また、ヘーリ王子も、マテーダ王女を気に入っておられます。」


 「そうですか。マテーダ王女には、ロール王子もお兄さんですね。」


 「テラ殿、ロール王子の話は、今日は勘弁してください。よろしいでしょうか。マテーダ王女が来られた後は、特に、やめてください。」


 「はい、わかりました。」


 執事が、マテーダ王女の到着を告げた。私達は、その場に立ち、王女が席に着くまで、そのままで、待っていた。


 「こちらが、マテーダ王女です。」


 「初めまして、テラといいます。」


 「スピア」


 「マテーダです。今日は、お招きいただき、ありがとうございます。」


 私達は、紅茶を飲みながら、食事が準備されるのを待っていた。


 「マテーダ王女、こちらのテラ殿は、13歳という若さですが、ウェーリィ王より、伯爵の爵位を授かっております。非常に優秀な人材です。」


 「そうですか。その年で、伯爵とは、凄いですね。どのような事をされたのでしょうか。」


 「このヤガータ国の借金を返済し、国を再興しました。また、軍隊を再編成し、港湾関係の仕事から、多岐にわたる事業で、成果を上げておられます。」


 「そうですか。実業家なのですね。」


 「いえ、私は、単に運が良かっただけです。すべて、私の側近が行ったことです。」


 「テラ、とお呼びしてもよろしいですか?」


 「はい、構いません。」


 「テラは、謙遜し過ぎですよ。私も、テラの偉業は聞き及んでいます。」


 「ありがとうございます。マテーダ王女は、どのような事に興味がおありでしょうか。」


 「テラ、私の事は、マテーダと呼んでください。いいですね。」


 「はい、わかりました。」


 テーブルの上に食事が運ばれてきた。前菜、スープ、魚料理とコース料理の様だ。


 「どうぞ、食べながら、お話をしてください。」


 オーガネッチが、食事を勧めている。とても、にこやかだ。何か、良い事が起こっているのだろうか。


 「私は、今、魔法陣に興味があります。色々と書物を読みながら、研究しているのですが、適当な物がありません。」

 

 「魔法陣ですか、また、古風な事を研究しているのですね。」


 「テラ、どうして、魔法陣が古風なのですか?」


 「でも、マテーダ、周りを見ても、適当な書籍がない。つまり、今の流行りでないということではないのでしょうか。」


 「そうでしょうか。私は、そうは、思っていません。」


 マテーダ王女は、変わった物に興味を持ってい居るみたいだ。何か、特別な理由がありそうだ。


 「マテーダ、もし、よろしければ、何故、魔法陣に興味を持たれたか、経緯をお教え願えませんか。」


 「特別な理由はないのです。ただ、身近に何に使うのか分からない魔方陣があったので、それがなにに役に立つのか、知りたかっただけです。」


 「そうですか。その魔方陣の事を誰かにお聞きになられましたか?」


 「いいえ、誰にも内緒です。兄のヘーリにも話したことがないのに、初対面の方のお話してしまい。少し、戸惑っております。」

 

 「別に、内緒にすることは、ないのでは。ちっとも、おかしくないですよ。」


 「そうですか。テラは、変に思いませんか?」


 「はい、思いませんよ。」


 「良かった。こんな話をして、不思議がられたかと思いました。」


 「また、機会があれば、魔法陣のお話を聞かせてください。」


 「よろしいのですか?また、お会いしても。」


 これって、まずいパターンなのか?失敗したか?


 「はい、いいですよ。」


 「まあ、嬉しい。これまで、ヘーリ兄さんぐらいしか、このように気楽にお話が出来なかったので、本当に嬉しいですわ。」


 「いえ、こちらこそ。このような機会を与えて頂けて、光栄です。」


 いつの間にか、デザートが出ていた。食事は、そろそろ、終わりの様だ。


 「それでは、私は、これで、失礼します。」

 

 「はい、マテーダ、さようなら。」


 マテーダ王女を見送り、私は、オーガネッチに感謝され、帰路に就いた。魔法学院の自分の部屋に戻って来たが、まだ、オーガネッチの狙いがわからない。今日の食事会って、何だったのだろう。

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