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89.カーリン再び

 朝早くから、カーリンに思念伝達で、起こされた。


 「テラ、起きてますか?カーリンです。」


 「うっ、カーリン、何?」


 「大変です。起きてください。」


 「うっ、カーリンか。どうしたの?」


 「テラ、起きましたか?」


 「はい、大丈夫、起きたよ。どうした?」


 「良い感じの土が出てきているのですが、これ以上、進めません。」


 「どういうことかな?」


 「今回で、試掘も、5回目になるのですが、これまでとは、違って出てくる土が良い感じなんです。」


 「そのいい感じ、ってよく分からない。」


 「私も、初めてなので、すべて、感だよりでやっているので。説明し辛いです。」


 「まあ、私が理解することもないので、それは、置いておこう。それで?」


 「はい、これ以上、掘れないのです。鉄の棒が潰れるのです。何度取り換えてもダメです。」


 「なぜ?まあ、いいか。取り敢えず、そっちに行くよ。話は、それからね。」


 私達は、急いで出かける準備をいた。


 「スピア、準備はいい?」


 「テラ、行ける。」


 「行くよ。」


 私達は、カーリンの所に行った。カーリンは、現在の試掘場所で、寝泊りしているようだ。試掘の傍に小さな小屋が建っていた。


 「カーリン、ご苦労様。無理していない?」


 「うん。カーリン、顔色、悪い。」


 「はい、大丈夫です。今は、興奮していて、それどころじゃないです。」


 「何をそんなに興奮しているんだ。」


 「出てくる土が良い感じなのです。これまで、こんな感じになったことがなくて、興奮しています。それに、経験者が言うには、この後、ガスが出てくるらしいです。」


 「まあ、そのいい感じは、分からないけど。ちょっと、試掘の状態を教えて貰える?」


 「はい、10本目ぐらいまでは、今まで通りで、問題なく掘れていたのですが、それから、鉄の棒が変形し始めて、今は、13本目なのですが、穴を掘っても、そこから、崩れて来て、鉄の棒を降ろすことさえできません。」


 「なぜかな?まあ、いいか。理屈は、任せるよ。つまり、掘り進みたいということだね。」


 「はい、それだけです。」


 「それじゃ、まず、これまで掘っている所を崩れないように、強化するね。」


 私は、土魔法で、これまで掘り進んで来た鉄の棒の外側に少し、隙間を開けて、土の壁をつくり、壊れないように強化した。つぎに、これまでの鉄の棒の外側を闇魔法で、2重にコーティングして、強度を増しておいた。

 

 これまでの鉄の棒を取り除き、新しく強化した鉄の棒に取り換えた。これで、先に進めるほど頑丈になった。最後に、手榴弾タイプの穴堀球の改良だ。これまでは、円柱のような形に土を取り除くだけだったが、今回は、取り除くと同時に、外側に壁を作り、コーティングするように、改良した。魔法陣を1つ追加して、ほぼ同時に起動するようにした。


 「カーリン、これで、やってみて。」


 「はい、やってみます。」


 カーリンは、今まで通りの方法で、作業を開始した。すると、新しい鉄の棒が入っていく、そして、新たな土が掘り出されてた。


 「うまくいきます。これで、掘り進めます。」


 「それじゃ、帰るよ。いいかな。」


 「はい。テラ、ありがとうございました。」


 私達は、また、ベッドで、寝ることにした。朝から、疲れてしまった。スピアに癒してもらおう。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 2度寝から起きた私達は、魔法学院から勝手に持ち帰って来た魔導書を調べることにした。


 「スピア、何か感じる?」


 「うん。感じる。」


 「どう感じるの?」


 「うーん。何か、付いてる。」


 スピアは、動物の感で何かを感じているようだが、私には、よく分からない。


 この魔導書は、シリーズになっているので、3冊の間に共通している部分があるはずだ。


 以前に、サルビアと一緒に開いた魔導書の働きを考えると、「誰かが本を開く」ことがトリガーとなって、「魔導書の魔法が起動する」。そして、その魔法の効果で、いままで知らなかった「開いた本人が魔法を使える」様になる。最後に、「魔導書が消滅する」が、記憶された魔法は使い続けることができる。


 私は、もう一度、スキル鑑定で、魔導書を調べてみた。まだ、私のレベルでは、詳細を知ることができない。しかし、この本が魔導書で、開くと本が消えてしまうことは、分かった。


 「スピア、この魔導書、開くと消えてしまうよ。」


 「うん。消える。でも、残る。」


 「残るって、何?」


 「うーん。よく分からない。」


 「本は、消えるのは間違いないよ。」


 「うん。本、消える。でも、残る。」


 「よく分からない。」


 「うん。よく分からない。」


 「誰かが本を開く」で、魔法が起動するためには、魔法陣に魔力を流す必要がある。従って、本を開けた人が魔力を持っていないとだめだ。


 先ほどスキル鑑定で、調べたが、この魔導書には、魔石が組み込まれていない。これは、確かだ。そうすると、開いた本人が最低でも魔力を持っていることが、魔導書の魔法陣が働く条件となる。


 そして、 「魔導書の魔法が起動する」=「開いた本人が魔法を使える」 ということだ。これに、一つの魔法陣が関与しているのだろう。そして、その魔法陣は、人体に変化を及ぼす。魔法が使えない状態から、使える状態に進化するわけだ。


 最後に、「魔導書が消滅する」も、別の魔法陣が関与しているだろう。これについては、簡単に魔法陣で、実現できる。


 問題は、「開いた本人が魔法を使える」に使われている魔法陣だ。


 基本的に、魔法はイメージだ。結果を予測できないと魔法は発動できない。その結果は、魔法陣が知っていても、魔法を起動する人が予測していてもどちらでもよい。誰かが、知っているということだ。


 でも、なぜ、その後も魔法が使えるのだろう。基本的には、魔法属性は先天的なものだ。つまり、遺伝するということだ。だから、貴族に魔法属性がある者が多いということになる。


 もう少し、時間が掛かるようだ。


 「スピア、続きは、また今度にしよう。」


 「うん。テラ、本、保管。」


 「そうだね。誰も、見ないように保管しておくよ。」


 私は、3冊の魔導書をアイテムボックスに入れて、誰も見ないように、闇魔法で、隠しておいた。

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