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88.合格者は?

 私達が魔法学院に戻った時には、入学試験が終わり、受験生が帰路についていた。


 「シルバ、無事終わったようだね。」


 「はい、終わりました。今から、集計です。その後、合格者の番号を掲示します。」


 「最後まで、慎重に!」


 「はい、わかっています。」


 暫くしてから、シルバが戻って来た。手には、集計結果の表を持っていた。


 「集計が終わったようだね。」


 「はい、無事終わりました。合格者の番号を一覧表にしています。」


 「これから、掲示だね。」


 魔法学院の入り口にボードが用意されていた。今から、シルバが合格者の番号を張りだす。


 受験生とその家族が、ボードの前に集まって来た。受験生は、100名だが、家族を含めるとかなりの人数が、ボードに集中している。


 シルバが緊張した顔で、合格者の番号を張りだした。すると、一斉に歓声が上がった。


 「僕の番号があるよ。合格したよ。」


 「よくやった。流石、我が息子だ。」


 「やったー、私、合格よ。自信なかったから、心配だったの。」


 不合格で、泣いている子もいる。全員合格だったら、良かったのに。でも、そういう訳にはいかないのだろう。


 今回の合格者は、32名だった。ほとんどの受験生が、3属性の魔法を扱える。中には、すべての属性を持っている者もいた。それも、3人もいた。


 レイカ、ルカ、オウカの3名だ。主席は、レイカで、何と、満点の50点だ。ルカとオウカは、同点で、48点だ。3人ともすごい点数だ。


 合格者が、受付を済ませ、宿舎へ案内されている。遠方から来た受験生は、今日から、宿舎に泊まるようだ。


 部屋だけを確認して、帰っていく受験生もいる。


 正式には、1週間後に入寮することになっている。その翌日が入学式だ。


 シルバが、32名の合格者の部屋割を確認しながら、担任を決めている。この魔法学院は、全寮制で、担任制を取っている。上級教師以外の教師は、最低1人の担任を任されるようだ。約半分の12名は、2人の学生の担任を任される。


 カーリンから、思念伝達で、連絡が入った。


 「テラ、カーリンです。」


 「何か、トラブルか?」


 「いいえ、そうではないのですが、少し、改良して欲しいのです。」


 「遠慮せずに、行って見て。」


 「鉄の棒は、順調に地面に入っていくのですが、地下の様子が分からないのです。」


 「鉄の棒が入れば、いいのでは?」


 「私も、最初はそう思っていたのですが、それでは、掘り進めていいのか、打ち切った方がいいのかがわかりません。」

 

 「原油が出てきたら、辞めるのじゃないの?」


 「試掘では、あくまでも試掘なのです。その場所から、原油が出てくるとは決まっていないのです。」


 「そうだね。それは、わかるよ。」


 「だから、もし、いくら掘っても原油が出てこない場所だった場合には、判断材料がないのです。」


 「その通り。何も出てこないのだから、判断できないよね。」


 「テラ、まさにそれです。何も出ないのです。今の機械では、情報が出てきません。」


 「そうか、地下の土がいるのか。」


 「はい、地下の様子を知るために土がいるのです。それが、情報です。」


 「わかった。すぐに行くよ。」


 「はい、お願いします。」


 私は、思念伝達を切った。私達は、カーリンが試掘をしている場所に移動した。


 「カーリン、今から、修正するよ。」


 「はい、お願いします。」


 私は、手榴弾タイプの掘削用魔法陣を改良して、鉄の棒の先の輪の状態と同じ形で、掘削するようにした。つまり、鉄の棒の穴の部分に地下の土が残るようにした。

 それから、残った土を引き上げる魔法陣を機械の筒に描き、操縦版にスイッチを付けて、リンクさせた。


 「カーリン、説明するよ。いいかな。」


 「はい、いいです。」


 「このボールのようなものは、今まで通り、筒の中に入れて土魔法を起動させる。彫り込んでみて。」


 「はい、入れました。これでは、いままでと同じですよ。」


 「まあ、慌てない、慌てない。このスイッチを押してみて。」


 「はい、押しました。おっ、土が出て来た。すごい、これが地下の土か。」


 「これで、いいか?」


 「はい、これで、試掘を進めて行けます。」


 「良かった。ところで、どんな感じかな?油田を見つけられそうかな?」


 「まだ、はっきりとは言えませんが、今回の改良で、見通しが立ちました。」


 「そうか、それは良かった。後は、任すよ。いいかな?」


 「はい、今は、大丈夫です。もし、また、何かありましたら、連絡します。」


 「分かった。遠慮せずに、連絡してね。まあ、カーリンなら、遠慮はないか。」

 

 「えっ、そんなことないですよ。私、これでも遠慮してますよ。」


 「分かった。それじゃ、後、頼むね。」


 「うん。頼むよ。」


 「はい。頑張ります。次は、吉報をお届けします。」


 「楽しみにしているよ。」

 

 「うん。楽しみ。」


 私達は、また、魔法学院に転移魔法で、移動した。もう、誰もいなかった。


 「スピア、帰って、寝ようか?」


 「うん。寝よう。」


 私達は、今日は、王宮の部屋で、寝ることにした。久しぶりの王宮だ。でも、部屋のベッドしか、使ったことがないから、明日は、少し、探検しようかな。 

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